「100万人に喜んでもらえるVAIO」に挑戦しよう! VAIOを触ったことがないのに社長になった山野氏のこだわり:IT産業のトレンドリーダーに聞く!(VAIO 前編)(4/4 ページ)
コロナの5類感染症変更など、世の中の環境、経済状況や社会情勢が激変する昨今。急激な円安に伴う物価の上昇が続く中で、IT企業はどのような手を打っていくのだろうか。大河原克行氏によるインタビュー連載の第5回はVAIOだ。
同じ過ちは繰り返さない! VAIOの価値をしっかりと盛り込む
―― ソニー時代にPC事業の業績悪化を招いた元凶が、普及モデルへの展開でした。定番PCの発売は、それと同じ状況を招きませんか。
山野 当時、なぜそういった状況を招いてしまったのかということについては、私自身、かなり勉強しました。例えば過去のケースでは、高機能モデルと廉価モデルの開発チームを完全に切り分け、それぞれに開発を行っていました。
高機能モデルを「黒VAIO」、廉価モデルを「白VAIO」と呼んでいたそうですが、結果として、黒VAIOと白VAIOが対立軸のような形になり、お互いに情報共有ができていなかったり、技術が連携しなかったりといった状況が生まれました。今回は、いわゆる黒VAIOと白VAIOという区別はつけずにOne Teamとなって、プレミアム製品も定番製品も開発するという仕組みにしました。プレミアムモデルを開発している人たちが、定番モデルを開発しているわけで、定番といえどもVAIOの価値をしっかりと踏襲し、最安値は追求しないというのが、今回のモノ作りです。そこが、かつての普及モデル戦略とは大きく異なります。
―― 新製品の手応えはどうですか。
山野 法人向けモデルは「ビジネスの定番」、個人向けモデルは「コンシューマーの定番」といえるものが完成したと思っています。ディストリビューターの方々には、これまでとは異なるほど、力を入れていただいていますし、量販店のバイヤーからは、スペック表を見ただけでは取り扱いにはやや難色を示していたものが、実際に手に取ってもらうと、新しいVAIOをぜひ扱ってみたいといっていただけるといったことが起きています。
お客さまにも、店頭で新たなVAIOを1度手に持ってもらうだけで、その質感に驚いてもらえると思いますよ。多くの人に使っていただくという市場において、戦える製品を作ることができたと自負しています。
―― 定番モデルでは、生産体制などに変化はありますか。
山野 新製品は、中国の協力工場でアセンブリを行い、それを日本に輸入し、全量を対象にした最終検品を安曇野の拠点で行い、「安曇野FINISH」として品質を担保して、国内市場に出荷する形になります。
また、海外市場向けには、中国の工場から完成品を出荷する形になりますが、ブラジル向けには部品を現地で組み立てて、アセンブリをする形になります。品質管理においては、これまで以上に協力工場と連携を図っていくつもりです。
−後編へ続く−
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