プロセスノードに加えて新技術も売り込む! Intelが半導体の「受託生産」で使う“武器”【後編】(2/5 ページ)
Intelが半導体の受託生産(ファウンドリー)事業「Intel Foundry」を本格的に始動した。同社はプロセスノードだけでなく、新技術も合わせて売り込むという。
あえて「成熟プロセス」を提供するのはなぜ?
Mature Node(成熟プロセス)は、「Traling Process」とも呼ばれる。パン氏の評価軸でいえば「コスト重視のプロセス」ということになる。もちろん、これは「安物を作るためのプロセス」という意味ではない。
近代プロセッサの開発/設計/製造では、異なる種類の半導体を1チップにまとめる「チップレットアーキテクチャ」が台頭してきた。そのことで「そのプロセッサが提供する機能全てを、最新のプロセスノードで製造する必要はない」という思想が主流になってきている。
チップレットアーキテクチャでは、半導体チップ(ダイ)を「ある程度の機能単位」で「適材適所の異なるプロセスノード」によって作ることが可能だ。「高クロックで動作する演算器ブロック」は最新プロセスノードで製造する一方で、それ以外をMature Nodeで製造し、それを1チップに収める――なんていう製造スタイルが、最近の高性能大規模プロセッサでは取られることがある。
また耐久性を高める観点から、やや高めの電力を取り扱うインタフェース回路には、そこそこの微細度で古めのプロセスノードをあえて使う場合もある。
Intelは当面、Mature Nodesとして「Intel 7」「Intel 16」「Intel 16-E」を用意している。2025年以降の将来には、同社がイスラエルのTower Semiconductorからの投資を受けた上で、ニューメキシコ州リオランチョにある「Fab 11X」に65nmプロセスノードを立ち上げる他、台湾UMCと共同で米国アリゾナ州チャンドラーにある「Fab 12」「Fab 22」「Fab32」で12nmプロセスノードを新設する。Intel Foundryの顧客企業は、これらのノードも利用できるという。
Intel 7は、かつて「Enhanced 10nm SuperFin」と呼ばれたプロセスノードで、TSMCにおける「7nmプロセス」に相当するとも言われている。「7」の数字は、少なからずその“実態”を意識していると見られる。
最先端プロセッサの脇を固めるような高速な各種入出力系の他、先端インタフェース制御系をつかさどる周辺ダイなどを製造するのに適したノードだという。
Intel 16とIntel 16-Eは、文字通り16nm相当のプロセスノードだ。Wi-Fi(無線LAN)/Bluetoothモジュールや5G通信モジュールを始めとする無線デバイス系の周辺ダイといった普及デバイス製造に適している。
Intel 16-Eの「E」は、ロードマップにも注釈があるように「機能拡張(Feature Extension)のあるIntel 16プロセス」となる。機能拡張が一体何を指すのかは、現時点では具体的に説明されていないが、「特定顧客向けのカスタム製法」「プロセッサ内部に搭載するトランジスタや配線などの材質/種類などを、上位プロセスノードから継承したフィーチャーセットで利用できるような仕組み」などと推察されている。
Tower 65nmプロセッサは、Tower Semiconductorが得意とするBCD(Bipolar-CMOS-DMOS)デバイスの製造に適しているとされる。具体的には、アナログ回路(Bipolar)、CMOS(ロジック)、DMOS(高耐圧素子)を混在生産できる特徴がある。想定製品としては、車載デバイスや産業機械向けのプロセッサ製造に向いている。
Intelでは、Intel Foundryの“主力”として「Intel 3」「Intel 4」を据えようとしているようだ。
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