CPUの型番はいつ決まる? どうやって決める? Intel最新CPUの作り方、みんなに見せちゃいます!:大人の社会科見学(4/5 ページ)
IntelのCPUの多くは、マレーシアにある工場で作られている。同国で開催された報道関係者向けのイベントにおいて、同社がCPUを作る過程を公開したので、ガッツリと紹介したいと思う。
第3工程:ダイをパッケージ基板に実装しテル!
クリムキャンパスでの工程は、ダイのテープ&リールへの巻き付けが最後となる。ここから先の工程は、ペナンキャンパスで行われる。
テープ&リールに収められたダイは、ペナンキャンパスにある「Assemby and Test(PGAT)」という施設に運び込まれる。その名の通り、PGATはCPUの「組み立て」と「テスト」を行うための施設で、Intelによると毎日数百万個のCPUを生産/テストしているという。
PGATにおける最初の工程は「Chip Attach」だ。テープ&リールに巻き付けられているダイをパッケージ基板に実装する工程で、ここではチップ抵抗なども取り付けられる。
第4工程:ダイを固めてヒートスプレッダーを組み付けテル!
続いて行われるのが、パッケージ基板に実装したダイを、エポキシ樹脂で塗布/硬化させる「Epoxy(エポキシ)」工程だ。耐熱性、耐水性、耐薬品性、耐候性を持つエキポシ樹脂でダイを覆うことで、絶縁性や耐紫外線性を高めることが主な狙いだが、物理的な固定度を高めることにもつながっている。
ノートPC向けCPUについては、この工程をもってほぼ完成となる。
こちらは「Intel Data Center GPU」(開発コード名:Ponte Vecchio)のパッケージ基板で、右側がEpoxy工程前、左がEpoxy工程後のものである。先のMeteor Lakeに塗布されたものとは色は違うが、周辺にある白色の“はみ出し”はエキポシ樹脂だ
デスクトップ/サーバ向けCPUの場合、この工程の後に熱界面材(Thermal Interface Material:TIM)を塗布して、ヒートスプレッダーを被せる「Lid Attach」工程も行われる。
TIMの塗布h情報は製品によって異なるといい、グリス状のようなものをホイップクリームのように流していくものもあれば、板状のようなものを敷いて対応するものもある。
PGATではAIも駆使
PGATにおける工程については、Intelから写真に加えて動画の提供も受けた。ぜひ見て頂ければと思う。
この動画で注目してほしいのが、1分10秒あたりで見られる、赤緑青(RGB)のライトが一瞬ずつ光っているシーンだ。これはChip Attach工程が終了したパッケージ基板を、5K解像度のカメラで撮影している場面を収めたものである。
何のための撮影なのか――実はこれ、機械学習ベースのAI(人工知能)を使って、コンピュータビジョンで仕上がり検査(検品)をしているのだ。ここで問題がないと判断されたCPUは、次の工程に送られる。一方で、AIが気になる部分を見つけた場合は、念入りな検品工程(精密検査)に回されるという。
多段に用意された品質管理工程はコスト増の要因となりうるが、AI技術の導入によってこれを最低限に抑えているわけである。
検品をクリアしたCPUは、この後さらなる“検査”に回されることになる。
関連記事
- さよなら「i」 こんにちは「Ultra」――Intel Coreプロセッサが15年ぶりにリブランディング Meteor Lakeから適用
2023年後半に登場する新型CPU「Meteor Lake(開発コード名)」に合わせて、IntelがCoreプロセッサのリブランディングを実施する。モデル名に含まれる「i」を省く他、「第○世代」という表記を廃止することでブランドそのもののシンプル化を進める一方で、最先端モデルには新たに「Core Ultraプロセッサ」というブランドを導入するという。 - Intelが次世代CPU「Meteor Lake」の概要をチラ見せ 全モデルに「AIエンジン」を搭載
Intelが「Meteor Lake(メテオレイク)」というコード名で開発を進めているCPUの概要情報を公開した。同社初の7nmプロセスCPUは、全モデルにCPUコアとは別体の「AIエンジン」を搭載するという。 - 半導体生産で「委託」「受託」を両にらみ Intelが「IDM 2.0」構想を発表
Intelが、新しい半導体生産方針「IDM 2.0」を発表した。自社生産を基本とする方針は堅持しつつ、ファウンドリーを活用した製品生産を拡大し、自らがファウンドリーとして生産を受託する事業も開始する。 - Intel、GPUステータス計測ツール「PresentMon」β版を公開
米Intelは、GPUステータス計測ツール「PresentMon」β版の公開を開始した。 - Intel、GPUステータス計測ツール「PresentMon」β版を公開
米Intelは、GPUステータス計測ツール「PresentMon」β版の公開を開始した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.