Ryzen PRO 6000シリーズ搭載 Z世代を意識した新しい「ThinkPad Z」が日本上陸 直販価格31万1000円から
CES 2022で披露されたThinkPadの新シリーズが、ついに日本にも上陸する。AMDのRyzen PRO 6000シリーズAPUを搭載し、Z世代に意識した新要素をいくつか盛り込んでいる。
レノボ・ジャパンは6月24日、新型ノートPC「ThinkPad Z13」「ThinkPad Z16」を発表し、同社の直販サイトで受注を開始した。最小構成の税込み標準販売価格は、Z13が31万1300円から、Z16が36万8500円からとなる。
ThinkPad Zシリーズの概要
ThinkPad Z13とThinkPad Z16は、1月に米国で開催された「CES 2022」で発表された新機軸のThinkPadだ。
「ThinkPad Zシリーズ」というと、2005年に登場したThinkPadブランド初のワイド液晶ディスプレイ搭載モデルを思い出す人もいるかもしれないが(参考記事)、今回のZシリーズは「30周年を迎えたThinkPadブランドの、次の30年を見据えた新シリーズ」という位置付けで、「いわゆる『Z世代』を意識したモデル」でもあるという。
Z世代を意識したということもあり、新しいThinkPad Zシリーズには新機軸が幾つか盛り込まれている。
少し配列の変わったキーボード
ThinkPad Zシリーズのキーボードの配列は、基本的に最近のThinkPadを踏襲しているが、ThinkPadに“不慣れ”な人を意識した変更も盛り込まれている。
まず、Fnキーと左Ctrlキーの位置が逆になっている。従来のThinkPadでは過去からの伝統にのっとってFnキーを左端に持ってきていたが、ThinkPad Zシリーズでは多くのメーカーのノートPCと同じく左Ctrlキーを左端に配置している。ただし、従来通りUEFI(BIOS)またはユーティリティーアプリ「Lenovo Commercial Vantage」の設定から入れ替えできるようになっているので安心してほしい。
加えて方向(カーソル)キーの形状も異なる。具体的には、左右の方向キーが大きくなり、左方に並ぶ各種キーと同じ高さとなった。これに伴い、Page Up/Page Downキーは、Fnキーを押さえながら上/下の方向キーを押す操作に改められた。これは他社のノートPC、あるいは自社の「IdeaPad」「Yoga」といったコンシューマー向けノートPCにならったものである。
さらに、指紋センサーを右Altキーの右側に配置したことに伴い、従来モデルで同位置にあったPrint ScreenキーがDeleteキーの右側に移動している。
ThinkPad Z13の日本語キーボード。ThinkPad Xシリーズや昨今のThinkPad X1シリーズの日本語キーボードに見られた右端部のキーの縮小が解消されている一方で、よく見るとごく一部のキー配列が変わっている
新たな役割を与えられたTrackPoint
ThinkPadといえば、独自のポインティングデバイス「TrackPoint(トラックポイント)」が有名だ。もちろん、ThinkPad ZシリーズにもTrackPointは搭載されているが、新たな役割が与えられている。
ThinkPad ZシリーズのTrackPointでは、2回タップすると「Communication Quick Menu(コミュニケーションクイックメニュー)」が起動する。このメニューはCommercial Vantageなどを立ちあげることなくカメラやマイクの設定を行うために設けられたもので、音声や動画を使ったコミュニケーションが増えている昨今の情勢を意識して実装されたそうだ。
なお、ThinkPad ZシリーズのTrackPointは専用のクリックボタンがない。新たに設けられた感圧式クリックパッドの上部がクリックボタンを兼ねるようになっている。そう聞くと、同じく独立したクリックボタンを“廃止”した2014年のThinkPadを思い出す人もいるかもしれないが、「2014年の反省を踏まえて設計されている」とのことで、慣れは必要なものの、2014年モデルよりも最終的な違和感が少なくなるように配慮したようだ。
ThinkPad Zシリーズで新登場したCommunication Quick Menuは、TrackPointをダブルタップすると出現する。その名の通り、コミュニケーションに関する設定を簡単に行えるようにすべく開発されたもので、タッチパネル搭載構成ならタッチ操作でより簡単に設定を行える
クリックパッド(タッチパッド)の幅は約120mmで、TrackPoint用の独立したクリックボタンを設けていない。見た目はThinkPadの2014年モデルをほうふつとさせるが、操作性は向上したという
環境配慮型製品
ThinkPad Zシリーズのボディーはアルミニウム製で、その約75%がリサイクル素材から構成されている。また、ThinkPad Z13のブロンズ構成に搭載される人工皮革素材(クラレ「クラリーノ」)も、再生プラスチックを採用している。梱包(こんぽう)も100%再生/たい肥化可能な素材を用いている。
