検索
連載

新しいBingにみるMicrosoftのAI戦略Windowsフロントライン(1/3 ページ)

MicrosoftとOpenAIの話題が飛び交っているが、Microsoftの製品で実際にどのように利用されていくのか。その一例として「Bing」を見ていこう。

Share
Tweet
LINE
Hatena

 先日、「ChatGPT」で話題のOpenAIとMicrosoftの関わりについて説明したが、OpenAIが抱える学習モデルの可能性は無限大であり、実際にChatGPTのようなチャットボットを除くと、どのような形でMicrosoftの製品に埋め込まれていくのかは未知数な面がある。

 サンプルの1つは「Microsoft Designer」における「DALL-E 2」のAIイラストでの活用例だが、今回はOpenAIのMicrosoft製品における応用について触れたい。

皆さん! Bingを使っていますか?

 今日、Microsoftのインターネット検索エンジンとして君臨している「Bing」だが、その源流はMSN Searchを発展させた「Live Search」にある。Windows Liveでブランディングされた一連の製品群は現在同社CEOのサティア・ナデラ氏が率いるチームが開発したもので、広告プラットフォームも含め、実質的にGoogle対抗となる製品を立ち上げることにあった。

 後の2009年6月に、この製品は「Bing」としてリブランディングされることになるが、その直前となる2008年にはYahoo!で検索エンジン開発に携わっていたチー・ルー(Qi Lu)氏を引き抜いており、同氏の下で“よりモダン”な形へとブラッシュアップが行われている。

2009年6月3日に米ワシントン州シアトルで開催された「Search Marketing Expo(SMX)」のカンファレンスで、Search Engine Landのダニー・サリバン(Danny Sullivan)氏(右)のインタビューに答えるチー・ルー氏(左)
2009年6月3日に米ワシントン州シアトルで開催された「Search Marketing Expo(SMX)」のカンファレンスで、Search Engine Landのダニー・サリバン(Danny Sullivan)氏(右)のインタビューに答えるチー・ルー氏(左)
SMXでのBingの展示の様子
SMXでのBingの展示の様子。Microsoftが、本格的なオープン標準路線に移行し始めた時期に登場したサービスといえる

 当時受けた説明を記憶から引っ張り出す限り、「より意図した情報にたどり着きやすい検索エンジン」というのがBingの触れ込みの1つだった。

 現在でこそ、Googleなどでも「天気」といったキーワードで検索すれば周辺の天気情報がダイジェスト的に優先表示されたり、芸能関係の情報を探そうと思えば人物やTVプログラムの情報をまず引っ張ってきたりと、単純な機械的なページのランク順表示にはよらないページ構成を採るようになっているが、この方式にいち早く着手したのはBingだったと記憶している。

 一方で、「ページ検索」という本来の意味での精度は、まだまだブラッシュアップが足りずというのが当時からの一貫した印象だ。実質的にIneternet Explorerや後のEdge、そしてWindowsの標準検索エンジンとしてデフォルト設定が行われる機会が増えたとしても、世間的な利用はさほど伸びていない。

 StatCounterのデータによれば、2023年1月時点でのBingのシェアは3.03%と、Googleの92.9%に遠く及ばない。もちろんStatCounterのデータには偏りがあり、必ずしも実際の利用状況と一致しているわけではないものの、筆者の周囲を見る限りはBingの利用はほとんどないというのが実感で、同所で示されるデータとさほど乖離(かいり)はないと思われる。

       | 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る