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Appleはなぜ“Mac週間”でラインアップを更新したのか 透けるIntelチップからのリプレースとAIへのこだわり本田雅一のクロスオーバーデジタル(2/3 ページ)

3日連続でMacの新モデルを発表したApple。その締めくくりは「MacBook Pro」となった。MacBook Proも含む発表内容を俯瞰(ふかん)すると、IntelチップからのリプレースとAIへのこだわりが見えてくる。

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新しいMacBook Proの狙いは「Intel Mac」ユーザー?

 新しいMacBook Proにおいて、Appleが目指しているのはIntel CPUを搭載していた(2020年まで)のMacBook Proの“一掃”だと思われる。というのも、Appleが昨今推している「Apple Intelligence」は、MacではApple Siliconを搭載しているモデルでないと動作しないからだ。

 「Intelモデルのリプレースがターゲットです」とAppleが公言しているわけではないが、新しいMacBook Proのパフォーマンス比較では、ほとんどにおいてベースライン(主な比較対象)をIntel CPU(Core i7プロセッサまたはCore i9プロセッサ)モデルとしている。

 例えば、Core i7搭載モデルと比較して(以下同様)、M4チップ搭載モデルでは「Affinity Photo 2」での画像処理速度が最大7倍、「Blender」でのレンダリングパフォーマンスが最大10.9倍だという。また、M4 Proチップ搭載モデルでは、Core i7搭載モデルと比較して「Topaz Video AI」でのビデオ処理速度が最大21倍、「Oxford Nanopore MinKNOW」でのDNA解析処理速度が最大29.9倍とのことだ。

 4年前のモデルとの比較とはいえ、圧倒的な差を示している。

M4チップ
M4チップの時点で、Intel Macの最終モデルとのパフォーマンス差は大きい
M4 Proチップ
M4 Proチップともなると、より大きな負荷を与える処理で大きな差が出やすくなる

 M4 Maxチップの性能はさらに印象的で、「MATLAB」でのシミュレーション速度が最大5.8倍、「Redshift」でのレンダリングパフォーマンスが最大7.8倍、「Xcode」でのプロジェクトビルドが最大4.6倍の高速化を果たせる。このチップを選ぶユーザーは、恐らくメディア処理のスループットを重視する傾向にあると思うが、「ProResビデオ」の同時処理が4K(3840×2160ピクセル)解像度なら最大66ストリーム、8K(7680×4320ピクセル)解像度でも最大15ストリームを同時に扱えるパワフルさを備える。

M4 Maxチップ
M4 MaxチップをCore i7プロセッサ搭載のMacBook Proと比べると、パフォーマンスに大差をもたらすアプリもある

 M4ファミリーに共通して搭載される16コアの「Neural Engine」(NPU)は、1秒あたり38兆回の演算処理を行える。これはM1チップの約3倍で、オンデバイスでのAI処理能力が大幅に向上している。

 また、「Media Engine」では新たに「AV1」形式の動画のデコードをサポートしたことで、「YouTube」や「Netflix」など、同形式で動画を配信するストリーミングサービスの再生時の処理効率が改善された。

 もちろん、Apple Siliconを搭載したMacBook Proから買い換える検討している人もいるだろう。M1世代やM2世代のモデルからの買い替えは、十分に検討する余地はあると考えるが、この点については実機が手元に来てからチェックしていきたい。

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