「Radeon RX 7700 XT/7800 XT」はGeForce RTX 4060 Ti/4070を超える? 動画のエンコは早い? 実機を試して分かったこと:先行レビュー(4/4 ページ)
AMDの「Radeon RX 7700 XT」「Radeon RX 7800 XT」を搭載するグラフィックスカードが、9月8日11日に発売される。WQHDゲーミングに最適化されたという両GPUは、どれほどの実力を持っているのだろうか。実際に試してみよう。
Adobe Premiere Proの4K動画の書き出しは高速?
GPUの活躍の場面はゲームだけではない。最近はVlogやYouTubeなど、個人でも動画を取り扱うことが増え、重たいデータをより速く処理するために高速なGPUへのアップグレードを検討している人も多い。
そこで今回は「Adobe Premier Pro」を使って、GPUエンコードを有効化した場合の動画の書き出し時間の計測を行った。今回は小型アクションカメラ「GoPro HERO 10」を使って撮影した数本の4K動画を、30分ほどの4K動画としてまとめて書き出すのに要した時間を比較した。結果は以下の通りだ。
- Radeon RX 7800 XT:4分48秒
- Radeon RX 7700 XTX:4分54秒
- GeForce RTX 4070:7分47秒
- GeForce RTX 4060 Ti:7分54秒
Radeon RX 7700 XT/7800 XTには、AV1コーデック対応のハードウェア動画エンコーダーが2基搭載されている。エンコーダーを2基搭載している効果はてきめんで、競合GPUよりも高速に動画の書き出しを終えることができた。
Radeon RX 7000シリーズの動画エンコーダーは、GeForce RTX 40シリーズに対する確実な強みになっているといえる。グラフィックスカードに何を求めるのかは人によって異なるとは思うが、「動画の書き出しさえ早ければ、ゲーム性能はそこそこ高い程度でいい」という人なら、Radeon RX 7700 XT/7800 XTは有力な選択肢になるだろう。
WQHDゲーミングを目指すなら間違いなく狙い目!
WQHD解像度のゲーミングをターゲットとするGPUは、Radeon RX 7000シリーズの“穴”となっていた。今回新たに登場したRadeon RX 7700 XT/7800 XTは、それを埋める期待の製品だ。AMDがライバルとして見据えている同クラスのGeForce RTX 4060 Ti/4070とも十分に渡り合えるパフォーマンスを備え、特に動画のエンコードについては明らかな優位性を備えていることも魅力だ。WQHDゲーミングやクリエイティブ用途における“狙い目”のGPUであることは間違いないだろう。
消費電力についても、アイドル時で81W、3DMarkの「Time Spy Extreme」実行時のピーク時でRadeon RX 7800 XTは392W、Radeon RX 7700 XTは378Wと、巨大なPCケースでなくとも十分に扱える。現在のPC市場におけるメインストリームの構成に組み込み易い点も評価したい。
そうなると気になるのはグラフィックスカードの価格だ。先述の通り、税込みの実売価格はRadeon RX 7700 XT搭載カードで7万円台半ば〜8万円台前半、Radeon RX 7800 XT搭載カードで8万円台半ば〜9万円台前半で、ライバル製品と同程度か、むしろ高めである。動画の書き出し性能を考慮しなくてもいいのであれば、ライバル製品の方がお手頃な可能性もある。ここは悩ましい。初物価格後の変動をにらみつつ、動画のエンコードを重視するかどうかで決めてもよさそうだ。
余談だが、本テスト中に筆者は10年ぶりに傭兵(レイヴン)となった。Radeon RX 7700 XT/7800 XTでも動かしてみたが、非常に快適に任務に赴くことができた。両GPUには、話題の最新ゲームタイトルを満足に遊べる性能備わっていることは強調しておきたい。
関連記事
- 費用対効果に優れ、動画に強みあり――「Radeon RX 7900 XT」「Radeon RX 7900 XTX」は真に“強い”GPUなのか?
AMDの新型GPU「Radeon RX 7900 XT」「Radeon RX 7900 XTX」を搭載するグラフィックスカードが12月16日19時に発売される。それに先駆けて、両GPUを搭載するAMD自社開発グラフィックスカードを使って“実力”をチェックしていこう。 - 現実のゲームユーザーにロックオン! AMDの「Radeon RX 7600」はフルHDゲーミングに最適? 徹底的に試して得た結論
AMDが、Radeon RX 7000シリーズの新しいメインストリームGPUを発表した。米国では5月25日に発売され、搭載グラフィックスカードは269ドルから購入できる。「フルHDゲーミングに必要十分な性能」とのことだが、本当かどうか、実際に使って試してみよう。 - AMDが「Radeon RX 7700 XT/7800 XT」を9月6日に発売 「RX 5700 XT」「RTX 2070 SUPER」の置き換えに焦点
AMDが、1440p(WQHD/2560×1440ピクセル)のゲーミングに最適化されたGPUを発売する。合わせて、超解像技術「FidelityFX Super Resolution(FSR) 3.0」のリリースや、AMD Softwareの更新も発表している。【追記】 - これからは3090 Tiよりもこれ! 良コスパGPU「GeForce RTX 4070 Ti」の実力をチェック!
NVIDIAから突然発表された「GeForce RTX 4080(12GB)」改め「GeForce RTX 4070 Ti」。米国での販売価格は799ドルと最新GPUとしては非常に手頃で、性能もそこそこ高く、用途にもよるが先代の最上位GPU「GeForce RTX 4070 Ti」を上回るパフォーマンスを発揮できる。その実力を先んじてチェックしてみよう。 - AMDが新GPU「Radeon RX 7000シリーズ」を正式発表 米国では12月13日発売(899ドルから)
AMDが新型GPU「Radeon RX 7000シリーズ」を正式に発表した。まずはハイエンド向け製品を2種類投入することになるが、GPUとしては初めて「チップレット設計」を取り入れた他、ハードウェアベースのAV1エンコーダー/デコーダーを搭載するなどゲーム配信を意識した機能強化も図られている。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.