ThinkPad Z13の概要
ThinkPad Z13は13.3型のモバイルノートPCで、いろいろな場所にPCを持ち運ぶ「ハイブリッドテレワーカー」を意識したモデルだという。ボディーカラーはアークティックグレイとブロンズの2つで、先述の通りブロンズモデルでは人工皮革天板を採用している。なお、ブロンズモデルはタッチパネルが標準搭載(必須オプション)となるため、最小構成時の税込み販売価格が33万2200円と少し高くなる。
APU(GPU統合型CPU)は、Ryzen PRO 6000シリーズのUプロセッサまたはLenovo限定供給となる「Ryzen 7 PRO 6860Z」を選択できる。メインメモリはLPDDR5規格で、容量は16GBまたは32GBから選べる。ストレージはPCI Express接続のSSDで、最大1TBまで搭載できる。プリインストールOSはWindows 11 Home、Windows 11 Pro、Windows 10 Pro 64bit版(※1)を選択可能だ。
(※1)Windows 11 Proの「ダウングレード権」を行使してプリインストール
ディスプレイはアスペクト比16:10の13.3型ディスプレイで、以下のオプションから選べる。ただし、先述の通り、ブロンズモデルはタッチ対応パネルのみ選択可能だ。
- WUXGA(1920×1200ピクセル)IPS液晶(非光沢、最大輝度400ニト、sRGB 100%カバー)
- WUXGA IPS液晶(反射抑制、最大輝度400ニト、sRGB 100%カバー)、タッチ対応
- WQXGA(2560×1600ピクセル)有機EL(反射抑制、最大輝度400ニト、Dolby Vision対応、カラーキャリブレーション済み、ブルーライトカット対応)、タッチ対応
WebカメラはフルHD(1920×1080ピクセル)撮影と顔認証対応で、電子的なプライバシーシャッターを備えている。
ポート類は左側面にUSB4端子を、右側面にUSB4端子と3.5mmイヤフォン/マイクコンボジャックを備えている。USB4端子はUSB PD(Power Delivery)による電源入力と、DisplayPort Alternate Modeによる映像出力にも対応している。ワイヤレス通信はWi-Fi 6E(※2)とBluetooth 5.2に対応する。オプションでLTE(4G)通信モジュールも搭載可能だ。
(※2)日本では6GHz帯での通信は利用不可
バッテリー容量は50Whで、最大22.8時間の連続稼働に対応している(※3)。ボディーサイズは約294.4(幅)×199.6(奥行き)×13.99(厚さ)mmで、最軽量構成の重量は約1.19kgとなる。
(※3)JEITAバッテリ駆動時間測定法 Ver 2.0による測定値
ThinkPad Z16の概要
ThinkPad Z16は16型ノートPCで、処理パフォーマンスを求めるユーザーに向けたモデルとなる。ボディーカラーはアークティックグレイのみとなる。
APUはRyzen PRO 6000シリーズのHプロセッサを搭載する。オプションで外部GPUとして「Radeon RX 6500M」を備える構成も選択可能だ。メインメモリはLPDDR5規格で、容量は16GBまたは32GBから選べる。ストレージはPCI Express接続のSSDで、最大2TBまで搭載できる。プリインストールOSはWindows 11 Home、Windows 11 Pro、Windows 10 Pro 64bit版(※1)を選択可能だ。
ディスプレイは16型で、以下のいずれかを選択できる。
- WUXGA IPS液晶(非光沢、最大輝度400ニト、sRGB 100%カバー)
- WUXGA IPS液晶(反射抑制、最大輝度400ニト、sRGB 100%カバー)、タッチ対応
- 4K(3840×2400ピクセル) 有機EL(最大輝度400ニト、Dolby Vision対応、カラーキャリブレーション済み、ブルーライトカット対応)、タッチ対応
WebカメラはフルHD(1920×1080ピクセル)撮影と顔認証対応で、電子的なプライバシーシャッターを備えている。
ポート類は左側面にUSB4端子×2とSDメモリーカードスロットを、右側面にUSB4端子と3.5mmイヤフォン/マイクコンボジャックを備えている。USB4端子はUSB PDによる電源入力と、DisplayPort Alternate Modeによる映像出力にも対応している。ワイヤレス通信はWi-Fi 6E(※2)とBluetooth 5.2に対応する。オプションでLTE(4G)通信モジュールも搭載可能だ。
バッテリー容量は70Whで、最大25.9時間の連続稼働に対応している(※3)。ボディーサイズは約354.4(幅)×237.4(奥行き)×15.8(厚さ)mmで、最軽量構成の重量は約1.81kgとなる。
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