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「AirPods Pro 2」のヒアリング補助機能は歓迎 パナソニック補聴器事業に聞いて分かった歴史とミッション(3/4 ページ)

補聴器の企画、開発、品質維持を担う福岡市美野島の福岡拠点、生産および修理を担う拠点の佐賀工場を訪れて、パナソニックの補聴器事業を取材した。

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パナソニック補聴器事業のミッションは

 パナソニックの補聴器事業におけるミッションは、「聞こえを中心とした、より健康的、前向きなくらしを創造する」ことであり、ビジョンとして「新しい価値を創出し、将来的な補聴器装用につなげる」を打ち出している。

 「聞こえが悪くなると、家族や友人との会話が減り、社会からの疎外感が高まる。パナソニックは、いかに自然で快適な聞こえをお届けするかを追求し、音響機器の開発で培った技術を活用した製品開発やモノづくりを実践している。ユーザーの音質や装用感、使いやすさにこだわりたいといったさまざまなニーズに応え、新たな提案を行ってきた」(藤井氏)

 だが、日本では難聴者に対する補聴器の普及率は15%であり、デンマークの55%、英国の53%、米国の30%に比べると、かなり低いことが分かる。

 一般社団法人である日本補聴器工業会の調査によると、日本人が補聴器を使用しない理由として挙げているのが、「騒音下では役に立たない」が26%となっており、特に劇場やコンサートホールなどの大きな会場の他、TV鑑賞や映画館、電話での聞き取りに対する不満が高い。

 また、「恥ずかしい」が25%、「形やデザインがよくない」が16%となっており、日本では、補聴器に対するネガティブなイメージが先行していることも見逃せない。

 「補聴器をしていると、年寄りに思われてしまうというイメージがある。新たな機能を搭載するだけでなく、デザイン面でも工夫をし、髪色や肌になじむカラーだけでなく、逆にファッショナブルであることを強調するカラーも用意している。補聴器に対するイメージを変え、日本での補聴器の普及率拡大に貢献したい」(藤井氏)

 人は、加齢とともに、高い音が聞き取りにくくなる。音が聞こえる仕組みは、音が鳴ると、鼓膜が震えて、身体の中で最も小さな骨といわれる耳小骨(ツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨)が揺れ、音を増幅する。

 これが、蝸牛(かぎゅう)の中にあるリンパ液を揺らすとともに、耳の奥にある約1万5000本の有毛細胞が揺れて、音を電気信号として脳に伝える。

 有毛細胞は歯ブラシのブラシのように並んでいるが、これが倒れたり、抜けたりして損傷すると、音が聞こえにくくなる。有毛細胞の損傷は年齢によるものの他に、大きな音を長年聞き続けることによっても発生する。

 特に手前側にある有毛細胞が損傷しやすく、これが高い音が聞き取りにくくなる要因になっている。損傷した有毛細胞は、現在の医学では再生することができないが、再生医療の発展などによって、解決の糸口が見つかることが期待されている。

 加齢性難聴は、40歳くらいから徐々に症状が現れるという。補聴器は音が聞きとりづらくなったと感じたら、すぐに使い始めた方がいいという。

 一方で、難聴と耳鳴りの関係性も明らかになってきた。ストレスで耳鳴りが起きるという場合もあるが、研究によると、原因の多くが難聴だとみられている。難聴で音が届きにくい状態だと、弱い信号を補うために脳が活動し、過度な興奮状態となり、耳鳴りが脳で発生するというメカニズムだ。難聴になると、特に高い音が聞き取りにくくなるため、高い音を脳で強調しようとすることで発生し、これが耳鳴りになる。

 この仕組みからも分かるように、耳鳴りを軽減することに、補聴器は効果があるという。補聴器から音が正しく耳に届くことで、耳鳴りの原因となっている音を強くしようとする活動が収まり、脳の興奮が減り、その結果、耳鳴りを軽減できるからだ。

 そして、難聴と認知症との関係も明らかになっている。認知症の専門家などで構成するランセット国際委員会では、認知症になりやすい要因として、難聴をトップに挙げている。

 その理由として、難聴者は音の処理に脳の活動を取られてしまい、その代わりに高次な知的作業が減り、脳の萎縮が加速することや、コミュニケーションが少なくなり、社会的活動が減ってしまうことによる認知機能の低下、耳から脳に伝わる音声刺激の減少による認知機能の低下などを指摘している。

 裏を返せば、補聴器を使用することで、人とのコミュニケーション機会が得られ、脳の活性化につなげることができるというわけだ。

 ちなみに、パナソニックでは、簡単にチェックができるアプリの「きこえ3分チェック」(iOSAndroid)と、Webサイトの「聞こえチェック」を用意している。20代は1万9000Hz、30代は1万7000Hzが聞こえることが目安となっており、50代では1万2000Hzが目安になっている。気になる人は、一度、チェックしてみてほしい。

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無料アプリとして提供している「きこえ3分チェック」
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タッチするだけで進めることができる。正解すると〇と表示される
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「聞こえチェック」のWebサイト

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