「Steam Link」は快適? “変身”するAndroidベースのポータブルゲーミングデバイス「GPD XP」を試す(3/4 ページ)
中国GPDが開発し、日本では天空が販売しているAndroidベースのポータブルゲーミングデバイス「GPD XP」は、ポータブルゲーム機より少し高く、据え置きハイエンドゲーム機より少し安いという絶妙な価格設定となっている。快適にゲームを遊べるのか、実際に試してみよう。
2種類用意されているホーム画面
GPD XPのホーム(デスクトップ)画面は、「GBox Desktop」(デフォルト)と「Quickstep」の2つがプリインストールされている。GBox Desktopはカラフルなアイコンの仕様で、上部にある「GAMES」「CLOUD」「APPS」「SETTING」の4つのタブを切り替えながら利用する。アプリはAPPSに、さまざまな設定はSETTINGに集約されている。ゲームアプリは原則としてGoogle Playからダウンロードすることになるので、APPSのタブに入る。Wi-Fi機器の登録や本体のセッティングはSETTINGで行う。
もう1つのQuickstepは、よくあるスマホのデスクトップデザインとなっている。Quickstepは使うアイコンをデスクトップに並べておけば、すぐにアクセスできるのがよいところだ。Androidに用意されているスケジューラーなどのウィジェットも配置できる。
これら2種類のホーム画面は好みに応じて使うのがよい。筆者的には使うアイコンを最初から登録し直す必要のあるQuickstepよりも、用途に合わせてアイコンが登録されるGBox Desktopの方が使いやすく感じた。
なお、購入当初はシステム言語が「英語」となっている。もちろん日本語表示にも対応しているが、設定の変更が必要だ。GBox Desktopを使っている場合はSETTINGを開き、Advanced Setting→System→Languages & Imputと進んで「Language」を選び、「日本語(日本)」を1番(最優先言語)に指定すればよい。
モバイル通信も搭載(注意点あり)
GPD XPにはモバイル通信機能が搭載されている。日本国内のキャリアごとにLTE(4G)エリアで利用できる周波数帯をまとめると、以下の通りとなる。ただし、先述の通り日本国内のキャリアにおけるモバイル通信の動作は保証がなく、モバイル通信に関する認証も取得していないことに注意が必要である。
- NTTドコモ:Band 1/3/28
- au:Band 1/3/26/28
- ソフトバンク:Band 1/3/28
持ち運べるのにゲームをしないのはもったいない――そこで、Wi-Fi 5(IEEE 802.11ac)に加えてLTE回線でSteam Linkを使ったゲームプレイを試してみることにしよう。
Steam Linkについて説明しておくと、親機となるPCにインストールされている「Steam」対応ゲームを子機となるスマホでプレイできるというサービス(アプリ)だ。親機で実行しているゲームの映像をネットワークを介してスマホに伝送するという仕組みで、ある意味で「自前サーバを使ったクラウドゲーミング」である。
仕組みが仕組みだけに、Steam Linkを快適に楽しむには「親機のパフォーマンス」「ネットワークの高速性/安定性」の2つが非常に大きな鍵を握る。高速かつ安定したネットワーク環境を用意しても、親機がプアなら快適に遊べない。逆もまたしかりだ。
そこで、親機として以下のゲーミングノートPCを用意した。このPCとルーターは有線LAN(1000BASE-T)で接続する。
- CPU:Core i7-9750H(2.6GHz〜4.5GHz、6コア12スレッド)
- GPU:GeForce RTX 2060 Laptop
- メインメモリ:16GB(8GB×2)
- OS:Windows 11 Home
まず、自宅内のネットワークで快適に遊べるか試してみる。GPD XPとルーターをWi-Fi 5で接続し、Steam Linkから通信環境テストを行うと「良好」との結果が出た。
そのまま自宅内でGPD XPを使ってゲームを楽しんでみよう。まず「FINAL FANTASY XV(FF15)」だが、負荷の大きいゲームだけあって、「標準」解像度にすると多少のカク付きが見られる。そこで「低」解像度にしてみるとカク付きが解消してスムーズにプレイできた。もっとも、GPD XPのディスプレイサイズは6.81型で、ほとんどのスマホよりは大きいがPC用ディスプレイよりも小さい。このサイズ感だと、解像度が少し低くなっても画質の変化はそれほど感じない。
「DEATH STRANDING」も遊んでみたが、こちらの場合は「最高」画質でも十分にプレイできた。
続いて、LTE回線を介して親機に接続して遊んでみた。有線LANやWi-Fiと比べると、どうしても応答速度(PING値)は遅くなってしまうものの、FF15やDEATH STRANDINGのようなゲームならアンテナピクトのアイコンが5本立っている状態であれば快適にプレイできる。電波状況が悪くなると画面にシャギーが発生するものの、電波の強い場所に移動すればすぐに元通りになる。
親機を起動しておかなければいけないという制約こそあるが、AndroidのゲームだけでなくSteamのゲームをいつでもどこでもプレイできるのはとてもうれしい。
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