米Orbicが2万円台から買えるAndroidタブレットなどで日本市場へ進出──使いこなせない機能、高い端末価格へ「リアル」を突きつける!(3/3 ページ)
半導体不足や円安、ハイエンドモデルの増加などで消費者がデジタルデバイスを買い替えづらくなっている。そのような中、ユーザーにとって“リアル”で価値のあるデバイスを届けたいという米Orbicが日本市場に参入した。
このタイミングで日本市場へ進出した理由
これらの新製品を引っさげて、なぜOrbicが日本に進出を果たしたのだろうか。アダモポウロス氏は「日本が好きだから」とリップサービスをしつつ、日本をターゲットにした理由を次のように説明した。
「5Gへのシフト/半導体不足/円安/パンデミックなど日本のモバイル業界を取り巻く環境に大きな変化が見られた。リモートワークやノマドワークの一般化、行政サービスが紙ベースからデジタルベースへとシフトするなどにより、モバイル端末があらゆる場面で必要になっているにもかかわらず、メーカーはフラッグシップやハイエンドモデルの開発/販売にシフトしている」という。
さらに「デバイスが高価になっている上、2019年10月に施行された改正電気通信事業法により、端末の値引き上限が税別2万円に制限され(現在、4万円への緩和が検討されている)、端末の買い替え頻度が停滞した。ますますシニア世代とそれ以外との間で情報格差が広がっている」と指摘し、「消費者が真に必要としている機能を搭載し、お手頃価格で購入できるスマホが必要だと考えた」と経緯を話した。
実のところ、Orbicが掲げるブランドコピーは「Be Real. Value. Technology. You.」(意味のある、リアルで対価を払う価値のある技術を提供する)というものだ。使わない(意味のない)機能を備えて高価になった端末ではなく、「カメラやバッテリー、ディスプレイといった基本的な機能に関しては妥協せず、マルチタスクにも対応したパワーを有しつつ、不必要なものを削ぎ落とした買いやすい価格帯の端末を消費者が望むのであれば、全ての期待に応えられずとも、それに近づけていきたい」という意気込みが見えた。
ただ残念なのは、オンラインでの行政サービスのためにモバイル端末が必要だという認識がありながら、今回発表されたどのモデルにもマイナンバーカードのICチップを読み取れるNFCリーダーを搭載していないということだ。
とはいえ本件について、後の質疑応答でアダモポウロス氏は「日本で販売していく以上、対応も検討していく」と回答していた。
最後に登壇した島田氏は、Orbic製品の販売情報について説明した。氏によれば、発売は6月下旬、MVNO量販店、オンラインストアの各社で購入でき、購入から12カ月の製品保証が受けられ、国内に設置したカスタマーサポートの利用が可能とのことだ。
日本語でのWebサイトが設けられ、Japan OrbicのTwitterやInstagramアカウントも開設される。
近江商人の末裔(まつえい)だという島田氏にかけて、アダモポウロス氏は、Orbicとして日本で実現したいことを「『売り手によし/買い手によし/世間によし』(三方よし)の経営理念をベースに、ブランドの信頼を構築していきたい。2023年を100年続くブランドを構築する最初の年にしたい」と述べてから、次のように語った。
「製造を工場に丸投げしてラベルを貼って売るだけというメーカーではなく、開発/設計/製造/テストなど製造に関係したさまざまな部門を社内に抱え、製品コントロールをすることで、消費者へ意味のあるものを届けていきたい」(アダモポウロス氏)
今後の展開と継続を、期待して待ちたい。
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