検索
ニュース

3Dオブジェクトを裸眼で見られる27型「空間再現ディスプレイ」 ソニーが「ELF-SR2」を投入(2/2 ページ)

ソニーが2020年以来となる「空間再現ディスプレイ」の新製品を発表した。裸眼で3Dオブジェクトを確認できるディスプレイに注力することで、同社は新たな市場開拓を狙っている。

Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       

ハードとソフトの両軸で、クリエイションを支える

 ELF-SR2の発表に合わせて、同社は空間再現ディスプレイ用のアプリを簡単に検索できるサイト「アプリセレクト」を開設することを明らかにした。

 このサイトでは、空間再現ディスプレイと互換性のあるアプリはもちろん、関連する事例などの情報を確認することもできる。掲載する情報は今後も拡充していくという。

 同社としては、アプリセレクトを通して空間再現ディスプレイの利用促進を図っていく方針だという。

ソニー SONY 3DCG 空間再現ディスプレイ
ポータルサイト「アプリセレクト」を通して、空間再現ディスプレイの利用促進を図る
ソニー SONY 3DCG 空間再現ディスプレイ
ソニーの鈴木敏之氏(インキュベーションセンター メタバース事業開発部門 部長)

 今後、同社ではELF-SR2という「ハードウェア」と、空間再現ディスプレイで使える「ソフトウェア」の両方で積極的に展開していく考えだという。各業界で活用できるアプリ群を拡大していくことで、空間再現ディスプレイと、それによって生まれる“価値”を最大化していく方針だ。

 この方針を踏まえて、同社は空間再現ディスプレイ独自の3Dビューワー「空間再現ディスプレイプレーヤー」を無償で配布する。また、3D製作ツールや医療/教育用アプリ、建築や文化財アーカイブなどで活用されている「点群データ」のビューアーなど、サードパーティーアプリのELF-SR2への対応も促進していくという。

 有名どころでは、Autodeskの3DCGツール「Maya」のコンテンツをリアルタイムで立体表示できるプラグインも、2023年内にソニーからリリースされる予定である。

ソニー SONY 3DCG 空間再現ディスプレイ
ハードとソフトの両軸で攻めるソニー
ソニー SONY 3DCG 空間再現ディスプレイ
Mayaで作成したオブジェクトをELF-SR2でモニターするデモ

 アプリ開発者向けには、特設サイトで「空間再現ディスプレイSDK 2.0」を近日中に公開する。

 このSDKはゲームエンジンとしても有名な「Unity(ユニティ)」や「Unreal Engine(アンリアルエンジン)」に対応している他、3Dグラフィックスの主要なAPI(DirectX 11/12、OpenGL)を使った開発にも活用できる。2023年内には「OpenXR」にも対応する予定だ。

ユーザーからも期待の声が

 発表会では、エリジオンの中川大輔氏(プロダクトマーケティング ゼネラルマネージャー)と、サイアメントの瀬尾拡史社長(医学博士)も登壇し、それぞれの立場から空間再現ディスプレイへの期待を語った。

 エリジオンは3Dデータ変換技術に関するベンチャー企業である。物体や地形をレーザースキャナーなどで測量し、それをソフトウェアで処理して3Dデータ化していくことも日常だという。中川氏は、3DデータをELF-SR2で“可視化”することで、壁を通り抜けたり、断面の表示に切り替えて採寸したりといった、現実空間では困難な作業も行えるようになることに期待しているそうだ。

ソニー SONY 3DCG 空間再現ディスプレイ
エリジオンの中川大輔氏

 サイアメントは、学術や科学に特化したCGコンテンツを制作する会社だ。瀬尾氏は病院の診察においてELF-SR2を活用すれば、例えば実寸大で心臓の動きをリアルタイムに確認し、平面のデータからは発見しづらかった、詳細なデータの即時確認に役立つと語った。

ソニー SONY 3DCG 空間再現ディスプレイ
サイアメント瀬尾拡史社長
ソニー SONY 3DCG 空間再現ディスプレイ
例えば右側のPCから医師が操作を行い、左側のELF-SR2で心臓の立体的な動きを見せるといった使い方ができる
前のページへ |       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る