ASUSの「ROG Ally」は良コスパで他のポータブルゲーミングPCとはひと味違うドッキング機能を備えた1台だった(4/5 ページ)
ASUS JAPANが6月14日に発売したポータブルゲーミングPC「ROG Ally」の上位モデルは、“エライ”よく売れているようである。本当に“アリー”な選択肢なのかどうか、ガッツリとレビューしてみよう。
ベンチマークで性能を確かめてみよう!
ここからは、各種ベンチマークアプリを通して、ROG Allyの上位モデルの実力をチェックしていこう。
本モデルが搭載しているRyzen Z1 Extremeは、Zen 4 アーキテクチャのCPUコアを8基16スレッド(3.3GHz〜5.1GHz)と、RDNA 3アーキテクチャのGPUコアを12基搭載している。AMDによると、このGPUコアのピーク性能は8.6TFLOPSとのことだが、このパワフルさをしっかりと引き出せるのだろうか。
なお、今回は特記のない限り、オペレーティングモードを「Turbo(ターボ)」とした上で、ACアダプターを接続した状態でテストを実施している。
CINEBENCH R23
まず、3Dレンダリングを用いてCPUのパフォーマンスをチェックする「CINEBENCH R23」を実行した。結果は以下の通りだ。
- マルチコア:1万4372ポイント
- シングルコア:1773ポイント(MPレシオ:8.11倍)
筆者は個人的に「Ryzen 5 5600X」を搭載したゲーミングデスクトップPCを持っているが、マルチコアとシングルコア共に、それを上回るスコアを記録している。「5」と「7」の違いこそあるものの、結果が出た際に思わず「マジか」とこぼしてしまったくらいだ。
ゲーミングPC向けのCPUとして、十分な性能を持っていると評価できる。
3DMark
次に、3Dグラフィックスのパフォーマンスをチェックする「3DMark」で幾つかのテストを実行してみた。ここでは、オペレーティングモードをTurboにした状態でバッテリー駆動して計測した結果と、ROG XG Mobile GC32Lと接続して計測した結果も併載する。
- Night Raid(DirectX 12ベース/1920×1080ピクセル描画)
- 単体(バッテリー駆動):2万6122ポイント
- 単体(AC駆動):2万6946ポイント
- XG Mobile接続時:4万2585ポイント
- Fire Strike(DirectX 11ベース/1920×1080ピクセル描画)
- 単体(バッテリー駆動):7049ポイント
- 単体(AC駆動):7705ポイント
- XG Mobile接続時:2万8183ポイント
- Fire Strike Extreme(DirectX 11ベース/2560×1440ピクセル描画)
- 単体(バッテリー駆動):3612ポイント
- 単体(AC駆動):3698ポイント
- XG Mobile接続時:1万6175ポイント
- Fire Strike Ultra(DirectX 11ベース/3840×2160ピクセル描画)
- 単体(バッテリー駆動):2010ポイント
- 単体(AC駆動):2048ポイント
- XG Mobile接続時:8024ポイント
- Time Spy(DirectX 12ベース/2560×1440ピクセル描画)
- 単体(バッテリー駆動):3010ポイント
- 単体(AC駆動):3046ポイント
- XG Mobile接続時:1万1496ポイント
- Time Spy Extreme(DirectX 12ベース/3840×2160ピクセル描画)
- 単体(バッテリー駆動):1410ポイント
- 単体(AC駆動):1439ポイント
- XG Mobile接続時:5381ポイント
- Port Royal(リアルタイムレイトレーシングテスト)
- 単体(バッテリー駆動):1215ポイント
- 単体(AC駆動):1315ポイント
- XG Mobile接続時:5759ポイント
Ally単体での計測結果を見ると、ACアダプターをつなぐとポイントが約1.01〜1.09倍向上している。GPU統合型CPUとしてはかなりスコアは高く、特に軽量環境を想定した「Night Raid」ではバッテリー駆動でも2万6000ポイントを超えている。
これなら、HD解像度(1280×720ピクセル)はもちろん、ゲームによってはフルHD解像度でも快適なプレイを望めそうではある。ただし、リアルタイムレイトレーシングの性能は「おまけ」程度だと思った方が良さそうだ。
そしてROG XG Mobileの効果は絶大である。単体のAC駆動時と比べても、スコアが約1.5〜4.4倍も伸びた。とりわけ、レイトレーシングを含む負荷の高いテストでは効果がよく表れている。
「コンパクトなポータブルゲーミングPCにどこまで求めるか?」という課題はあるが、少なくとも「全部を1台で済ませたい!」と考えている人は、ROG XG Mobileをセットで導入することを前提に予算組みをした方がいいだろう。
FF14ベンチマーク
中程度の負荷を掛ける、ゲームベースのベンチマークテストアプリとして定番の「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレ ベンチマーク」(FF14ベンチマーク)も試してみよう。
今回はバッテリー駆動/AC駆動/XG Mobile GC32L接続時の3パターンで、フルHD解像度のフルスクリーン表示における「標準品質(デスクトップPC)」「高品質(デスクトップPC)」「最高品質」のスコアと平均フレームレートを計測した。結果は以下の通りである。
- 標準品質(デスクトップPC)
- 単体(バッテリー駆動):5643ポイント/40.3fps
- 単体(AC駆動):8015ポイント/57.6fps
- XG Mobile接続時:1万6048ポイント/113.3fps
- 高品質(デスクトップPC)
- 単体(バッテリー駆動):4325ポイント/31.7fps
- 単体(AC駆動):5477ポイント/38.1fps
- XG Mobile接続時:1万5280ポイント/114.2fps
- 最高品質
- 単体(バッテリー駆動):4501ポイント/33.5fps
- 単体(AC駆動):5337ポイント/37.4fps
- XG Mobile接続時:1万6403ポイント/118.3fps
標準品質(デスクトップPC)では、単体のAC駆動時に8015ポイントで「快適」の評価を得られた。しかし、それ以外の単体スコアはどの品質でも「普通」評価となった。ちなみに、解像度をHDに落とすと、最高品質でも7134ポイントの「やや快適」評価となる。
解像度よりも品質を重視する場合は、描画をHD解像度に落とせば高品質かつ快適に遊べそうだ。
FF15ベンチマーク
負荷が少し重めの「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」(FF15ベンチマーク)も試してみよう。
今回はバッテリー駆動/AC駆動/XG Mobile GC32L接続時の3パターンで、フルHD解像度のフルスクリーン表示における「軽量品質」「標準品質」「高品質」のスコアを計測した。結果は以下の通りだ。
- 軽量品質
- 単体(バッテリー駆動):4528ポイント
- 単体(AC駆動):4735ポイント
- XG Mobile接続時:1万7019ポイント
- 標準品質
- 単体(バッテリー駆動):3546ポイント
- 単体(AC駆動):3611ポイント
- XG Mobile接続時:1万4698ポイント
- 高品質
- 単体(バッテリー駆動):2628ポイント
- 単体(AC駆動):2703ポイント
- XG Mobile接続時:1万856ポイント
AC電源の有無を問わず、単体の軽量品質は「やや快適」、標準品質は「普通」、高品質は「やや重い」という評価である。このゲームも、解像度をHDに下げることで結構快適に楽しめるようになる。
もっとヘビーなゲームも動くのか、試してみよう。
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