NVIDIAが新型GPU「GeForce RTX 50シリーズ」を発表 新アーキテクチャ「Blackwell」でパフォーマンスを約2倍向上 モバイル向けも:CES 2025
NVIDIAが、ついにBlackwellアーキテクチャのコンシューマー向けGPUを発売する。今回はデスクトップ向けだけでなくモバイル(ノートPC)向け製品も一気に発表しており、GPUにおけるAI処理を一気に底上げする。
NVIDIAは1月6日(米国太平洋時間)、コンシューマー向け新型GPU「GeForce RTX 50シリーズ」「GeForce RTX 50 Laptop GPUシリーズ」を発表した。GeForce RTX 50シリーズを搭載するグラフィックスカードは1月末から2月にかけて、「GeForce RTX 50 Laptopシリーズを搭載するノートPCは3月から順次発売される予定だ。
新アーキテクチャ「Blackwell」を採用
GeForce RTX 50シリーズとGeForce RTX 50 Laptop GPUシリーズは、現行の「GeForce RTX 40シリーズ」「GeForce RTX 40 Laptopシリーズ」の後継製品で、いずれも新しいGPUアーキテクチャ「Blackwell」を採用している。
BlackwellアーキテクチャはAI(人工知能)を生かした「ニューラルレンダリング」に最適化すべく、AIを処理する能力を大きく引き上げている。トランジスタ数は最大920億個で、コンシューマー向けGPUとしては最大規模となる。この処理性能を生かした超解像技術「DLSS(Deep Learning Super Sampling)」は第4世代となる。
SM(ストリーミングマルチプロセッサ)はスループットの向上を図ると同時にTensorコアとの連携を深め、ニューラルシェーダーの実効パフォーマンスを改善している。シェーダーの並べ替えを行う「SER(Shader Execution Reordering)」も、ハードウェアとソフトウェアの両面で改善をしたという。AI処理でグラフィックスメモリを“浪費”しないようにするために、TensorコアではFP4演算もサポートした。
膨大なジオメトリデータを扱えるようにすべく、レイトレーシング処理を担うRTコアも再設計を行っており、前世代(Ada Lovelaceアーキテクチャ)比でトライアングル交差率は最大2倍となり、グラフィックスメモリを節約するための圧縮機能もそなえている。
グラフィックスメモリはGDDR7で、アクセス速度は最大30Gbpsとなる。メモリの帯域幅は最大毎秒1.8TBだ。
接続バスはPCI Express 5.0(4.0への後方互換対応)で、映像出力はDisplayPort 2.1b(UHBR20対応)に対応する。
GeForce RTX 50シリーズの概要
GeForce RTX 50シリーズはデスクトップPC向け製品で、PCI Express形式のグラフィックスカードとして提供される。上位製品である「GeForce RTX 5080」「GeForce RTX 5090」は1月31日に、その下位に位置する「GeForce RTX 5070」「GeForce RTX 5070 Ti」は2月中に発売される予定だ。これらのうち、GeForce RTX 5070 Ti以外の3製品はNVIDIAが自ら設計したグラフィックスカード「Founders Edition」も用意される。
GeForce RTX 50シリーズの「Founders Edition」は、2連ファンを使った「ダブルフロースルーデザイン」を採用し、冷却パフォーマンスを向上している。画像の「GeForce RTX 5090 Founders Edition」は、約137(高さ)×304(長さ)というサイズ感で、2スロット厚に収まっている
今回リリースされたGPUの主なスペックは以下の通りだ(米ドルは税別、日本円は税込みの想定価格)。
- GeForce RTX 5070:549ドル(10万8800円)〜
- CUDAコア:6144基
- Tensorコア(ピーク処理性能):988 AI TOPS
- RTコア(ピーク処理性能):94TFLOPS
- 動作クロック:2.16GHz〜2.51GHz
- グラフィックスメモリ:12GB(GDDR7/192bit)
- 動画エンコーダー:1基(第9世代)
- 動画デコーダー:1基(第6世代)
- 消費電力:250W(補助電源は「8ピン×2」相当)
- GeForce RTX 5070 Ti:749ドル(14万8800円)〜
- CUDAコア:8960基
- Tensorコア(ピーク処理性能):1406 AI TOPS
- RTコア(ピーク処理性能):133TFLOPS
- 動作クロック:2.3GHz〜2.45GHz
- グラフィックスメモリ:16GB(GDDR7/256bit)
- 動画エンコーダー:2基(第9世代)
- 動画デコーダー:1基(第6世代)
- 消費電力:300W(補助電源は「8ピン×2」相当)
- GeForce RTX 5080:999ドル(19万8800円)〜
- CUDAコア:1万752基
- Tensorコア(ピーク処理性能):1801 AI TOPS
- RTコア(ピーク処理性能):171TFLOPS
- 動作クロック:2.3GHz〜2.62GHz
