「GeForce RTX 5090」を速攻テスト! 約40万円からだが“異次元”のうたい文句はダテではない ただし電源容量と冷却面に注意(3/3 ページ)
まもなく発売を迎える「GeForce RTX 5090」。モンスター級のスペックを持ちながらも2スロット厚に収まる純正GPU「GeForce RTX 5090 Founders Edition」を通して、その実力をチェックしていこう。
GPUの使い道はゲームだけではない。仕様の際にも触れたように、動画編集などクリエイター向けの作業でも高速なGPUがあった方が快適になるシーンは多い。
簡単ではあるが、クリエイター向けアプリケーションでのパフォーマンスのチェックも実施したので、その結果も見ていこう。
Blender Benchmark
まず、2D/3Dアニメーション製作ツール「Blender」をベースとしたベンチマークテストアプリ「Blender Benchmark」のWindows版を用いて、パフォーマンスの比較を行った。今回は「Monster」「Junkshop」「Classroom」の3つのシナリオにおいて、1分間当たりの生成サンプル(オブジェクト)数を計測した。結果は以下の通りだ。
- Monster
- GeForce RTX 5090:7158.741924個
- GeForce RTX 4090:6362.262159個
- GeForce RTX 4080 SUPER:4501.148281個
- GeForce RTX 3090 Ti:3170.575989個
- Junkshop
- GeForce RTX 5090:3850.060831個
- GeForce RTX 4090:2956.122639個
- GeForce RTX 4080 SUPER:2129.966019個
- GeForce RTX 3090 Ti:1803.310914個
- Classroom
- GeForce RTX 5090:3588.898376個
- GeForce RTX 4090:2979.535322個
- GeForce RTX 4080 SUPER:2177.976374個
- GeForce RTX 3090 Ti:1560.694279個
ただでさえ強かったGeForce RTX 4090よりも、多くのオブジェクトを生成できている。GeForce RTX 3090 Ti比では2倍超だ。コンシューマー向けGPUにおいて、最も作業効率の良いアニメーション制作環境を整えたいなら、GeForce RTX 5090はピッタリといえる。
Adobe Premiere Pro(4K動画書き出し)
続けて「Adobe Premierer Pro」を使って、4K動画のエンコードに要する時間を比較してみよう。今回は「GoPro HERO 10」で撮影した数本の4K動画を30分ほどにまとめて書き出すのに要した時間をまとめた。結果は以下の通りだ。
- GeForce RTX 5090:5分44秒
- GeForce RTX 4090:7分18秒
- GeForce RTX 4080 SUPER:7分6秒
- GeForce RTX 3090 Ti:9分30秒
GeForce RTX 4090で「すごい、早く(速く)なった!」と感動していたところ、GeForce RTX 5090はさらに早くなっている。エンコーダーの世代が上がっただけでなく、基数が2基から3基に増えたこと、そしてメモリ帯域が広くなったことが奏功しているものと思われる。
動画の書き出し中は、編集アプリで別の作業を行えない。編集する動画が多ければ多いほど、次の動画の編集までの待ちが短くなるのは作業効率を重視するパワーユーザーには魅力的に映るはずだ。
まとめ
今回、GeForce RTX 5090 Founders Editionのテストは期間が短く、テストできた項目が少なめとなってしまった。しかし、それでも前世代を上回る性能はしっかりと確認できた。
コンシューマー向け製品としてはやはりゲームでの利用が中心になるとは思うが、重量級のゲームタイトルを4K解像度で“ネイティブ”でも30〜60fpsで動かせるパワーは尋常ではない。
目玉であるDLSS 4の効果も大きく、今後さらに重量級のゲームタイトルが出てきたときも、対応していればという条件こそついてくるものの、動かない/動作に不満が出るといったことは、まずないだろう。
ゲーミングだけでなく、クリエイターにとっても作業の生産性が確実に向上するパフォーマンスを備えている。エンコードやレンダリングに待っている時間がもったいないと考えるクリエイターであれば、初期投資としては高いものの、あっという間に元が取れるだけの成果も得られるのではないだろうか。
なお、気になる消費電力だが、アイドル時こそシステム全体で85Wと、従来製品とそう差はないのだが、3DMarkのTime Spy Extremeの実行した際のピーク時で778Wまで上昇することが確認できた。システム全体で1000Wの電源を推奨するのは“だて”ではない。
このGPUの性能を引き出すには、CPUの性能も高い方が良い。そうなると、電源の容量はもちろんだが、PC内のエアフローも十分に考慮しなければならない。GeForce RTX 5090 Founders Editionは2スロット厚でコンパクトなのだが、GPUに負荷が掛かるとカード上部から吹き出される熱はそれなりに高い。
サードパーティー製カードはより大きくファンも多いとはいえ、トータルの排熱量はそれほど変わらないと思われる。とにかく本体(ケース)内に熱ををこもらせないためにはどうしたらいいのかという観点は必須だろう。
GeForce RTX 5090は、価格だけでなくシステム構成までも考えると、導入の障壁も”高い”GPUだ。だが、異次元ともいえる高い性能からしか得られない体験や、生産性の向上を目的とするのであれば、憧れではなく真剣に導入を検討する価値はある。
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