Zen 4アーキテクチャの“実力”は? 「Ryzen 7000シリーズ」の性能を先行チェック!:9月30日19時発売(3/5 ページ)
AMDが、Zen 4アーキテクチャを採用する新型デスクトップPC向けCPU「Ryzen 7000シリーズ」を9月30日19時に発売する。それに先駆けて、今回の新製品を試す機会を得たので、その実力をチェックしていこう。
ベンチマークテストでRyzen 7000シリーズの実力をチェック!
ここからは、Ryzen 7000シリーズの実力をベンチマークテストを通して確認していこう。
今回は、以下の通りAMDが提供した「レビューキット」に筆者手持ちの機材を組み合わせてテストを実施した。
- CPU:Ryzen 7000シリーズ全モデル
- Ryzen 9 7950X(4.5GHz〜5.7GHz、16コア32スレッド)
- Ryzen 9 7900X(4.7GHz〜5.6GHz、12コア24スレッド)
- Ryzen 7 7700X(4.5GHz〜5.4GHz、8コア16スレッド)
- Ryzen 5 7600X(4.7GHz〜5.3GHz、6コア12スレッド)
- マザーボード:ASRock X670E Taichi(AMD X670Eチップセット)
- メインメモリ:G.SKILL TRIDENT Z5 NEO(16GB)×2
- DDR5-6000規格
- AMD EXPO Technology対応
- GPU:MSI RADEON RX 6800 XT GAMING X TRIO 16G(AMD Radeon RX 6800 XT)
- PCI Express 4.0接続
- Smart Access Memory(SAM)/Resizable BAR対応
- SSD:Crucial P5 Plus(1TB)
- PCI Express 4.0接続
- 電源ユニット:ASUS ROG-STRIX-1000G(最大1000W)
- OS:Windows 11 Pro
参考に、今回は筆者が普段使っているPCにおけるスコアも掲載する。主要なスペックは以下の通りだ。
- CPU:Core i7-12700F
- Pコア8基16スレッド、2.1GHz〜4.9GHz
- Eコア4基4スレッド、1.6GHz〜3.6GHz
- マザーボード:BIOSTAR B660GTN(Intel B660チップセット)
- メインメモリ:DDR4-3200規格 16GB×2
- GPU:MSI RADEON RX 6800 XT GAMING X TRIO 16G
- SSD:Samsung 980 PRO(1TB)
- PCI Express 4.0接続
- 電源ユニット:NZXT C750(最大750W)
- OS:Windows 11 Pro
Ryzen 7000シリーズのテスト環境では、AMD EXPO Technologyを有効化し、メモリモジュールをDDR5-6000規格で動作させている。マザーボードのUEFIで有効化するだけで簡単かつ安全にメモリのオーバークロックを行える。
つまり今回のテストでは、Ryzen 7000シリーズの現時点における“本気”をテストできる環境だと思って良いだろう。
CINEBENCH R23
まず、3Dレンダリングを通してCPUの性能をテストする「CINEBENCH R23」を実行してみた。結果は以下の通りだ。
- マルチコア
- Ryzen 9 7950X:3万7811ポイント
- Ryzen 9 7900X:2万8864ポイント
- Ryzen 7 7700X:1万9515ポイント
- Ryzen 5 7600X:1万4988ポイント
- Core i7-12700F:2万1480ポイント
- シングルコア
- Ryzen 9 7950X:2056ポイント
- Ryzen 9 7900X:2012ポイント
- Ryzen 7 7700X:2001ポイント
- Ryzen 5 7600X:1965ポイント
- Core i7-12700F:1841ポイント
最近なら「Ryzenはマルチコアのスコアで勝り、第12世代Coreプロセッサはシングルコアスコアで勝る」という感じのイメージだったが、Ryzen 7000シリーズはシングルコアのスコアも着実に改善している。今回のラインアップにおいてエントリークラスであるRyzen 5 7600Xでも、シングルコアスコアならCore i7-12700Fに勝っている。
先述の通り、ゲーミングではCPUのマルチコアを生かしきれないケースも少なくない。そういう意味では、Ryzen 7000シリーズは(現状の)エントリークラスでも良好なゲーミング環境を実現できそうである。
