Zen 4アーキテクチャの“実力”は? 「Ryzen 7000シリーズ」の性能を先行チェック!:9月30日19時発売(4/5 ページ)
AMDが、Zen 4アーキテクチャを採用する新型デスクトップPC向けCPU「Ryzen 7000シリーズ」を9月30日19時に発売する。それに先駆けて、今回の新製品を試す機会を得たので、その実力をチェックしていこう。
FF14ベンチマーク/FF15ベンチマーク
続いて、実際のゲームをベースとするベンチマークテストを実行してみよう。
まず、比較的軽量な「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレ ベンチマーク(FF14ベンチマーク)」を試してみる。画質設定は「最高品質」として、フルHD(1920×1080ピクセル)、WQHD(2560×1440ピクセル)、4K(3840×2160ピクセル)の3つの解像度でテストを行った結果は以下の通りだ。
- フルHD
- Ryzen 9 7950X:3万911
- Ryzen 9 7900X:3万462
- Ryzen 7 7700X:3万235
- Ryzen 5 7600X:2万9914
- Core i7-12700F:2万6523
- WQHD
- Ryzen 9 7950X:2万5747
- Ryzen 9 7900X:2万5528
- Ryzen 7 7700X:2万4927
- Ryzen 5 7600X:2万4899
- Core i7-12700F:2万3048
- 4K
- Ryzen 9 7950X:1万4537
- Ryzen 9 7900X:1万4515
- Ryzen 7 7700X:1万4505
- Ryzen 5 7600X:1万4501
- Core i7-12700F:1万4283
描画解像度が高くなるほどスコア差は小さくなるが、全体的にはRyzen 7000シリーズの優位は明らかである。Ryzen 7000シリーズ内での差があまり付かなかったのは、シングルコアが“命”なプログラムだからなのかもしれない。
軽量なゲームタイトル、あるは設計の古いゲームであれば Ryzen 7000シリーズは(現状の)エントリークラスでも快適に遊べる性能を確保できているということである(外部GPUを用意することが前提となるが)。
続いて、負荷の重い「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK(FF15ベンチマーク)」を実行してみよう。画質を「高品質」に設定し、フルHD、WQHD、4Kの3解像度でベンチマークを実行した結果は以下の通りとなった。
- フルHD
- Ryzen 9 7950X:1万7647
- Ryzen 9 7900X:1万7608
- Ryzen 7 7700X:1万7574
- Ryzen 5 7600X:1万7287
- Core i7-12700F:1万7083
- WQHD
- Ryzen 9 7950X:1万3352
- Ryzen 9 7900X:1万3228
- Ryzen 7 7700X:1万3133
- Ryzen 5 7600X:1万3307
- Core i7-12700F:1万2963
- 4K
- Ryzen 9 7950X:7572
- Ryzen 9 7900X:7546
- Ryzen 7 7700X:7533
- Ryzen 5 7600X:7525
- Core i7-12700F:7523
こちらも解像度が上がるほどスコア差が小さくなるが、全般的にRyzen 7000シリーズはCore i7-12700Fを上回っている。過去にテストを行った「Core i9-12900K」や「Ryzen 9 5950X」のテストと比べても、Ryzen 7000シリーズのスコアは良好である。
AMDがアピールする通り、Ryzen 7000シリーズはゲーミング用途における最高のCPUの1つといえそうである。
今回はテスト機材と時間の都合で「Ryzen Master」のテスト、あるいは超ハイエンドGPUとの組み合わせのテストはできなかった。ただ、単純にスコアを見る限りは、組み合わせるGPUによっては、Ryzen 5 7600Xでも4Kゲームを十分に楽しめるポテンシャルを有することは分かる。
用途によっては、本当にコストパフォーマンスの良いゲーミングPCを自作できそうである。
内蔵の「Radeon Graphics」の実力は?
ここまでのテストは、外部GPUをつないだ状態でテストをしてきた。「今回から内蔵されたRadeon Graphicsの性能は?」と気になる人もいるだろう。そこで、上記のテストの一部をRyzen 9 7950Xの内蔵GPUでも実施してみた。その(総合)スコアは以下の通りである。
- 3DMark
- Time Spy:260ポイント
- Time Spy Extreme:117ポイント
- Night Raid:3717ポイント
- Fire Strike:707ポイント
- Fire Strike Ultra:154ポイント
- FF14ベンチマーク
- 最高品質(フルHD):684
パフォーマンスのそこそこ高いRDNA 2ベースとはいえ、同アーキテクチャのエントリークラスの独立GPUである「Radeon RX 6400」と比べてもCUが6分の1しかないので、スコアはかなり厳しい。
この状態でも、1画面での4K動画の再生はスムーズだし、Webブラウズで引っかかるようなことはない。ただし、3Dグラフィックスは“おまけ”程度の能力しかなく、ゲーム用途で常用するのはムリである。自作でPCを組む際など、最小構成で映像出力が必要なときに利用できる機能と思っておくのが得策だろう。
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