モンスターGPU「GeForce RTX 3090 Ti」はクリエイターにとっての福音? モンスターCPUと組み合わせて使った結果(2/3 ページ)
NVIDIAが3月29日に発表した「GeForce RTX 3090 Ti」は、現時点のコンシューマー向けGPUとしては“最強”である。ゲーミングで注目されることの多いGeForce RTX 3090 Tiだが、クリエイターが使う場合はどのくらい“強い”のだろうか。Ryzen Threadripper 3970Xを軸に組んだ自作PCで実力をチェックしてみよう。
Threadripper 3970X×RTX 3090 Tiの実力をチェック!
ここからは、Ryzen Threadripper 3970Xを軸とする自作PCにMSIとZOTACのグラフィックスカードを組み込んでベンチマークテストを行う。今回は、比較対象としてGeForce RTX 3090を搭載する「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3090 AMP Extreme Holo」も用意している。
自作PCの主なスペックは以下の通りだ(一部再掲)。
- OS:Windows 11 Pro
- CPU:Ryzen Threadripper 3970X(3.7GHz〜4.5GHz、32コア64スレッド)
- メインメモリ:256GB(32GB×8、DDR4-3200規格)
- SSD:1TB(PCI Express接続)
- 電源容量:最大1000W
先に結論からいうと、4K解像度で負荷が高まると、GeForce RTX 3090 Tiの優位性が見えてくる。具体的にはどういうことなのか、テストの結果をチェックしていこう。
おことわり
グラフィックスカードの正式名称は長いため、ここからは以下の通り略して記載する。
- MSI GeForce RTX 3090 Ti SUPRIM X 24G→GeForce RTX 3090 Ti(MSI)
- ZOTAC GAMING GeForce RTX 3090 Ti AMP Extreme Holo→GeForce RTX 3090 Ti(ZOTAC)
- ZOTAC GAMING GeForce RTX 3090 AMP Extreme Holo→GeForce RTX 3090(ZOTAC)
3DMark
まず、3Dグラフィックスのパフォーマンスをチェックする「3DMark」で幾つかのテストを実行してみる。今回はDirectX 11ベースの「Fire Strike Extreme」と、DirectX 12ベースの「Night Raid」「Time Spy Extreme」を実行した。総合スコアは以下の通りだ。
- Fire Strike Extreme(レンダリング解像度:2560×1440ピクセル)
- GeForce RTX 3090 Ti(MSI):1万3448ポイント
- GeForce RTX 3090 Ti(ZOTAC):1万3558ポイント
- GeForce RTX 3090(ZOTAC):1万2649ポイント
- Night Raid(レンダリング解像度:1920×1080ピクセル)
- GeForce RTX 3090 Ti(MSI):4万7613ポイント
- GeForce RTX 3090 Ti(ZOTAC):5万24ポイント
- GeForce RTX 3090(ZOTAC):4万9887ポイント
- Time Spy Extreme(レンダリング解像度:3840×2160ピクセル)
- GeForce RTX 3090 Ti(MSI):9335ポイント
- GeForce RTX 3090 Ti(ZOTAC):9440ポイント
- GeForce RTX 3090(ZOTAC):9321ポイント
僅差ではあるが、おおむねGeForce RTX 3090 Tiの方がスコアが良好である。ただし、そこまで有意な差かといえば、そこまででもない。
ゲーミングだとCPUも重要
この後、「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク(FF14ベンチマーク)」と「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク(FF15ベンチマーク)」も実行してみた。スコアは3DMarkとおおむね同じ傾向で、解像度が高くなるほどGeForce RTX 3090 Tiの有意性が高まる。
……のだが、筆者が思ったほどスコアが高くない。少しモヤモヤした筆者は、関係者に話を聞いてみた。すると、「使っているCPUの都合でスコアが振るわないのではないか?」とのことだった。いわく、マルチコア/マルチスレッド性能に“全振り”したRyzen Threadripper 3000シリーズは、ベンチマークテストによっては最新のRyzenプロセッサよりもスコアが低くなることがあるという。今回行ったテストなら、3DMarkでは最大で3割ほど低いスコアになるようだ。
思えば、Ryzen Threadripper 3970Xは1世代前の「Zen 2アーキテクチャ」ベースである。32コア64スレッドというコンシューマーでも手に入るCPUとしては“モンスター級”であることは変わりないが、1コア当たりの性能は現行のRyzen 5000シリーズの方が高い。
ゲーミングメインでGeForce RTX 3090 Tiを搭載しようという場合、最新のRyzenプロセッサ、あるいはCoreプロセッサの上位モデルと組み合わせた方が“バランス良くハイパフォーマンスなPC”を構築できるだろう(参考記事)。
では、今回の本題である“クリエイターが使う前提”に立った場合は、どうなるのだろうか……?
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