中小企業と大学/研究機関の橋渡しに――デル・テクノロジーズが「DXイノベーションコネクト」を始めるワケ(2/2 ページ)
デル・テクノロジーズが、奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)と同大学発のベンチャー企業と共同で中小企業を大学/研究機関を結び付けるサービスを開始した。その狙いはどこにあるのだろうか。
「DXイノベーションコネクト」はなぜ生まれた?
DXイノベーションコネクトは、デル・テクノロジーズが2020年からNAISTなどと共同で進めてきた「中堅企業DXアクセラレーションプログラム」を通して浮き彫りになった課題を踏まえて作られたという。
日本企業のうち、資本金が1億円以下の中小企業(※1)は99%を占める。人手や経営資源に乏しい中小企業こそ、業務の効率化が求められる。DXはその手段の1つだが、中小企業にはDXに取り組むためのリソースが足りなかったり、そもそもどうやってDXを進めればいいのか分からなかったりするという声もある。
そんな中小企業のDXを支援すべく、中堅企業DXアクセラレーションプログラムは立ち上げられた。
(※1)この定義方法は「法人税法」上のもの。なお、中小企業と大企業の定義は、法律によって異なる(従業員数によって定義するケースや、業種によって資本金や従業員数のしきい値を変えるケースもある)
しかし、このプログラムは内容的に「人材育成」に主眼を置いており、人材育成後の「PoC(Proof of Concept:概念実証)」のフェーズをカバーしていなかった。中小企業が“自力で”PoCを行うのは、知見や知的財産の活用の観点で困難なことが多い。この点については、DXに特化した「伴走型コンサルティングサービス」も多数用意されているが、中小企業が利用するには金銭面でハードルが高い。
一方で大学/研究機関では、特に若手研究員が研究した成果の具現化や実証、あるいは共同研究を進めるためのパートナー企業を探すことに困難を抱えている。
そこで、DXイノベーションコネクトでは、デル・テクノロジーズが中小企業と大学/研究機関の間に入りマッチングを行い、中小企業には大学/研究機関の協力に基づく、企業規模に見合ったコストでのPoCの実施を、大学/研究機関には中小企業を通した研究成果の社会実装や共同研究の機会を提供する。
DXアクセラレーションプログラムの後継プログラムということもあり、DXイノベーションコネクトもNAIST(およびdTosh)とのパートナーシップに基づいて提供される。開始当初はNAISTの7つの研究室が参画する。今後、他の研究室や他の大学/研究機関の参画が広がるかに注目だ。
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