名前に「Pro」を付け忘れた? イラストレーターがHuionの新作液タブ「Kamvas 16(Gen 3)」を試して分かったメリットと気になるところ:ある日のペン・ボード・ガジェット(3/4 ページ)
Huionから、コストパフォーマンスに優れた液晶ペンタブレットの新モデル「Kamvas 16(Gen 3)」が発売されました。実機をプロイラストレーターのrefeiaさんが試してみました。
描き味と完成度が向上したペン
ペンもチェックしていきましょう。本機にはPenTech 4.0のペンシステムに対応した軽量タイプのペンが付属します。上位機に付属していた通常のペンと細ペンは、オプションとして購入できます。
また、サイドボタンが3つあるので従来機に比べてカスタマイズ性が高まっています。
遅延やジッターなどのチェックを一通り試してみましたが、今どきこのあたりの問題が残っていることはまれですし、本機も問題ありませんでした。先のモデルで発生していた、傾ける向きによってはカーソルがずれる問題も、本機では修正されているようでした。このあたりの、作りながらどんどん直していくスピードは海外メーカーならではですね。
筆圧の反応も良好です。軽い筆圧から強い筆圧まで、だいたい意図した通りにコントロールできて、ブラシ設定を変えないまま無理ない力の範囲で薄く〜ベタ塗りまでコントロールすることができます。
古い世代のペンではあるあるだった、さして強くない筆圧なのに反応が頭打ちになってしまう問題も、今となっては心配する必要はありません。
ただし、付属の芯が1種類だけです。描き味の選択肢が欲しい人はオプションの「フェルトペン先」を検討しても良いでしょう。アンチグレア処理が細かいこともあって標準の芯はスルスル滑らかで、筆圧をかけても摩擦がそれほど強くなっていかないタイプの描き味でした(例によって最初に布で画面をふくと摩擦感が安定します。念のため)。
いつもの魔女さんで実用チェック
さて。ここまで見てきて、ドライバアプリが若干洗練されていないのが残念なことと、ペンに太さや芯の選択肢を加えるにはオプションの購入が必要なこと以外は上位機に近い、ということが分かりました。
ここからは、実際にいつものイラストで実作業をなぞりながら使用感をチェックしていきます。
ラフ〜線画は、実は2024年にレビューしたプロモデルのKamvas Pro 19よりも印象が良いぐらいでした。
というのも、Kamvas Pro 19は表示遅延が少しあり、本機の方が遅延感も少な目です。ペンを素早く動かしていろいろと試したいラフの工程や、集中して線の様子を見ながらペンを引きたい線画の工程では、遅延によるモッサリ感やペン先から線が離れている様子は気になりやすいです。
筆圧のコントロール性が良いからか、それともドライバに制御でも入っているのか、いずれにせよ意図したとおりにスッと自然に抜ける線を安定して描くことができました。
彩色も同様で、多少のブラシ設定の調整をした後は、意図した通りの濃さやグラデーションをつけながら塗れました。ごく軽い筆圧の自然さはもう少しあってもいいかなと思うものの、あくまで自分の実制作では使わないようなふんわり筆圧を試しているときに感じ取れる程度です。
ペンとディスプレイの品質には感心する一方、本体のキーはあまり使いませんでした。ダイヤルはチチチ……と軽い力で小気味良く回るし質感も良いのに対して、キーは力を入れづらい位置にある割には感触が重く、ちぐはぐな感じです。
素早い操作をし続けるなら、安定した位置に配置できるキーボードや左手デバイスの方が快適ですし、ならばと思って頻度が高くないキーマクロの用途にするにも、先に書いた「途中で装飾キーが変わるパターン」を登録できないので利用機会が減ります。
全体として、自分は元々キーボード派なために本体のキーを使わなくても作業効率に大きな問題はなく、ドライバアプリも作業中にはそれほどごちゃごちゃ操作するわけではないので、ほとんどの時間を快適に過ごせました。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「スナドラPC」って絵師にはどうなの? ついに利用可能になったワコムドライバで実用性をチェック
ワコムが、ついにQualcommのSoC向けにドライバの提供を開始しました。2024年の発売時にチェックしてから、どのような進展があったのか。プロイラストレーターのrefeiaさんが試したよ。
ワコムの板タブ「Intuos Pro」が16年守ったスタイルを捨てて大進化! その実力をプロがチェックしたよ
ワコムが、ペンタブレット「Intuos Pro」シリーズを大幅刷新した。新モデルの出来具合はどうなのか、プロ絵師のrefeiaさんが試したよ。
HUIONの液タブ「Kamvas Pro 19」は全部盛りで最高のサイズ感だった! プロ絵師が試して分かったこと
プロイラストレーターのrefeiaさんが、HUIONの高級液タブ「Kamvas Pro 19」を試しました。今度の新モデルはどうだったのでしょうか?
絵師は健康が不安? ならば板タブだ! HUION「Inspiroy Giano」レビュー
イラストレーター refeiaさんの連載第3弾は、HUIONの大型板タブ「Inspiroy Giano G930L」を試したよ!
ワコムペン付属の「ASUS ProArt Display PA169CDV」は高級モバイルディスプレイの王道を行くのか? プロ絵師が試す
ASUS JAPANから、ワコムペン付属の高級モバイルディスプレイ「ASUS ProArt Display PA169CDV」が発売されました。その実力の程をイラストレーターのrefeiaさんがチェックしました!