- グラフィックスメモリ:16GB(GDDR7/256bit)
- 動画エンコーダー:2基(第9世代)
- 動画デコーダー:2基(第6世代)
- 消費電力:360W(補助電源は「8ピン×3」相当)
- GeForce RTX 5090:1999ドル(39万3800円)〜
- CUDAコア:2万1760基
- Tensorコア(ピーク処理性能):3352 AI TOPS
- RTコア(ピーク処理性能):318TFLOPS
- 動作クロック:2.01GHz〜2.41GHz
- グラフィックスメモリ:32GB(GDDR7/512bit)
- 動画エンコーダー:3基(第9世代)
- 動画デコーダー:2基(第6世代)
- 消費電力:575W(補助電源は「8ピン×4」相当)
GeForce RTX 50 Laptop GPUシリーズの概要
GeForce RTX 50 Laptop GPUシリーズはモバイル向け製品で、主にノートPCの外部GPUとして組み込まれる。基本的な仕様はデスクトップ向けのGeForce RTX 50シリーズをベースとしているが、ノートPCに組み込むということもあり性能や消費電力は抑えられている。
NVIDIAの省電力デザイン「Max-Q」は最新バージョンとなり、GPUの動作クロックをミリ秒単位で動的に変動させることでSLM(小規模言語モデル)をはじめとするAIを稼働した際の消費電力を抑制し、結果としてバッテリーの消費を抑制できるという。
今回リリースされたGPUの主なスペックは以下の通りだ。
- GeForce RTX 5070 Laptop GPU
- CUDAコア:4608基
- Tensorコア(ピーク処理性能):798 AI TOPS
- グラフィックスメモリ:8GB(GDDR7/128bit)
- 動画エンコーダー:1基(第9世代)
- 動画デコーダー:1基(第6世代)
- GeForce RTX 5070 Ti Laptop GPU
- CUDAコア:5888基
- Tensorコア(ピーク処理性能):992 AI TOPS
- グラフィックスメモリ:12GB(GDDR7/192bit)
- 動画エンコーダー:1基(第9世代)
- 動画デコーダー:1基(第6世代)
- GeForce RTX 5080 Laptop GPU
- CUDAコア:7680基
- Tensorコア(ピーク処理性能):1334 AI TOPS
- グラフィックスメモリ:16GB(GDDR7/256bit)
- 動画エンコーダー:2基(第9世代)
- 動画デコーダー:2基(第6世代)
- GeForce RTX 5090 Laptop GPU
- CUDAコア:1万496基
- Tensorコア(ピーク処理性能):3352 AI TOPS
- RTコア(ピーク処理性能):1824TFLOPS
- グラフィックスメモリ:24GB(GDDR7/256bit)
- 動画エンコーダー:2基(第9世代)
- 動画デコーダー:2基(第6世代)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
NVIDIA、2つのGPUダイを採用した新GPUアーキテクチャ「Blackwell」発表 電力効率25倍、AI性能は30倍に
「Blackwell」は2つのGPUダイ(半導体のチップ本体)を10TB/秒の超高速なインタフェース「NV-HBI」で接続し、1つのGPUとして振る舞う仕組みを採用している。トランジスタの数は2080億個に上る。
「Blackwell」の次は「Rubin」へ フアンCEOが次世代GPUアーキテクチャのロードマップを紹介
COMPUTEX TAIPEI 2024にあわせて米NVIDIAが基調講演を実施した。次世代GPUアーキテクチャ「Blackwell」の大規模版「Blackwell Ultra」や、さらに次世代となる「Rubin」「Rubin Ultra」を含む将来のロードマップについて明らかにした。
AMDが新GPUアーキテクチャ「RDNA 4」をチラ見せ GPU名は「Radeon RX 9000シリーズ」に
AMDが、新GPUアーキテクチャ「RDNA 4」をプレビューした。同アーキテクチャの第1弾製品となる「Radeon RX 9070」「Radeon RX 9070 XT」は、2025年第1四半期に登場する予定だ。
GPUの「レイトレーシング処理」改良の歴史をひもとく【Radeon RX 7000シリーズ編】
PC用GPUにおけるリアルタイムレイトレーシングの実装において、遅れを取ったAMD。その実装方針は、NVIDIAとも異なっていて興味深い。Radeon RX 6000シリーズ(RDNA 2)からRadeon RX 7000シリーズ(RDNA 3)への進化に当たり、レイトレーシングユニットにどのような改良が加えられたのか、解説する。
ノートPC向け「GeForce RTX 40 Laptop」登場 搭載製品は2月8日から順次登場
新アーキテクチャ「Ada Lovelace」を採用するGPU「GeForce RTX 40シリーズ」が、ついにモバイル(ノートPC)向けにも展開される。従来アーキテクチャよりもパワフルながらも消費電力を抑えたことが特徴で、ノートPCにおけるゲーミングとクリエイティブ活動がさらにしやすくなるという。









