「ウチは無理だから……」と諦めるのは早い! 悩める情シスが知っておくべきビジネスPCの選び方:ハイブリッドワーク時代のビジネスPC選定術(第1回)(1/2 ページ)
新型コロナウイルス感染症を受けて急速に広がった「テレワーク(リモートワーク)」は、そこから一歩進んで働く場所を選ばない「ハイブリッドワーク」に進みつつある。そんな時代にビジネスで使うPCはどう選べばいいのだろうか? 具体的な機能から機種を検討する前に、デプロイメント(展開)の方法から検討するべきではないだろうか。
新型コロナウイルス感染症を巡る対応が続いて、早2年以上の月日が流れた。最近ではワクチン接種も進み重症化率は低くなったものの、まだまだ予断を許さない状況だ。
国内でも、大手企業を中心に働き方改革の一環としてテレワーク(リモートワーク)の導入は進められてきた。コロナ禍はその動きを加速し、災害時を含むBCP(事業継続計画)の一環としてのテレワーク制度の整備も進んでいるようだ。そこから一歩踏み込んで、働く場所を選ばないハイブリッドワーク化も、昨今では1つのキーワードとなっている。
このような動きは、中小企業やSOHO(小規模/個人オフィス)にとって無縁かというとそんなこともない。業種にもよるが、テレワークやハイブリッドワークの「働く場所を選ばない」というメリットが、人材の確保の面で有利に働くからだ。「うちの会社(事務所)、小規模だからなぁ……」という前に、何らかの対応策を講じるべきだ。
とはいえ、企業や事業の規模の大小を問わず、ハイブリッドワークを前提としたビジネスPCの選定は大きな課題の1つとなる。まず「Web(ビデオ)会議のための装備は必要だ」ということは想像できても、他に重視すべきポイントが分からない(思いつかない)という人もいるのではないだろうか。
そこで、ハイブリッドワーク時代のビジネスPCの選び方を3回に分けて解説していく。第1回は“ハイブリッド”ゆえに意識したい、従業員へのPCのデプロイメント(配備や展開)について検討してみよう。
真っ先に考えるべきは「Web会議への対応」よりも「キッティング」
先述の通り、ハイブリッドワーク向けPCの検討において「Web会議のための装備が必要だ」と、真っ先に思い浮かぶ人は多いだろう。しかし、初期段階で想像すべきことはPCの「キッティング」と「配布(配送)」の方法だ。Web会議うんぬんはPCを配布した“後”の話であって、後回しにして検討しても大きな問題はない。
キッティングって何をしているの?
個人が私的に使うPCとは異なり、ビジネスで利用するPCには企業や組織の業務やセキュリティ方針に沿った「必要なアプリケーションの導入」や「ポリシーの設定」が必要となる。これがいわゆる「キッティング(配布準備)」である。
キッティングの作業方法はさまざまで、導入するPCが数台程度であれば「オフィスで作業する」という選択肢も考えられる。あまりにも台数が多い場合は、PCメーカーや販売代理店の「キッティング(代行)サービス」を使うケースもある。
オフィスでのキッティングは、企業や組織の情報システム担当(いわゆる「情シス」)が業務の一環として行うケースが多い。現地(オフィス)にメーカーや代理店の技術者を呼ぶ「出張キッティングサービス」もない訳ではないのだが、コストが掛かる。1回のキッティングで数台程度なら、情シスへの負担も大きくないし安上がり、というわけである。
情シスへの負担が大きすぎるキッティングは大きなリスクを抱える
情シスが“出社して”PCに必要な設定を行い、宅配便などでユーザー宛に送り届ける――これでもハイブリッドワーク“は”実現できる。しかし、働く場所を選ばないというハイブリッドワークの“そもそも”に立ち返ってみると、この方法には少し問題がある。情シスが出社しなければならないということはもちろんだが、何らかの理由で情シスが出社できなくなるとキッティングや配送作業が行えないという問題を解決できないのだ。
キッティングや配送が止まってしまうと、新しいPCの割り当てが遅れてしまい、従業員の業務が滞ってしまう可能性もある。ハイブリッドワークの“真価”を発揮するには、まずPCのキッティングと配布に関わる情シスへの負担を軽減する方法を検討すべきである。
事業の継続性や後々の運用の効率性を高めるためにも、このことだけは忘れないようにしたい。
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