「ポメラ DM250」は最上位モデルにふさわしいのか? 約6年ぶりの新モデルを試す(3/7 ページ)
キングジムのデジタルメモ「ポメラ」に約6年ぶりの新モデルが登場した。約6年前の先代モデルから何が変わって、何が変わらなかったのだろうか。徹底的に検証してみよう。
細かく設定できるテキストの表示
テキスト専用機であるだけに、ポメラはテキスト表示に関する設定項目が多い。DM250も、その点において例外ではない。
文章の表示フォントは「UD新ゴR」(ゴシック体)と「UD黎ミンR」(明朝体)の2種類が用意されており、サイズは16ドットから48ドットまでの6段階で選択可能だ。また、縦書きと横書きの両方に対応し、行間を0行から1/4行刻みで1行まで設定できる。画面の背景として「けい線」や「方眼」を指定することも可能で、けい線を指定すればノート風、方眼を指定すれば原稿用紙風の見た目となる。見やすさや好み、原稿の内容に応じて設定しよう。
余談だが、作家の手代木正太郎氏は「@フォント」(横倒しになったフォント)を使って横書きで執筆するそうだ。言い換えれば文庫本を横にした状態で書いているわけだが、残念ながらこのような執筆環境を設定することはできなかった(そんな使い方をする人が地球上にどれだけいるのかはさておいて)。
一風変わった設定としては「フレーム」というものがある。これは1ページあたりの文字数と行数を設定することで、ページ単位での見栄えやページ数を確認しやすくする表示形式だ。紙媒体のようにページ数や枚数を意識しなければならない原稿を書くときに重宝する。
文章の作成/編集に便利な機能も
ファイルサイズ(≒文章量)が大きくなってくると、文章の見通しが難しくなってくる。そこで重宝するのが「アウトライン」機能だ。
アウトラインは「#」もしくは「.」で始まる行を見出しとして扱う機能で、本文とは別枠で表示してくれる。ポメラの入力画面にはスクロールバーがないが、この機能を使えば擬似的に文書内での位置を把握したり、高速に移動したりできる。
本文とアウトラインは「ctrl+tab」または「alt+tab」で行き来することができ、アウトライン側で選択されている箇所が本文側に表示される。見出しをコピーすれば、その見出しの本文も全てコピーされるので、移動が非常に楽になるだけでなく、編集作業にも役立つ。
アウトラインとは併用できないものの、「分割」「比較」も長文編集などに役立つ表示形式だ。この2つは基本的には「画面を2分割する」という点で共通しており、同じファイルを2つの編集画面で開く場合は「分割」、異なるファイルを開く場合は「比較」という呼び方となる。
両方の画面で縦書き、横書きを混在させることはできないものの、グリッドや文字種、サイズなどは個別に設定できるため、小さめの文字サイズで全体のイメージを押さえつつ、視認しやすい大きめの文字サイズで入力、といった使い方も可能だ。
DM250では、新しい表示スタイルとして「シナリオモード」が追加された。これはアウトラインと同様に「#」もしくは「.」で始まる行を検出して、「シーンエリア」に縦書きモードで表示してくれる。ポメラが漫才や演劇の脚本/台本の執筆や確認で利用されることも多いということで追加されたスタイルだという。
ポメラが扱うファイル形式はシンプルなテキストファイルであるため、非可読データとして制御コードなどを埋め込むことはできない。シナリオモードも実態はアウトライン表示部分の表示する位置を本文に合わせて縦書きにし、表示階層数を2階層に制限したものである。厳しい条件下でニーズに応えるための工夫が垣間見られる。
また、初めてのポメラユーザーには驚きでもないかもしれないが、画面下に文字数とバッテリー残量が数値で表されるようになった。これは、古参ユーザーにとっては喜ばしいポイントなのである。
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