「GeForce RTX 4060 Ti(8GB)」はフルHDゲームも動画エンコもピッタリな良コスパGPUだ(3/4 ページ)
5月24日22時から販売が始まる「GeForce RTX 4060 Ti(8GB)」を搭載するグラフィックスカード。その実力はいかほどのものか、日本未発売の純正カードを使ってチェックしていこう。
サイバーパンク2077
FF15ベンチマークでは、フルHD以外の解像度では上位製品との差がやや大きくなってしまった。さらに負荷の大きい(≒やりとりするデータ量が多い)ゲーム、特に「AAA(大作)ゲーム」ではどうなってしまうのかという不安もある。
そこで、負荷の大きいAAAゲームを代表して、「サイバーパンク 2077」のベンチマークテストモードを使って平均フレームレートを計測してみることにした。
サイバーパンク 2077は、NVIDIAの超解像技術「DLSS(Deep Learning Super Sampling)」に対応している。GeForce RTX 40シリーズと組み合わせた場合は、最新の「DLSS 3」によるフレーム補間も適用される。
ということで、今回は画質設定を「ウルトラ」とした上で、フルHD、WQHD、4Kの解像度で「DLSS無効(ネイティブ解像度)」「DLSS有効/品質:ウルトラパフォーマンス」の平均フレームレートを計測する。なお、このテストはGeForce RTX 4060 Ti(8GB)でのみ実施している。
気になる結果は以下の通りだ。
- フルHD
- DLSS無効:44.07fps
- DLSS有効:180.49fps
- WQHD
- DLSS無効:25.54fps
- DLSS有効:132.3fps
- 4K
- DLSS無効:3.66fps
- DLSS有効:67.28fps
DLSSが無効、つまりネイティブ解像度で描画をすると、フルHDでも平均44.07fpsに落ち込んでしまう。4Kに至っては平均3.66fpsで、「紙芝居」も過ぎる状態になってしまう。
しかし、DLSSを有効にすると、フルHDでは平均180fps程度、4Kでも平均67fps程度となる。一般的な据え置き型ゲーム機やスマートフォン向けのゲームの基準フレームレートが「60fps」であることを考えると、十分すぎるほどに“実用的”なレートとなる。これなら、高リフレッシュレートのディスプレイと組み合わせても問題ない。
検証前は、「フルHDで144fpsを超えれば御の字かな」と思っていた。しかし、WQHDはもちろん、4Kでもゲームをそこそこ楽しめるレートに改善したのは良い意味で誤算だった。
「ネイティブ解像度で高フレームレートを追求することこそがロマン!」という人はさておき、DLSSは普通にゲームをする分には十分な画質だ。
もちろんこれはテストなので、実際のプレイやゲームタイトルによってはもう少し平均フレームレートが落ち込む可能性がある。今回試した「ウルトラパフォーマンス」は解像感よりもフレームレートを優先する設定なので、「わざわざ高解像度(WQHDや4K)で遊ぶ必要性」が薄れてしまっているのも否めない。
それでも、GeForce RTX 4060 TiでDLSS 3を使えば、設定次第で重量級のゲームタイトルも十分すぎるレベルで遊べる。
Microsoft Flight Simulator
サイバーパンク 2077の結果に気を良くした筆者は、「Microsoft Flight Simulator」でもGeForce RTX 4060 Ti(8GB)におけるDLSS 3の実力を検証してみることにした。
今回は、ディスカバリーフライトの「モナコ」をAI操縦とした上で、「CapFrameX」で2分間の平均フレームレートを計測した。設定で「DirectX 12」を有効にした状態での計測結果は以下の通りだ。
- フルHD
- DLSS無効:60.0fps
- DLSS有効:144.6fps
- WQHD
- DLSS無効:59.5fps
- DLSS有効:99.3fps
- 4K
- DLSS無効:34.8fps
- DLSS有効:50.0fps
Microsoft Flight SimulatorでもDLSS 3の効果はてきめんで、どの解像度もフレームレートが大きく改善している。特にフルHDでは2.41倍も向上している。あまり設定はいじっていないとはいえ、ネイティブ解像度のフルHDでも平均60fpsを記録したことにもビックリした。
フルHDはもちろん、設定次第ではWQHDでもネイティブ解像度で十分に遊べそうなのは良いこと……なのだが、DLSS 3を使えば家庭用ゲーム機を上回るフレームレートで高解像度のゲームが遊べることも見逃せない。「ゲーム環境をPCにまとめたい!」と考えているユーザーにとって、GeForce RTX 4060 Ti(8GB)は“ちょうどいい”GPUになりそうである。
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