AppleはAIのOS統合をどのようにデザインしたのか? 林信行の「Apple Intelligence」考:WWDC24(4/5 ページ)
注目が集まっていたAppleの生成AIに対する取り組み。ついにWWDC24でその全貌が明らかになった。林信行氏が読み解く。
使いやすさのための機能の可視化
多くのAI統合型OSで問題となるのが、結局のところAIでどんなことができるか分からないので、せっかくAI統合をしていてもユーザーがそれを活用しきれないという点がある。一部の他社製OSでは、AIと対話をするウィンドウに、例えばどんなことができるかの例文などを表示して状況を改善しようとしているが、Appleはこうした課題にもデザインのアプローチで対処している。
例えば、画像生成のAIを活用して自分が欲しい絵文字を生成する「Genmoji」(ジェン文字)という機能が新たに追加されるが、これは既に多くの人が日々使っている絵文字の入力パレットから作成する。
絵文字の検索機能で入力したキーワードに合った絵文字が見つからないと「Genmojiを作成しますか?」と表示されるので、そこで生成を行うことになる。ちなみにGenmojiは正確には文字ではないが、他の絵文字とほぼ同等に扱うことができるようだ。
Apple Intelligence対応の新OSでは、文章の整形や構成、要約ができる「Writing Tools」という機能も提供するが、こちらもワープロやメールアプリで文章を編集中にメニューを表示すると、カット/コピー/ペーストといった項目と一緒にWriting Toolsという項目として表示されるので、選んで呼び出す。
Writing Toolsのパレットには、多くの人が文章に対して行う最も典型的な操作があらかじめメニューとして用意している。例えば文章の整形に関しても「親密な感じにする」「プロっぽい文章にする」「端的に書く」といったよく使うであろう整形オプションがメニューとして用意されているので、ほとんどはそれらの項目の選択だけで済んでしまう。
何かのルールに従って整形したいなど特定のニーズがあるときだけ、そのニーズを声や文章で説明して要求をカスタマイズする設計になっている。
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