VAIOは成長フェーズへ PC事業への回帰で周辺デバイスやリファービッシュ品も投入 VAIO Pの後継モデルも!?:IT産業のトレンドリーダーに聞く!(VAIO 後編)(4/4 ページ)
コロナの5類感染症変更など、世の中の環境、経済状況や社会情勢が激変する昨今。急激な円安に伴う物価の上昇が続く中で、IT企業はどのような手を打っていくのだろうか大河原克行氏によるインタビュー連載のVAIO 後編をお届けする。
「VAIOは他社と違う製品を届けてくれる」と言われたい
―― 今後、VAIOはどんな企業を目指しますか。
山野 「カッコイイ」「カシコイ」「ホンモノ」という、VAIOならではの価値を製品として届けることにこだわり、それによって仕事の生産性を高め、社会課題の解決にも貢献していきます。ただし、VAIOのシェアはまだ低く、この価値をもっと多くの人たちに届けなくてはいけません。シェアナンバーワンではありませんが、キラリと光るPCを出し、多くの人から「VAIOは他社と違う製品を届けてくれる」と言われるPCメーカーになりたいですね。
―― 現時点では、どの程度まで達成されていますか。
山野 まだ3合目ぐらいですね。定番PCを投入したことで一歩進みましたが、大切なのは、定番PCを出したことではなく、定番PCに対するこれからの評価です。VAIOが投入した定番PCの良さが伝わらなくては、意味がありませんし、私たちの挑戦は失敗したことになります。
VAIOの全ての社員が一緒になって、定番PCを成功させる努力をしなくてはなりません。まだまだやることは多いですね。そして、定番PCでシェアを獲得したら、その成果を元に「VAIO SX」シリーズをより進化させ、さらに、「VAIO Z」や「VAIO P(VAIO Type P)」といった尖った製品の次の開発につなげていくことになります。
2009年1月にソニーから発売された「VAIO type P」(写真は2010年夏モデル)。ソニー初のAtom搭載PCであり、8型のウルトラワイド液晶ディスプレイで600gを切る(最小構成時)ボディーなどが話題を振りまいた
―― えっ、VAIO Pもやるんですか?
山野 はい、VAIO Pもやりたいですね。また、決めてはいませんが、PCの周辺領域という意味では、ゲーミングPCやビジネス向けハイパフォーマンスコンピューティングといった市場もターゲットになるかもしれませんし、ここではVAIOとは別のブランドという検討があるかもしれません。
さらに、ソニー時代のVAIOを知らないという若い世代の人たちがPCの購買層になってきていますから、新たな顧客層に対する訴求も重視していきます。可能性はさまざまです。
定番PCによって裾野が広がれば、高い山が作れます。今は定番PCで裾野を広げることに力を注ぎ、次にプレミアムPCで高い山を作り、そして、また裾野を広げるという作業を繰り返していきます。山登りは上を見ると、まだ先がこんなにあるのかと思い、苦しいだけです。
しかし、着実に一歩一歩登っていき、振り返ってみたらこんな高いところまで来ていた、こんないい景色が見られたという感動にこそ楽しさがあります。高みに向かって歩みを止めないことが大切です。
VAIOは本業にフォーカスしながら、成長フェーズへと踏み出しました。裾野が広く、高い山を、歩みを止めずに一歩一歩登っていきます。
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