フルスペックの新型「Mac Studio」に触れて考える、Appleが提案するM3 Ultraチップの真価:本田雅一のクロスオーバーデジタル(1/2 ページ)
M3 Ultraチップを搭載した「Mac Studio」が登場したが、気になるのはM4 Maxチップを搭載した製品との用途の違いだ。
M3 Ultraチップを搭載した「Mac Studio」を短期間ではあるが先行して試すことができた。試したは512GBのユニファイドメモリ、16TBのSSDを搭載するフルスペックモデルで、価格は税込218万3800円にも上る。ここで興味深いのは、M4 Maxチップを搭載した製品との用途の違いだ。
M4 Maxチップは既にMacBook Proに搭載されているが、そのパフォーマンスの高さは評価されており、最大128GBのメモリも大多数のクリエイターが求めるワークロードにおいて十分に広大なメモリ空間である。
このM4 Maxチップに対して、M3 Ultraチップを選ぶためには、プラス37万円の予算が必要だ。M3 Ultraチップは96GBが最低メモリ容量となり、128GBの構成は選択できないが、換算値で言えば256GBのユニファイドメモリにするために18万円、512GB構成にするためには54万円の予算を積み上げる必要がある。
価格そのものは、似たような構成となるIntelのXeonプロセッサ最上位クラスを搭載するワークステーションと競合するものだが、それらがよりピーク性能の高い外部GPUカードを備えている一方、ユニファイドメモリによって巨大なメモリ空間でGPUパフォーマンスを生かせることが大きな違いとなる。
M3 Ultraを生かす大容量メモリ活用のシナリオ
Mac Studioは、M3 Ultraチップ搭載モデルとM4 Maxチップ搭載モデルという2つの選択肢をユーザーに提供しているが、それぞれの性能差をスペックシート上だけで比較することにあまり意味はない。
前述したように、この2つのプロセッサにはチップそのものの価格差に加え、搭載メモリ容量による価格差もある。また、よほどGPUの演算能力の絶対値に依存したアプリケーションではない限り、M4 Maxチップの方が圧倒的に費用対効果がいい。
写真や動画制作を中心とするクリエイティブ用途では、最新世代となるM4 MaxチップのシングルコアでのCPU性能の高さが応答性に大きく寄与する、
また、Geekbench MLなどのベンチマークでは、量子化データ処理においてM4 MaxチップがM3 Ultraチップを明確に上回っており、オンデバイスでのAI処理においてもM4 Maxの方が有利だ。
つまり、動画編集における被写体認識や自動フレーミング、文字起こしなどのタスクはM4 Maxチップの処理効率とコストパフォーマンスが際立っている。
128GBメモリで足りる範囲であれば、M4 Maxチップの方がベターな選択肢であることは間違いなく、そしてそれはほとんどのクリエイティブな作業レンジをカバーする。
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