もちろん、Ryzen 7000シリーズはマルチスレッドも改善している。写真/動画編集など、マルチコア性能がモノをいう場面でも活躍しそうである。
PCMark 10
続いて、PCの総合的な性能をチェックできる「PCMark 10」の結果を見ていこう。総合スコアは以下の通りとなった。
- Ryzen 9 7950X: 1万734ポイント
- Ryzen 9 7900X: 1万606ポイント
- Ryzen 7 7700X: 1万270ポイント
- Ryzen 5 7600X: 1万177ポイント
- Core i7-12700F: 9706ポイント
PCMark 10ではブラウジングやOfficeスイートの操作、簡単な画像編集といった標準的なPCの操作におけるパフォーマンスをチェックしている。内容を考えると、今回のテスト環境では「お茶の子さいさい」なテストといえなくもない。
ただ、テストのスコアをよく見てみるとRyzen 5 7600XはCore i7-12700Fを上回っている。Ryzen 7000シリーズの地力の高さが伝わるはずだ。
3DMark
Ryzen 7000シリーズは、発表時にも「ゲーマーに最速のCPUコアを」とうたっていた。そう言われると、ゲーミング性能の大幅な向上に期待を寄せている人も多いだろう。
そこで今度は「3DMark」を用い、3Dグラフィックスの描画パフォーマンスを確認を行った。今回はDirectX 12ベースの「Time Spy」「Time Spy Extreme」「Night Raid」と、DirectX 11ベースの「Fire Strike」「Fire Strike Extreme」「Fire Strike Ultra」でテストを行った。スコアは以下の通りだ。
- Time Spy(DirectX 12ベース/2560×1440ピクセル)
- Ryzen 9 7950X:1万9203ポイント
- Ryzen 9 7900X:1万9120ポイント
- Ryzen 7 7700X:1万8801ポイント
- Ryzen 5 7600X:1万7459ポイント
- Core i7-12700F:1万9106ポイント
- Time Spy Extreme(DirectX 12ベース/3840×2160ピクセル)
- Ryzen 9 7950X:9999ポイント
- Ryzen 9 7900X:9658ポイント
- Ryzen 7 7700X:9075ポイント
- Ryzen 5 7600X:8518ポイント
- Core i7-12700F:9152ポイント
- Night Raid(DirectX 12ベース/1920×1080ピクセル)
- Ryzen 9 7950X:8万7128ポイント
- Ryzen 9 7900X:8万6120ポイント
- Ryzen 7 7700X:8万6732ポイント
- Ryzen 5 7600X:7万6012ポイント
- Core i7-12700F:8万247ポイント
- Fire Strike(DirectX 11ベース/1920×1080ピクセル)
- Ryzen 9 7950X:4万5431ポイント
- Ryzen 9 7900X:4万2982ポイント
- Ryzen 7 7700X:4万3656ポイント
- Ryzen 5 7600X:4万1416ポイント
- Core i7-12700F:3万6385ポイント
- Fire Strike Ultra(DirectX 11ベース/3840×2160ピクセル)
- Ryzen 9 7950X:1万3328ポイント
- Ryzen 9 7900X:1万3296ポイント
- Ryzen 7 7700X:1万3289ポイント
- Ryzen 5 7600X:1万3152ポイント
- Core i7-12700F:1万3097ポイント
スコアを見比べると、DirectX 12ベースの負荷が重めのテスト(Time Spyシリーズ)ではRyzen 5 7600XのスコアはCore i7-12700Fに負けている。一方で、それ以外のテストではRyzen 5 7600XがCore i7-12700Fに勝っている。
アーキテクチャ的に古めのゲームをプレイする場合は、シングルコア性能の高いRyzen 7000シリーズは良い選択肢となりそうである。特に想定価格が5万円を切るRyzen 5 7600Xは、(マザーボードやメモリモジュールの価格次第だが)コストパフォーマンスに優れたゲーミングPC作りに役立ちそうだ。
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