「GeForce RTX 4070 SUPER」は実売9.6万円程度から買える“ちょうどいいGPU”だった ゲーマーやクリエイターにこそお勧め:先行レビュー(3/3 ページ)
CES 2024に合わせてNVIDIAが発表した「GeForce RTX 40 SUPERシリーズ」を搭載するグラフィックスカードが、1月17日から順次発売される。この記事では、日本未発売の同社純正カードを使って、本GPUの性能をチェックしていく。誰にお勧めなのだろうか……?【訂正】
重量級のゲームタイトルで超解像技術の効果を確認!
ここまでのテストを見る限り、GeForce RTX 4070 SUPERにはあまり苦手なシーンはないように思える。
そこで、システムへの負荷がより大きくのしかかる重量級のゲームタイトルにおける描画パフォーマンスをチェックしてみよう。
今回は「Cyberpunk 2077」と「Microsoft Flight Simulator」の2つのタイトルを用意した。いずれもNVIDIAの超解像技術「DLSS(Deep Learning Super Sampling)」に対応しており、GeForce RTX 40シリーズ以降ではフレーム補間も適用できる。フレームレートを重視するユーザーは、どのくらいの効果があるのかチェックしたいはずだ。
そこで、今後のゲーミングPCにおけるアップグレードとして考えられることの多い「WQHD」「4K」の2つ解像度で、DLSSのオン/オフ時の平均フレームレートを確認してみよう。
Cyberpunk 2077については、画質プリセット「ウルトラ」におけるDLSS無効時(4Kネイティブ)とDLSS有効時(Performance Mode/ウルトラライティング)の双方で平均フレームレートを計測している。一方、Microsoft Flight Simulatorでは、ディスカバリーフライトの「モナコ」をAI操縦とした上で、「CapFrameX」で2分間の平均フレームレートを計測した。結果は以下の通りだ。
- Cyberpunk 2077
- WQHD/DLSSオフ:43.26fps
- WQHD/DLSSオン:130.29fps
- 4K/DLSSオフ:20.78fps
- 4K/DLSSオン:81.51fps
- Microsoft Flight Simulator
- WQHD/DLSSオフ:63.7fps
- WQHD/DLSSオン:139fps
- 4K/DLSSオフ:52.8fps
- 4K/DLSSオン:128.3fps
結果は見ての通りで、DLSSの効果は絶大だ。これまでのGeForce RTX 40シリーズでも、DLSSの効果はてきめんで、ミドルレンジ以上のGPUであれば重量級のゲームタイトルであっても60fps以上で安定してプレイできることは分かっている。
その上でGeForce RTX 4070 SUPERをチェックしていくと、Cyberpunk 2077の4K解像度厳しいものの、それ以外はDLSSを無効にしたネイティブ解像度での描画でも、そこそこのフレームレートを確保できる。
そのままでもそこそこ遊べるけれど、厳しそうならDLSSを有効にすればストレスフリーでプレイできる――そんな感じだ。
クリエイター向けアプリは快適?
最近のGPUに求められるのはゲームの性能だけではない。クリエイター向けのアプリケーションを快適に動作させるのにも、高性能なGPUは求められている。
簡単ではあるが、クリエイター向けアプリケーションでのパフォーマンスのチェック幾つか行ってみよう。
Blender Benchmark
まず、2D/3Dアニメーション製作ツール「Blender」をベースとしたベンチマークテストアプリ「Blender Benchmark」のWindows版を用いて、パフォーマンスの比較を行った。今回は「Monster」「Junkshop」「Classroom」の3つのシナリオにおいて、1分間当たりの生成サンプル(オブジェクト)数を計測した。結果は以下の通りだ。
- Monster
- GeForce RTX 4070 SUPER:3217.217964個
- GeFroce RTX 4070:3076.904531個
- GeForce RTX 4070 Ti:3697.841085個
- Junkshop
- GeForce RTX 4070 SUPER:1523.221452個
- GeFroce RTX 4070:1496.971164個
- GeForce RTX 4070 Ti:1693.661584個
- Classroom
- GeForce RTX 4070 SUPER:1625.986902個
- GeFroce RTX 4070:1511.919688個
- GeForce RTX 4070 Ti:1863.355900個
傾向は、今までのテスト結果と同様だ。ただし、GeForce RTX 4070との差は小幅で、大きくても5%程度で収まる。
さすがに「GeForce RTX 4070から買い換えよう」というのは難しいだろうが、これから「GeForce RTX 30シリーズ以前のGPUからの買い替える!」というのであれば、価格と予算次第だが基本的にはGeForce RTX 4070ではなくGeForce RTX 4070 SUPERを選んだ方がいい。
