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細かすぎて伝わらない!? パンチルト対応のネットワークカメラ「ATOM Cam Swing」を長期利用して分かったこと山口真弘のスマートスピーカー暮らし(2/4 ページ)

スマートスピーカーやその関連デバイスについて、試行錯誤を繰り返しつつ、機能をバリバリ使えるようになる(予定)までの過程を、時系列でお届けする本連載。今回はアトムテックのネットワークカメラ「ATOM Cam Swing」を長期使用して分かったことをまとめた。

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「水平より上」「下」を両方見られるカメラは実はレアな存在

 ここまでざっと特徴や使い方を紹介したが、では本製品は他社のパンチルト対応のネットワークカメラと比べてどのようなところが違うのだろうか。筆者が1年以上使っていて感じた点を、メリット/デメリット問わず紹介していく。

 まずメリットとして挙げられるのは暗視機能の優秀さだ。赤外線で暗所での撮影を可能にする、いわゆるナイトビジョンはこの手のカメラではおなじみだが、本製品は他社の同等製品と比べてレンズが明るいためか、ナイトビジョンをオフにしても、カメラの性能だけである程度は見ることができる。

 これが重宝するのは、カメラの正面にガラスがありLEDの光りを反射する場合だ。ナイトビジョンを搭載したネットワークカメラは、ガラスで覆われた戸棚の中に設置した場合、暗視用のLEDが正面のガラスに反射して、視界が真っ白になってしまうことがある。

 そのため、ガラスの戸棚に設置するのに、ガラスの戸を開けなくてはいけないという本末転倒なことになるのだが、本製品はナイトビジョンがオフでも最低限の監視はできるので、ガラス戸をきちんと閉められる。戸棚だけでなく、窓越しに屋外を監視する場合など、この機能が重宝する機会はあるだろう。

ATOM Cam Swing アトムテック ネットワークカメラ パンチルト
一般的なネットワークカメラは、暗視LEDをオンにしないと暗闇で撮影ができない
ATOM Cam Swing アトムテック ネットワークカメラ パンチルト
他社製品のナイトビジョンオン(上)/オフ(下)の比較。オフにすると全く見えなくなる
ATOM Cam Swing アトムテック ネットワークカメラ パンチルト
本製品のナイトビジョンオン(上)/オフ(下)の比較。家電製品のステータスLED程度の光源があれば、オフにしていてもある程度見える

 また水平よりも下方向の撮影ができるのも、実は他社の同等製品にはあまりない機能の1つだ。

 市販のパンチルト対応のカメラのほとんどは、本体を正面に向けた状態で、水平よりも下方向にカメラを向けられない。もちろんカメラを天地逆にして天井などに取り付ければ、下方向を撮影するのは可能だが、その場合は逆の理屈で、水平よりも上が映らなくなる。

 つまり「水平よりも上」と「水平よりも下」を同時に撮れるカメラは非常に珍しいのだ。キューブが2つつながったような本製品の形状のなせる技で、他製品にない強みと言える。

 一般的にパンチルト対応のカメラは、首振りができるぶんカメラとしての画角は狭い場合が多いが、本製品は画角が広い(120度)ことから、角度を変えなくても広い範囲が見られる。このような利点は、他社のカメラを併用していて初めてメリットとして感じられる部分だ。

ATOM Cam Swing アトムテック ネットワークカメラ パンチルト
市販のパンチルト対応のカメラのほとんどは、水平よりも下方向にカメラを向けられない
ATOM Cam Swing アトムテック ネットワークカメラ パンチルト
本製品はその構造上、水平よりも下方向を映すことができる。ちなみに筆者は使用していないが、自動追尾機能もある

どこを写しているか分かりやすいのはプラス? マイナス?

 こうしたメリットがある一方で、気になる点も少なからずある。

 まず1つは、本製品がボディーがキューブ状ゆえ、どこの角度を見ているかが、回りから見て一目瞭然であることだ。遠目にも丸分かりなのはもちろん、スマホからのリモート操作で向きを変えた場合も、それがパンであろうがチルトであろうが、すぐに分かってしまう。

 これが他社製品のようにボディーが円柱状で、かつレンズがドーム状に上下に可動するカメラであれば、向きは遠目にも分かりにくく、また向きを変えてもモーター音以外では気づかれにくい。しかし本製品はこうした点についての配慮はあまりされていない印象だ。

 それゆえ、病人の容態を別の部屋からリモートで見守るような用途では、相手にへんに意識させてしまいがちだし、パンチルトの操作を行うと、ウトウトしている相手の視界に入ってギョッとされる可能性もある。

 もっともこれは撮られる側からすると、隠し撮りが難しいという意味で、逆に安心できる仕様ではある。こうしたネットワークカメラでは、何もしていないのにカメラが勝手に向きを変え、遠隔で誰かがのぞき見ているのではという疑惑が出ることも少なくないが、仮に本製品がそのような動きをした場合、露骨に分かってしまうだろう。

ATOM Cam Swing アトムテック ネットワークカメラ パンチルト
本製品(右)は他社に多く見られる、円柱+ドーム形状のカメラ(左)と違って向いている方向が丸分かりだ
ATOM Cam Swing アトムテック ネットワークカメラ パンチルト
斜めを向いた時も、立方体ゆえその角度が強調されてしまう

 もう1つ、その背の高さゆえ安定性に欠けることも、本製品のウィークポイントの1つだ。本製品は底面にネジ穴がついているので、設置場所さえ決まればがっちり固定できるのだが、テーブルや棚の上に置くといったカジュアルな設置スタイルでは、ケーブルの反発力によって向きが変わりやすく、転倒もしやすい。

 それゆえ室内で動き回るペット、具体的には犬猫を飼っている家庭では、ケーブルを引っ掛けられてもせいぜい向きが変わる程度の他社のカメラと比べると、少々使いづらい。底面の台座の向きを知るためには本体を裏返さなくてはならず、ケーブルを引っ掛けられて向きが変わったことに気づきにくいのもマイナスだ。

 もっとも、これらはボディーの形状やサイズなどからして一目瞭然なので、使って初めて分かる製品の特徴というよりも、おおむね予想通りというのが率直な感想だ。

ATOM Cam Swing アトムテック ネットワークカメラ パンチルト
同じATOM Camの製品(中央がATOM Cam2、右がATOM Cam)との比較。本製品は背が高いぶん安定性はあまり高くない
ATOM Cam Swing アトムテック ネットワークカメラ パンチルト
場所を決めて設置するならば三脚穴に固定する方法もあるが、カジュアルな設置ではケーブルを引っ掛けて倒しやすい

 続いて、録画回りもチェックしよう。

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