「Fire 7(第12世代)」はマンガ向き? 6980円で買える小型タブレットを検証(2/3 ページ)
Amazonが「Fire 7」の新モデルが登場した。先代と比べると1000円値上げしているものの、税込みでも7000円を切る価格はタブレット端末としては手頃である。マンガを読む上で便利かどうか、電子ペーパー(E Ink)を搭載するKindle Paperwhiteと比較してみよう。
動きはサクサク……とは言いがたい
Fire 7のOSは、Androidベースの「Fire OS」を搭載する。あくまでも“ベース”なので「Google Playストア」は利用できないが、その代わりにAmazon独自の「Amazonアプリストア」からアプリをダウンロードして利用可能だ。
アプリストアには「Twitter」「Instagram」といったSNSアプリ、「Microsoft Office」を始めとするオフィス(ビジネス)アプリや「Netflix」など動画アプリも充実している。主な実用アプリであれば、一般的な(Google Playストアに対応する)Androidタブレットとほぼ同じ感覚で使える。
ただし「Gmail」や「YouTube」など、GoogleのアプリはAmazonアプリストアでは配信されていない。一部を除くサービスはWebブラウザからでも利用できるので、それで代替は可能だ。
Fire タブレットはAmazonの音声エージェント「Amazon Alexa」のボイスコマンドに対応している。そのため、Alexa対応スマートスピーカーのように話しかけることによっていろいろな操作を行える。ただし、スマートディスプレイのように利用する「Showモード」には対応していないので注意しよう。
加えて、Alexa対応のスマート家電を1画面で制御できる「デバイスダッシュボード」機能も備えている。かなり便利なので、Alexa対応のスマート家電を持っている人なら「コントロール用タブレット」としてFire 7を用意する、ということを考えても良いかもしれない。
ただ、Fire 7の全てが“バラ色”かというとそうでもない。特に気を付けたいのが処理パフォーマンスである。
Fire 7は画面が小さいだけでなく、メインメモリは2GB、内蔵ストレージは16GBとスペックが本当の意味で“最小限”に抑えられている。低価格であることの裏返しだ。
実際に使ってみると、Kindleのような電子書籍サービスや、Prime Videoのような動画配信サービスといった「一度ダウンロードしてしまえば、後は多くの操作を必要としない」タイプのアプリは十分に快適だ。必要に応じてmicroSDメモリーカード(最大1TB)も増設できるので、ストック型のデジタルコンテンツを楽しむ分には問題ない。
一方で、ホーム画面の操作を含め、アプリを切り替えてサクサクと閲覧するというのは難しい。また、Webブラウザのように「細かな通信や表示切り替えが連続して発生するアプリ」は快適とは言いがたい状況だった。細かい通信が入るアプリを多用する場合は、メインメモリがより多い上位モデルを使った方が快適だろう。
前世代からどこが変わった?
新しいFire 7(第12世代)の前世代に相当するのは、2019年発売の「Fire 7(第9世代)」だ。タブレットとしての想定用途には大きな変化はないが、プロセッサやOSの刷新によって着実にパフォーマンスは良くなっている。
新モデルのプロセッサはMediaTekの「MT8168V/B」(CPU部は4コアで最大2.0GHz駆動)を搭載し、メインメモリは2GBと従来モデルから“倍増”している。Amazonによると、これによって処理速度は最大30%高速化しているという。ただし、用途によっては力不足を感じる場合があるのは先述の通りだ。
バッテリー駆動時間は最大10時間で、先代の約4割増しである。この他にも、無線LANにおいて新たに「Wi-Fi 5(IEEE 802.11ac)」をサポートした。OSはAndroid 11ベースの「Fire OS 8」となった。
使い勝手で大きな影響がありそうなのは、USB Type-C端子の搭載だろう。最近のスマートフォンやKindleの上位モデルと共通の端子形状となったことで、充電器(ACアダプター)の使い回しがしやすくなっている。
地味だが、インカメラも横向きで持った際に上部の中央に来るよう位置に移設された。ビデオ通話が使いやすくなる変更といえるだろう。
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