「AirPods Pro(第2世代)」と初代を比較して分かった! 驚きの「音質」「ノイキャン」性能:本田雅一のクロスオーバーデジタル(1/5 ページ)
Appleが9月23日に発売する完全ワイヤレスイヤフォン「AirPods Pro(第2世代)」は、見た目では第1世代からの変化は乏しい。しかし、実際に使ってみると、第1世代から大きく進化していることが良く分かる。発売に先駆けて実際に試してみた所感を記事としてまとめたい。
Appleの初代「AirPods Pro」は軽快な装着感と、アクティブノイズキャンセリング(ANC)機能のバランスがよく、圧力センサーを用いた確実な操作性、iPhone/iPad/MacといったApple製品をまたぐ再接続が容易で、嫌な音もしない、まさに“心地よい”完全ワイヤレスイヤフォンだった。
Apple製品との組み合わせが前提となるが、Bluetooth接続であることを意識させないほどに接続も簡単で、iPhoneのシェアの高い日本では発売以来、一貫してこのジャンルでのトップであり続けている。しかし、初代AirPods Proは完璧かといえば、そんなことはなかった。ライバルメーカーが付け込む“隙”は十分にあった。
しかし、9月23日に発売される第2世代のAirPods Proは、初代が抱えていた弱点を克服した上で、さらに機能や操作性などの面でライバルを超え、突き放しにかかってきている。イヤフォンとして最も重要な音質に関しても、明らかな進歩を見せていた。
この記事では、発売に先駆けて体験して得られた所感をまとめていく。
ライバルに隙を見せない体験価値の高さ
第2世代のAirPods Proは、よく見てみると充電ケースとイヤフォンの双方に外観上の違いがあるものの、パッと見レベルではほぼ同じ外観である。耳の穴が小さいユーザー向けにXSサイズのイヤーチップが追加されたこと以外は、装着感も大きくは変わらない。
しかし、外観は区別がつきにくいほど似ていても、その利用体験は大幅に異なる。もちろん、ここでいう利用体験には、もちろんオーディオ機器として最も大切な音質も含んでいる。
Appleのオーディオといえば、ニュートラルで癖のない音が特徴だ。聴き疲れしにくく、リスナーとの間に程よい距離を感じるため、長時間聴いていても嫌な感覚が残らない。
しかし、「ニュートラル」といえば聞こえはいいものの、音楽の情熱を伝えるパッションに欠け、細かなニュアンスを伺うような空気感を描く意思は感じられないという意味で、品位の高い音とはいえなかった(唯一の例外は「AirPods Max」である)。
今回リリースされた第2世代のAirPods Proも、ソニー、Sennheiser(ゼンハイザー)やBang & Olufsen(バング&オルフセン、B&O)といったオーディオで有名なブランドを背負うワイヤレスイヤフォンと比べると、ずっとニュートラルな音である。例外として上げた挙げたAirPods Maxも含めて、オーディオとしての品位を高めても、強い意志で作り上げようという感じはしない。
だが、ユーザーとの距離が「遠い」と感じていた音場は、より前向きに、しかし近すぎない絶妙な温度感になった。音の情報量も増えたように思う。短くまとめると音楽の躍動感や熱量が明瞭に伝わるようになったのだ。オーディオ製品としての基礎的な部分をしっかりと強化したということになる。
その上で、初代が得意としてきた「使いやすさ」を磨き込み、従来から搭載されていた機能と性能の大幅な強化も図っている。音質の話は最後に回して、まず体験の“質”をどのように高めているか、詳しくチェックしていこう。
関連記事
- 「iPhone」「Apple Watch」「AirPods Pro」の“熟成”を選んだApple 現地で基調講演を見て得た実感
Appleが毎年恒例の9月のスペシャルイベントを開催した。2022年は「iPhone」「Apple Watch」「AirPods Pro」の新製品を披露したが、どの製品もある意味で“熟成”を選んだように見える。どのような“熟成”を選んだのか、発表会の現地で知り得たことを交えて紹介する。 - スマホ選びに悩んだら「iPhone 14 Pro」がベストか? iPhone 14シリーズを使い比べて分かったこと
間もなく、「iPhone 14」「iPhone 14 Pro」「iPhone 14 Pro Max」が発売される。例年の新型iPhoneと比べると、「非Pro」と「Pro」の差が大きめである印象だが、実際の所はどうなのだろうか。実際に使い比べて検証してみよう。 - Appleがヘッドフォンの極限を目指すとどうなるのか? 「AirPods Max」への期待
Appleが12月8日に発表したオーバーイヤータイプのヘッドフォン「AirPods Max」。同社が目指した“Max”は何なのか。12月15日の発売を前に、林信行氏が考察した。 - iPhone 14/Apple Watch/AirPods Proの共通項 シンプル、パーソナル、そして安心安全
Apple恒例となる秋のスペシャルイベントが開催された。「超えよう。」をテーマに発表された新製品はどのようなものだったのか。林信行氏がレポートする。 - AirPods Proに学ぶ魔法とテクノロジーの境界線
Appleのワイヤレスイヤフォン「AirPods Pro」が話題を集めている。さまざまな機能がうたわれているが、Appleの神髄はそこにない。Appleがかけた“魔法”を林信行氏が解説する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.