「Apple Watch Ultra」はAppleがたどり着いた究極の時計だ:シン・ウルトラウォッチ登場(3/3 ページ)
スマートウオッチをリードするAppleから、従来の殻を破った1台が登場した。サイズもバッテリー駆動時間も機能も過去最大となった「Apple Watch Ultra」を林信行氏がチェックした。
魅力は進化した柔軟性
だが、冒頭でも書いた通り、Apple Watch Ultraで一番すごい部分は、これだけの性能を備えたタフな時計が、文字盤をスワップしてミッキーマウスやバズ・ライトイヤーの文字盤に切り替えてパーティーで人気取りをすることもできれば、太陽の動きや月の満ち欠けを表示して宇宙の神秘と繋がれる時計にもなれば、株価情報や世界時計を表示して世界経済の動きを読み取れるビジネスウォッチへとなることだ。
さらには、バンドも取り替えてエレガントなエルメスから、NikeやApple製のスポーツバンドに切り替えて、ファッション性とスポーティーさのいいとこ取りをしたり、さりげないおしゃれを演出してみたりと、幅広い使い勝手を楽しめることだろう。
このApple Watch Ultraを数日間、東京の街中でつけていて一番驚いたのは、実はバッテリーの持ちの良さだ。今回のレビューには間に合わなかったが、新しい皮膚温センサーを試すべく、しばらく寝ている間もずっとつけっぱなしにしていたが、ウェイポイントを置きながらの街中散策といったこともしていたが、バッテリーは余裕で丸2日間使った時点でも20%ほどの残量があった。
これまでのApple Watchでは、充電の失敗などで使えなくなってしまうことが数カ月に1度は発生していたが、まる2日間、バッテリー残量を全く気にする必要がないUltraのバッテリー容量はかなり魅力的だ。
その後、バッテリーが残り3%くらいまで減るのを待って充電のテストをしてみたところ、約1時間の充電で50%まで回復できた。この50%充電の状態からの利用開始でも、これまでのApple Watchと同じくらいの時間使えた印象がある。
もちろん、長時間のバッテリー動作は本体が分厚く重くなったからこそ実現したものだ。Apple Watch Ultraのケースの重量は約61.3g、Apple Watch SEの44mmケース(大きい方)の約33gの約2倍で、Series 8の45mmケースの約51.5gと比べても10gほど重い。筆者はこれまでSeries 7のウォッチなどでも、疲れてくると外してしまうくらいに腕時計が苦手だが、Ultraを丸2日間つけていられたのは、1つに試用していたアルパインバンドが非常に軽かったことがあるのかもしれない(これまでのApple Watchではレザーバンドを利用していた)。
Apple Watchは、全く運動をしないながらも日々の生活の中での身体の動きを意識したい人、日常生活に呼吸を意識して行うマインドフルネス瞑想(めいそう)を取り入れたい人、カジュアルなランナー、アクティブにワークアウトをする人(watchOS 9でワークアウト関連の機能がかなり強化され、心拍数の範囲を決めてワークアウト強度を測ることもできるようになった)、水泳をする人、サイクリスト、さらにはトライアスロンなどの激しい運動をするアスリートなどに対応してきた。
今回、さらに一段飛躍して体力の限界に挑戦しながら、海や地を冒険する人々というある意味、究極(まさにウルトラ)な人々のニーズにも対応し、同じ機械を身につけている他の人々にも「よりアクティブに」なるようにモチベートする機械へと進化した。
その上で、ほとんどの人が一生使うことのない機能ながら、転倒や交通事故、遭難といった緊急事態に遭遇しても、救命してくれる安心感も提供している。
これは、すごいことだと思う。
収束を迎えつつあるコロナ禍、世界中の人々の健康意識が高まり「ウェルネス」という言葉がそこかしこで聞かれるようになったが、世界中で多くの人が身につけているコンピュータが、その上の足かせではなく、むしろ行動のドライバーとなる製品へと進化したことは何か時代の象徴のようにも思える。
関連記事
- 史上最もタフ、最大60時間駆動する「Apple Watch Ultra」が12万4800円で9月23日発売
Appleは9月8日(日本時間)、最大60時間駆動を可能とし、史上最もタフな「Apple Watch Ultra」を発表した。価格は12万4800円(税込み)から。予約の受け付けは同日に始まり、9月23日に発売となる。 - 衝突検知も可能な「Apple Watch Series 8」と廉価版「Apple Watch SE(第2世代)」が9月16日に発売
Appleは9月8日(日本時間)、「Apple Watch Series 8」「Apple Watch SE(第2世代)」を発表した。どちらも8日に予約の受け付けが始まり、9月16日に発売となる。Apple Watch Series 8の価格はGPSモデルが399ドルからで、Cellularモデルは499ドルからとなる。Apple Watch SE(第2世代)の価格は249ドルから。 - iPhone 14/Apple Watch/AirPods Proの共通項 シンプル、パーソナル、そして安心安全
Apple恒例となる秋のスペシャルイベントが開催された。「超えよう。」をテーマに発表された新製品はどのようなものだったのか。林信行氏がレポートする。 - 最上位モデル「iPhone 14 Pro/14 Pro Max」はインカメラのデザイン刷新で常時点灯も 14万9800円〜
米Appleが9月7日(現地時間)、「iPhone 14 Pro」と「iPhone 14 Pro Max」を発表。9月16日に発売する。価格はiPhone 14 Proが14万9800円から、iPhone 14 Pro Maxが16万4800円から。 - 「デジタル時代に新たな花の文化を開かせる」――東信氏AMKKの滑らかなDX化と新たな挑戦
Apple製品を使い、これまでにない表現を続けるフラワーアーティストの東信(あずま まこと)氏。林信行氏が、花とデジタルツールとの融合や、制作にかける思いを聞いた。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.