「OMEN 45L」の強力な“独立”冷却機構、効果はいかに? 最新ゲーミングタワーPCを試す(1/4 ページ)
日本HPが2月24日に発売したゲーミングタワーPC「OMEN 45L」は、水冷用のラジエーターをボディーの“外”に出す斬新な設計で注目を集めた。ただ、斬新な見た目に気を取られがちだが、実際のスペックもモンスター級である。同時に発表された27型4Kディスプレイ「OMEN 27u」と組み合わせて実力をチェックしてみよう。
日本HPが2月24日に発売した「OMEN 45L」、同社の「OMEN(オーメン)」ブランドのゲーミングデスクトップPCの最新モデルの1つだ。その名の通り45Lサイズのタワーケースを採用した“大型”モデルで、一部の国/地域ではケースの単品販売も行われるということでも話題を集めている。
ボディーが大きいのはもちろんだが、さまざまな面でこだわったこともあり、直販サイトにおける税込みの最小構成価格(7月15日現在、以下同)は37万5100円からと価格も高めだ。ノートPCとは異なりディスプレイも別売である。
それだけに、OMEN 45Lがどのくらい“強い”のか気になる所である。今回、上位構成に当たる「エクストリームモデル」(税込み直販価格43万8900円)と、4K(3840×2160ピクセル)/144Hz表示に対応する27型ゲーミングディスプレイ「OMEN 27u」(税込み直販価格8万8400円)を組み合わせて実力を評価していこうと思う。
冷却へのこだわりが生んだ「OMEN Cryo チェンバー」
OMENブランドのデスクトップPCを振り返ると、CPUの冷却に水冷を導入するなど、以前から冷却性能を重視するモデルが多い。例えば2020年に発売された「OMEN 30L」は水冷ユニットに大口径ファンを組み込んだラジエーターとボディー前面を完全に覆う大型ベンチレーターを組み合わせていた。
OMEN 45Lを含む2022年モデルも、基本的にはその流れを受け継いでおり、40Lケースを用いる「OMEN 40L」では、先述のOMEN 30Lと同様の冷却機構を採用している。しかし、OMEN 45Lでは、それを一歩先に進めて「OMEN Cryo(クライオ) チェンバー」という機構を採用した。
OMEN Cryo チェンバーは、従来はケースのメインハウス内に収めていたラジエーターを、ケースの上部に“建て増し”したチェンバー(居室)に移動したことが特徴だ。簡単にいうとラジエーターを“外”に出してしまったのである。これにより、ラジエーターはCPU、GPUやSSDなどによって温められた空気を取り込むことがなくなるので、従来よりも熱交換の効率が高まり、結果的に水冷効果が向上する。
日本HPによると、OMEN Cryoチェンバーは従来の水冷機構と比べるとCPUの温度を最大で6度低く抑えられるという。「単にラジエーターを外に出しただけでしょ?」と思うかもしれないが、その効果は想像以上に大きいということである。
水冷用のラジエーター(とラジエーターファン)をケースのメインハウスから“独立”させることで冷却効率を高めた「OMEN Cryoチェンバー」を採用。ケースのサイズはその分だけ大きくなってしまうが、冷却効率面ではかなり有利に働く
OMEN 45Lのケースは、ラジエーターだけでなく電源ユニットの装着部も直接メインハウスに“触れない”ように配慮されている。なお、拡張カード用のベゼルは7本あるものの、マザーボードのカードスロットはPCI Express 5.0 x16とPCI Express 3.0 x4が1本ずつと、M.2×3(Key A×1+Key M×2)しか備えていない。一部の国/地域ではケースの単品販売をすることもあり、フルサイズのATXマザーボードにも対応できるようにしてある(OMEN 45LのマザーボードはMicroATXサイズ)
冷却へのこだわりはCryo チェンバーにとどまらない。
マザーボードのVRMにアルミニウム製ヒートシンクと銅製ヒートパイプを搭載した他、裏面にもVRMの熱対策として大型のサーマルパッドを装着している。サーマルパッドはSSDにも付いている。
加えて、CPUの伝熱グリスには、熱伝導率が高く過度熱抵抗が改善されたShin-Etsu MicroSI製の「Extreme Thermal Paste」を採用している。日本HPが提示した資料によると、従来のOMENが採用している伝熱グリスと比べると、熱伝導率は16%向上し、過度熱抵抗が20%改善するという。
関連記事
- 日本HPが第12世代Core搭載の最新ケーミングデスクトップPCを発表 2月24日から順次発売
日本HPが「OMEN(オーメン)」「Victus(ヴィクタス)」ブランドのゲーミングデスクトップPCの新モデルを投入する。Intel CPUを搭載するモデルは最新の第12世代Coreプロセッサを採用した処理能力重視の構成で、AMDのCPU/APUを搭載する構成はコストパフォーマンス重視の構成となっている。 - 「第2の創業を目指す」 日本HP新社長が語るパーソナルPC市場と日本のゲーミング市場
日本HPが2022年初の事業説明会を開催した。2021年に新社長に就任したばかりの岡戸伸樹氏は何を語ったのか。 - HPがゲーミングPCの新モデルを発売 「OMEN」ケースの“単品販売”も
HPが「OMEN」「Victus by HP」ブランドのゲーミングPCとゲーミング周辺機器の新モデルを発表した。目玉となる45LボディーのゲーミングデスクトップPCでは、ケース(と冷却機構のセット)を“単品”で販売するという。 - 強烈な高機能! 日本HPのゲーミングノート「OMEN 17」上位モデル先行レビュー
日本HPが9月に発表したゲーミングノートPC「OMEN 17」は、第11世代Core H45プロセッサとGeForce RTX 30 Laptopを搭載する最新かつ高性能なモデルである。2022年3月までに発売される予定だが、上位モデルを先行してレビューする機会を得たので実力をチェックしてみよう。 - 見どころは“見た目”だけじゃない! VoodooPCの血を引くひし形ゲーミングPC「OMEN X by HP 900-070jp」を試す【追記あり】
ハイエンドゲーミングPCメーカーとして知られていた「Voodoo PC」。そのDNAを引き継ぐ「OMEN by HP」の最新フラッグシップモデルが「OMEN X by HP Desktop 900」だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.