法人事業の強化で、100年企業を目指す――「ドスパラ」のサードウェーブが8月に社長を交代 新社長はインテル出身の井田晶也副社長
「ドスパラ」や「GALLERIA」で知られるサードウェーブが、8月1日付で社長を交代する。法人事業の一層を強化を目的に、現在副社長を務める井田晶也氏が社長に就く一方で、現在社長を務める尾崎健介氏は会長となり、グループ事業の統括に専念するという。
サードウェーブは6月19日、8月1日付の役員人事を発表した。社長兼CEO(最高経営責任者)を務める尾崎健介氏は会長に退く一方で、副社長兼COO(最高執行責任者)を務める井田晶也氏が社長に昇格する。ただし、CEOとCOOの役割分担に変更はなく、企業の代表権は引き続き尾崎氏のみが保有する。
テーマは「Future Unleashed(未来を解放する)」
サードウェーブは、「ドスパラ」ブランドでPC/パーツ販売店事業を展開している他、「GALLERIA(ガレリア)」「raytrek(レイトレック)」「THIRDWAVE(サードウェーブ)」ブランドで完成品PCの販売事業を展開している。どちらかというとコンシューマー(個人)向けの店舗やPCに強みがあった同社だが、その強みを生かしたビジネス(法人/団体)市場における事業を強化しようと取り組んでいる。
今回の社長交代は、ビジネス市場における“攻勢”を一層強化するための取り組みの一環だという。
AI(人工知能)の普及を背景に、同社では今後もビジネスPCの需要は増加すると見ている。そこでコンシューマーPCにおける柔軟性の高いBTO(Build To Order)サービスや迅速な納品体制を生かしつつ、「ゲーム開発者」「CADデザイナー」「映像制作」の3分野を中心に、ビシネスPCの販売やサービスの提供を強化していくという。
とりわけ、これらの用途ではグラフィックスカード(独立GPU)を搭載したPC、あるいはAI処理を高速化した「AI PC」へのニーズが高いと予測される。今後は、強いGPUやNPUを搭載するビジネスPCが多数出てくることになりそうだ。
オンデバイスAIへのニーズの高まりを受けて、ビジネス市場ではAI PCや独立GPUを搭載するPCへのニーズは高まると予測される。ある意味で、サードウェーブにとっては得意分野を生かせるビジネスチャンスともいえる
新社長に就任する井田氏は「Future Unleashed(未来を解放する)」という言葉を掲げる。ビジネス市場でのプレゼンスを向上し、「100年先も求められる企業」として飛躍できるかどうか、その手腕に期待したい。
なお、同社は7月3日にビジネスPCの新製品発表会を開催する。上記の戦略に合致した製品が登場するものと思われる。
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