Adobe Premiere Pro(4K動画書き出し)
続けて「Adobe Premierer Pro」を使って、4K動画のエンコードに要する時間を比較してみよう。今回は「GoPro HERO 10」で撮影した数本の4K動画を30分ほどにまとめて書き出すのに要した時間をまとめた。結果は以下の通りである。
- GeForce RTX 4070 SUPER:7分41秒
- GeForce RTX 4070:7分47秒
- GeForce RTX 4070 Ti:7分40秒
内蔵エンコーダーは同一なので、三者共に所要時間に大差はない……のだが、GeForce RTX 4070と比べると他二者は明らかに高速である。より尺の長い動画を書き出したり、書き出し回数が多くなったりする場合は、このわずかな差が大きく効いてきそうだ。
動画編集を快適にするための投資としてGPUの買い替えを行うのであれば、長い目で見るとGeForce RTX 4070ではなく、GeForce RTX 4070 SUPERを選んだ方がよいだろう。
新たな“普通”を作るGPU 古いGPUの置き換えにもお勧め
2022年秋に「GeForce RTX 4090」が登場してから1年以上が経過した。2023年にはGeForce RTX 40シリーズの下位〜中位モデルも出そろったことで、「どのモデルが自分の用途にピッタリか」が見極めやすくなったと思う。
このタイミングで「1440p解像度をターゲットにしたやつを買おう」と考えていた人にとって、GeForce RTX 4070 SUPERは「待ったかいがある!」と感じられるだけの順当なパフォーマンス向上を感じられる内容となっている。消費電力も、今回のテスト機ではアイドル時に「85W」、3DMarkの「Time Spy Extreme」実行時のピーク値でも「315W」と、特にピーク時は想像よりも控え目だった。
3年ほど前、自作PC市場ではマイニング需要などもあり、GPUが枯渇して欲しくても買えない時期が長く続いた。それもあり、先代モデル(GeForce RTX 30シリーズ)末期に購入した人や、そもそも買い時を逃してしまって、さらに以前のGPUを継続して利用している人もそれなりにいるはずだ。
そうした人にとって、ゲームもクリエイター向けアプリもそつなく快適なGeForce RTX 4070 SUPERは、ちょうどよい買い換え先になるだろう。
関連記事
- カードが少しシンプルに? 「GeForce RTX 4070 SUPER Founder Edition」の外観をチェック
NVIDIAの新型GPU「GeForce RTX 4070 SUPER」が発表された。同社が自ら設計したグラフィックスカードをお借りしたので、レビューや発売に先駆けて外観をチェックしていこう。 - NVIDIAが「GeForce RTX 40 SUPER」シリーズを発表 ゲームと生成AIを高速化 599ドルから
NVIDIAがデスクトップ向けGPU「GeForce RTX 40シリーズ」に“SUPER”を投入する。それぞれベースとなるモデルからスペックが底上げされ、とりわけ生成AIチップはいずれもに関するパフォーマンス向上に注力したという。 - 約10万円で最強の「WQHDゲーミング」を! 「GeForce RTX 4070」発売直前レビュー
NVIDIAが4月13日、新たなGPU「GeForce RTX 4070」を搭載するグラフィックスカードの販売を解禁する。最安値のカードは10万円を切る価格設定で、既存の上位製品と比べるとコストパフォーマンスに優れている。その実力を、純正カード(日本未発売)を通してチェックしてみよう。 - これからは3090 Tiよりもこれ! 良コスパGPU「GeForce RTX 4070 Ti」の実力をチェック!
NVIDIAから突然発表された「GeForce RTX 4080(12GB)」改め「GeForce RTX 4070 Ti」。米国での販売価格は799ドルと最新GPUとしては非常に手頃で、性能もそこそこ高く、用途にもよるが先代の最上位GPU「GeForce RTX 4070 Ti」を上回るパフォーマンスを発揮できる。その実力を先んじてチェックしてみよう。 - NVIDIAが「GeForce RTX 40シリーズ」を発表 新アーキテクチャ「Ada Lovelace」で最大4倍高速に
NVIDIAがゲーミングやクリエイター向けの新型GPUを発表した。新しいGPUアーキテクチャを採用することで、先代アーキテクチャと比べて性能が最大で4倍となったことが特徴だ。 - これから買うなら3090 Tiよりも「GeForce RTX 4080」 そのワケを探る
NVIDIAの新型GPU「GeForce RTX 4080」を搭載するグラフィックスカードの販売が11月16日に解禁される。最上位の「GeForce RTX 4090」や先代の最上位「GeForce RTX 3090 Ti」と比べてパフォーマンスはどうなのか、発売に先駆けてチェックしていこう。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.