EpicとAppleの独禁法訴訟に決着 Epicは「iOSの開放」に事実上失敗 Appleは米国で「App Store以外の決済」に対応へ
Epic GamesとAppleとの間で行われていた裁判が終結を迎えた。Epicは訴えた10項目のうち9項目で敗訴となった一方で、Appleは判決に含まれた「反ステアリング規則の撤廃」に関する対応を迫られる。
米連邦最高裁判所は1月16日(米国東部時間)、Epic GamesがAppleを独占禁止法違反で訴えた裁判について、両社から提起された審理(上告)の請求を拒否した。これにより、Epic GamesはAppleとの裁判に事実上敗訴したことになる。
Epic Gamesは2020年8月、Appleに対して「App Store」の課金機能の開放などを求める訴訟を米カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所に提起した。
Epic Gamesは訴状で、Appleに10点の独禁法違反があると指摘した。裁判の結果、10点中9点においてEpic Gamesの訴えは退けられたものの、App Store以外の決済オプションを提示できない「反ステアリング規則」の撤廃の訴えだけは認められた。
- →当時の訴状(Epic Games)
その後、Epic GamesとAppleは共に米第9巡回区控訴裁判所に控訴。同裁判所は第一審の判決を支持し、Appleに対して反ステアリング規則の撤廃を求めた。今回、最高裁が審理請求を拒否したことで、第二審(控訴審)の判決は確定することになる。
今後、Appleは米国において反ステアリング規則の撤廃(App Store以外の課金方法を容認)する手続きを取ることになる。一方で、Epic Gamesが求めていた「Fortnite(フォートナイト)」のApp Storeへの“復帰”や、App Store以外のアプリストアの許容(≒iOSにおけるサイドローディングの許容)はかなわなかった。
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