AMDが「Radeon RX 7700 XT/7800 XT」を9月6日に発売 「RX 5700 XT」「RTX 2070 SUPER」の置き換えに焦点:AMD Softwareにも更新
AMDが、1440p(WQHD/2560×1440ピクセル)のゲーミングに最適化されたGPUを発売する。合わせて、超解像技術「FidelityFX Super Resolution(FSR) 3.0」のリリースや、AMD Softwareの更新も発表している。【追記】
AMDは8月25日(中央ヨーロッパ夏時間)、新型GPU「Radeon RX 7700 XT」「Radeon RX 7800XT」を発表した。両GPUを搭載するグラフィックスカードは、米国では9月6日からパートナー企業を通して発売される。米国における想定販売価格は、Radeon RX 7700 XTが449ドル(約6万5750円)、Radeon RX 7800XTが499ドル(約7万3100円)となる。
なお、Radeon RX 7800XTについては、一部のパートナー企業からAMD自身が設計した「リファレンスカード」も登場する予定だ。
【追記:17時50分】米国における想定販売価格が公表されたため追記しました
Radeon RX 7000シリーズに新たにRadeon RX 7000シリーズへと加わる「Radeon RX 7700 XT」「Radeon RX 7800 XT」(画像のリファレンスカードが発売されるのは、Radeon RX 7800 XTのみ)
Radeon RX 7700 XT/7800 XTの概要
Radeon RX 7700 XT/7800 XTは、RDNA 3アーキテクチャのGPU「Radeon RX 7000シリーズ」において1440p(WQHD/2560×1440ピクセル)でのゲーミングに最適化されたミドルレンジモデルという位置付けとなる。
グラフィックスの高度化が進んだ昨今のゲームでは、約4年前にリリースされた同等レンジのGPU(Radeon RX 5700 XTやGeForce RTX 2070 SUPER)ではフレームレート面で「厳しい」状況もある。両GPUは、そんなGPUのリプレースに導入されることを想定した設計となっている。ライバル企業(NVIDIA)の現行GPUとの比較では、GeForce RTX RT 4060 TiとGeForce RTX 4070をターゲットに定めているようだ。
約4年前に「1440pゲーミング向け」としてリリースされたRadeon RX 5700 XTやGeForce RTX 2070 SUPERでは、最近のゲームタイトルにおいて60fps以上の平均フレームレートを確保することが難しくなりつつある
両GPUの主なスペックは以下の通りとなっている。
- Radeon RX 7700 XT
- 演算ユニット(CU)/レイトレーシング(RT)アクセラレーター:54基
- AIアクセラレーター:108基
- ゲームクロック(※1):2171MHz
- ブーストクロック(※2):2544MHz
- グラフィックスメモリ:12GB(192bit/18Gbps)
- Infinity Cache(L3キャッシュ):48MB
- AV1対応動画エンコーダー:あり
- 消費電力:245W
- Radeon RX 7800 XT
- CU/RTアクセラレーター:60基
- AIアクセラレーター:120基
- ゲームクロック(※1):2124MHz
- ブーストクロック(※2):2430MHz
- グラフィックスメモリ:16GB(256bit/19.5Gbps)
- Infinity Cache:64GB
- AV1対応動画エンコーダー:あり
- 消費電力:263W
(※1)ゲームをプレイしている際の平均クロック
(※2)ピーククロック
性能はどう?
AMDによると、Radeon RX 7700 XT/7800 XTはRadeon RX 5700 XTやGeForce RTX 2070 SUPERのリプレースとしての性能をバッチリ確保できているという。また、同世代のライバルとして見据えているGeForce RTX RT 4060 Ti/4070に対しても、多くのゲームタイトルにおいて有利な平均フレームレートを確認できたという。
先ほどRadeon RX 5700 XTやGeForce RTX 2070で平均フレームレートを計測したゲームでは、Radeon RX 7700 XT/7800 XTに置き換えることで平均レートが60fpsを超えるようになったという
GeForce RTX 4070(12GBモデル)とRadeon RX 7800 XTを比べた場合、多くのゲームタイトルで「1440p/高画質設定」の平均フレームレートにおいてRX 7800 XTの方が“上”だったという。グラフィックスメモリの容量の多さが奏功したと分析しているようだ
1ランク下のGeForce RTX 4060 Ti(16GBモデル)とRadeon RX 7700 XTを比べた場合も、多くのゲームで平均フレームレートでRX 7700 XTが有利になったという。こちらはグラフィックスメモリのアクセス速度が奏功しているものと思われる
FSR 3.0はまもなくリリース
AMDでは、プラットフォームを問わず利用できる超解像技術「FidelityFX Super Resolution(FSR)」の最新バージョン「FSR 3.0」の開発を進めている。
FSR 3.0では、フレーム補完技術「Fluid Motion Frames(FMF)」や、ラグ軽減技術「Radeon Anti-Lag+」を併用することで、フレームレートが劇的に改善されるという。また、ネイティブ解像度の映像に対してFMFを適用する「ネイティブアンチエイリアス」にも対応することで、ネイティブ解像度でのフレームレート改善も果たしている。
対応第1弾のタイトルは「FORESPOKEN」(スクウェア・エニックス)と「Immortals of Aveum(アヴェウムの騎士団)」(エレクトロニック・アーツ)となる予定で、他にも10タイトルが数カ月以内に対応する見通しだ。
Radeon RX 7000シリーズの初回発表以来、開発がほのめかされていたFSR 3.0がいよいよ実用化される。第1弾タイトルはFORESPOKENとImmortals of Aveumになる見通しだ
Radeon RX 7800 XTでFORSPOKENを「ULTRA-HIGH RT」画質設定にして実行した場合、4K(3840×2160ピクセル)ネイティブ描画では平均36fpsだったフレームレートが、FSR 3.0(パフォーマンスモード)を有効化すると平均122fpsまで向上したという
同じ環境で1440p解像度のULTRA-HIGH RT設定で比較した場合、ネイティブ描画では平均64fpsだったが、FSR 3.0(ネイティブアンチエイリアスモード)を有効にした場合は平均106fpsまで引き上げられるという
AMD Software(旧Radeon Software)もアップデート
Radeon RX 7700 XT/7800 XTの発売に合わせて、AMDは「AMD Software: Adrenalin Edition」のアップデートを実施する。
新しいAMD Softwareでは、新たに「HYPR-RX(ハイパーアールエックス)」という機能が実装されるこの機能は、Radeonシリーズで利用できる「Radeon Boost」「Radeon Anti-Rag+」「Radeon Super Resolution(RSR)」といったゲームのパフォーマンスを向上する設定を一括で行えるというもので、設定回りに詳しくないユーザーでもゲームをより快適に楽しめるようになるという。
HYPR-RXとRadeon Anti-Lag+は、Radeon RX 7000シリーズを搭載するPCで利用可能だ。
今回のアップデートでは、マイクノイズ削減機能「AMD Noise Suppression」も実装される予定となっている。本機能はAI処理によって実現しているといい、CPU(Ryzen)とGPU(Radeon)のどちらを使って処理するか選べるようになっている。
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