1年で大幅進化した「Insta360 X5」先行レビュー センサー大型化と新映像エンジンの実力を“X4”と比較した:武者良太の我武者羅ガジェット道(3/3 ページ)
「Insta360 X5」が登場! 大型センサーと新エンジンで画質向上、8K30fps、5.7K60fps HDRに対応。レンズ交換も可能に。
鮮やかでクッキリ。たった1年でこれだけ画質が変わるとは
スペックの数値の違いは分かりました。では実際に、Insta360 X5とInsta360 X4にどれほどの画質差があるのかをチェックしてみましょう。
まずは、8K/30fpsで撮影してみたところ、この時点でかなりの違いが確認できます。まずは空の様子をチェックすると、Insta360 X5はダイナミックレンジが広く、雲の形状の違いもしっかりと見て取ることができます。
シャープネスを強めに効かせているという印象はありますが、木々や建物のエッジをくっきりと見せています。センサーと映像エンジンが共にスペックアップしたことで、日中でも明瞭さを高めることができるようになったのでしょう。
続いてInsta360 X4の8K/30fps映像を見ると、わずかに輝度を高めていることも影響してか、空は白飛びしているエリアが広く、細部の描写もモヤッとしています。Insta360 X4が発売された当初は十分な戦力となる映像が撮れると感じたものですが、比べてみると差は明らかです。
高画質化が進んだ全天球カメラは、平面映像として出力して使うケースが増えてきました。ここでは8K/30fpsの映像を平面の4K動画としてエクスポートしてみましたが、Insta360 X5はダイナミックレンジの広さが効いています。
Insta360 X4の映像を見ると、細部の解像感やダイナミックレンジがInsta360 X5に劣っていることが分かります。でも360度映像ほど、その差は気にならないという印象を受けますね。
360度のスローモーション動画を撮るなら新型一択
スローモーションの映像品質に違いはあるでしょうか。Insta360 X5/X4共に、4K/100fpsで撮った映像を25fps(4倍スロー)に変換してみました。
スローモーションならではの映像の動きのインパクトが強く、通常の映像ほど世代差は感じません。ところがスティッチエリアに視点を動かしてみると、Insta360 X5の方がきれいに前後センサーの映像をつなげています。
特にInsta360 X5側の映像なら右に置いたInsta360 X4を、Insta360 X4側の映像なら左にあるInsta360 X5の部分をチェックしてみてください。これは新型の映像エンジンによる効果でしょう。
夜景映像も大型センサーと新型映像エンジンの性能が生きている
夜間時の撮影においても、Insta360 X5はそのハードウェアスペックを最大限に生かしているようです。
新たに搭載されたPureVideoモードは、夜間/暗所撮影時のノイズを大幅に低減してくれます。オート設定のままだとかなり明るめに仕上げてきますが、もっと暗い映像にしたい場合はEV設定を-1.0くらいにすればOKです。
通常の動画モードでも撮ってみました。ノイズが残ってしまい、ザワザワとした印象を受けます。
対してInsta360 X4の夜景映像はいかがでしょうか。8K/30fpsで記録すると暗くてよく分からない上に、ノイズも盛大に乗っています。
実は夜間/暗所撮影時は、5.7K/30fpsでの撮影をおすすめするといったメッセージが表示されます。そのモードで撮ってみると、解像感は劣るもののノイズの抑制が上手で好印象ですが、PureVideoモードで撮影したInsta360 X5の映像にはかないません。
アクションシーンにもチャレンジしたくなる高画質全天球カメラ
写真を撮るデジカメは、画質の進化スピードが一段落してきており、手軽に呼び出せるLUTボタンなどのUI改善、クラウド連携など、ユーザビリティーの進化が目立ってきました。
しかし、全天球カメラにおいては画質向上がまだまだ止まりません。2024年にInsta360 X4が登場した時には「ポケットサイズで十分な画質を持っている」と感じたものですが、Insta360 X5はそのときの感動を大きく超えてきました。
Insta360 X4だけではありません。解像度は低いけどセンサーサイズが大きく、自然な夜景表現が可能だった「Insta360 ONE RS 1インチ360度版」よりも、明らかに夜景撮影時の品質が高いです。補正前提の画作りではあるものの、スマートフォンやタブレット、XRヘッドセットで見るものだとしたら、Insta360 X5の画質の方が明らかに優れています。
従来機種を愛機としていた方も、Insta360 X5を体験してしまうと買い替えたくなるでしょう。
またユーザーによるレンズ交換が可能になった点も見逃せません。万が一の事態となってもレンズの傷やヒビを無くすことができるなら、バイクや自転車に一脚を固定して、ツーリング/サイクリング中の動画を撮りたくなること間違いありません。
(製品協力:Insta360)
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