ベンキューとリトプラが小平市の幼稚園と電子黒板に関する「パートナーシップ」を締結 その狙いは?:電子黒板は「ブルーオーシャン」?
ベンキューとリトプラが、小平みどり幼稚園(東京都小平市)を運営する星野学園とパートナーシップ協定を締結した。その狙いは、どこにあるのだろうか。
星野学園(東京都小平市)、ベンキュージャパン(東京都千代田区)とリトプラ(東京都港区)は6月7日、「電子黒板を活用した未来型保育を目指したパートナーシップ協定」を締結した。星野学園が運営する「小平みどり幼稚園」でベンキュージャパンの電子黒板やリトプラのデジタルコンテンツを運用することを通して、3者それぞれが“未来型保育”に向けた取り組みを模索していくという。
なぜ3者は協定を結んだのか?
今回協定を結んだ3者の共通点は、東京都が2021年12月にスタートした「こどもスマイルムーブメント」に参加していることにある。
- →こどもスマイルムーブメント(東京都)
ベンキュージャパンはPC/ICT向け周辺機器の製造/販売を手掛けるメーカーで、2023年11月からこどもスマイルムーブメントに参画している。
同社は小学校/中学校/高等学校にも大型提示装置(ディスプレイ/プロジェクター/電子黒板)を多数納入してきたが、その延長線上で幼稚園/保育所(保育園)/認定こども園(※1)における電子黒板の普及(市場開拓)を模索していた。
(※1)教育機関としての「幼稚園」と、福祉施設としての「保育所」の両方の機能を兼ね備えた認定施設。今回登場する小平みどり幼稚園は「幼稚園型」の認定こども園となる
市場開拓の一環として、同社では保育園/幼稚園/こども園関係者向けのWebメディア「ほいくis」の協力のもと、Webアンケートを実施した。すると大型提示装置が普及している小学校以上の教育機関と比べると、電子黒板に関する認知が低い傾向が伺えたという。見方を変えると、幼稚園/保育園/こども園は、電子黒板にとって“伸びしろがある”市場ということになる。
このアンケートでは、電子黒板の用途として「子ども同士の話し合い(コミュニケーション)」や「職員会議におけるスクリーンとしての利用」へのニーズが高そうだということも分かってきたという。ただ、それだけでは電子黒板を導入するに当たっての“決め手”に欠ける面もある。
そんな中、ベンキュージャパンが相談を持ちかけたのがリトプラだ。
リトプラは社名の由来となった「LittlePlanet(リトルプラネット)」を始めとして、複数ブランドの次世代テーマパークを全国に展開しており、その知見を生かして教育機関や自治体、企業との協業も進めている。
リトプラは自社運営の施設においてベンキュージャパン製のプロジェクターを導入しており、こどもスマイルムーブメントを通したつながりもある。そこでベンキュージャパンがリトプラに電子黒板の展開と可能性について話をしたところ、ベンキュージャパンの電子黒板と、リトプラのデジタルコンテンツを組み合わせて“できること”の模索を始めることになった。
ただ、ベンキュージャパンはもちろんリトプラも「デバイス(電子黒板)やコンテンツがあっても、それが(幼稚園/保育園/こども園で)求められるのか」という点で“未知”な部分もあった。
そんな中、小平みどり幼稚園のリニューアルをきっかけに、星野学園がこどもスマイルムーブメントに参加した。同学園がICT関連の取り組みに積極的であることを知ったベンキュージャパンとリトプラは同学園に協力を依頼し、今回の協定につながったという。
GIGAスクール時代の小学校への「架け橋」になれるか?
GIGAスクール構想も手伝って、小学校以上の教育課程では電子黒板を含む大型提示装置が広く普及している。一方で、それ以前の幼稚園/保育園/こども園では大型提示装置が普及していない。ある意味で「ブルーオーシャン」ともいえる市場だ。
今回、そこに目を向けたベンキュージャパンがリトプラや星野学園と連携し、共にブルーオーシャンを開拓していく――今回の連携協定には、そのような意味合いも込められている。この取り組みに関連して、ベンキュージャパンの菊地正志社長は「(幼稚園/保育園/こども園における電子黒板が)小学校以降のデジタル教育への橋渡しになれば」と語る。
幼稚園/保育園/こども園に電子黒板は普及するのか――この取り組みの進捗(しんちょく)に注目が集まりそうだ。
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