「AirPods Pro(第2世代)」と初代を比較して分かった! 驚きの「音質」「ノイキャン」性能:本田雅一のクロスオーバーデジタル(2/5 ページ)
Appleが9月23日に発売する完全ワイヤレスイヤフォン「AirPods Pro(第2世代)」は、見た目では第1世代からの変化は乏しい。しかし、実際に使ってみると、第1世代から大きく進化していることが良く分かる。発売に先駆けて実際に試してみた所感を記事としてまとめたい。
「2倍のノイキャン効果」が持つ意味は?
第2世代のAirPodsは、アクティブノイズキャンセリング(ANC)の能力が最大2倍に向上しているという。発表の当初、「何をもって『2倍』と言っているのか?」という疑問がちらほら見られた。
音響エネルギーをもって「2倍」ということなら、ノイズレベルに換算すると3dB(デシベル)しか改善していないことになる。しかし、Appleは体感的に「2倍」の雑音を消せるとい言いたいようである。
実際に第2世代のAirPods Proを試してみると、3dBといった小さな話ではなく、初代とは全く比較にならないほどノイズキャンセリング能力が高まったと感じられる。もちろん、ノイズキャンセリングの絶対的なdB値も増えているようだが、より幅広い周波数の音をキャンセルすることで感じられる全体的なノイズ量も減らしているようで、高いノイズキャンセリング効果を得られるのだ。
原理上、ANCは低い音ほど効率的に働きやすい。そのこともあって、高音域のノイズは再生デバイス自身の遮音性を高める、いわゆる「耳栓効果」によって抑える傾向にある。しかし、イヤフォンの場合は耳全体を覆うわけではなく、かといって装着感を考えるとイヤーチップの遮音性を高めることには限界があるため、ヘッドフォンほどの効果は期待できない。
しかし、新たに搭載した「Apple H2チップ」の演算能力が高いためか、アルゴリズムを変えたのかは分からないのだが、第2世代のAirPods Proはかなり高い音もしっかりとキャンセルしてくれる。
少し脇道にそれるが、Apple Watch用の新しい「watchOS 9」では、環境音を測定する「ノイズ」アプリが更新された。新アプリでは、現在の騒音をApple製オーディオ機器を通すとどのくらい“打ち消せるのか”レポートする機能が追加された。ただし、現時点ではレポート対象は第2世代のAirPods Proのみとなる。
スペック値として、特定周波数のピークで40dB以上のANC効果をうたうイヤフォンは存在する。しかし、それは、あくまでも特定周波数に限ったものである。実際に感じられる環境音として、どの程度の音を打ち消せるのかが問題となるが、ノイズアプリのレポート機能は、そのことを考慮した値を示してくれるようだ。
「Apple Watchが計測する値を信じる」という条件付きだが、第2世代のAirPods Proでは以下のノイズキャンセリング効果を得られるという。
- 電車内(65dB前後)→42dB前後(図書館並み)
- 静かな場所(42dB程度)→22dB程度(静かな山奥の小屋くらい)
つまり、うるさい環境では23dB前後、静かな場合でも20dB前後はノイズを低減してくれるということである。
初代のAirPods Proでも、ピーク値で40dBのキャンセリング性能があるとされている。第2世代の「最大2倍」が、より幅広い帯域のノイズを打ち消すことで環境音低減効果が「最大2倍になる」という意味だとすると、Appleの主張は間違いなさそうである。
ANCに対応する完全ワイヤレスイヤフォンにおいて最高品質のものといえば、筆者はソニーの「WF-1000XM4」を真っ先に思い出す。このWF-1000XM4は、イヤフォンタイプの製品としては比較的高い音まで除去してくれる。
WF-1000XM4と比べると、第2世代のAirPods Proは、幅広い音域で程よくノイズを除去してくれる傾向にある。例えば、少し離れた場所にいる人の話し声や、電話している人の声も“しっかりと”聞き取りづらくなる。もちろん限界はあるが、バランスのよいノイズキャンセリングを実現できているように思う。
これは新しいドライバユニットが広帯域でフラットかつハイスピードに応答することに加え、従来の「Apple H1チップ」の2倍に相当する10億トランジスタを集積したH2チップの能力、そして適切なマイクは位置が相まって実現できているのだろう。
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