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捨てたのは“赤ポッチ”だけじゃない? レノボの新フラグシップ「ThinkPad X9 14 Gen 1 Aura Edition」の実像に迫る(3/5 ページ)

象徴ともいえる「TrackPoint」を省いたThinkPad――それが「「ThinkPad X9」だ。今回は、ある意味で“らしくない’ThinkPadの14型のエントリークラスを実際に試してみる。

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サステナビリティーに配慮しつつ丈夫さを確保

 ThinkPad X9 14 Gen 1 Aura Editionのバッテリー容量(定格値)は55Whで、公称バッテリー駆動時間は、JEITA バッテリ動作時間測定法(Ver. 3.0)に基づく計測値で動画再生時が約13.5時間、アイドル時が約19.7時間となっている。このバッテリーはCRU(ユーザーによる交換対応部品)に指定されており、劣化した場合は単品購入して交換可能だ。

 ACアダプターは、USB PDに準拠する「65W スリム GaN ACアダプター (2ピン) USB Type-C」が付属する。その名の通り、ボディー内にGaN(窒化ガリウム)を封入することで小型/軽量化していることが特徴で、ケーブル込みの実測重量は約215gだった。

ACアダプター
付属する「65W スリム GaN ACアダプター (2ピン) USB Type-C」は、従来の純正65W ACアダプターと比べてコンパクトになっており、。実測サイズは76(幅)×48(奥行き)×22(厚さ)mmで、ケーブル込みの実測重量は約215gだった
バッテリー情報
プリインストールのユーティリティーアプリ「Lenovo Commertial Vantage」で内蔵バッテリーの容量をチェックする。本文でも触れたが定格容量は55Wとなっており、新品ということもあり定格よりも少し高い容量になっていた

 ボディーの丈夫さも健在だ。ボディーはアルミニウム合金製で、米国防総省の物資調達基準である「MIL-STD-810H」に定める12項目の耐衝撃/耐環境基準をクリアしている他、ThinkPad独自のタフネステストにもパスしている。手に持った感触も他のThinkPadと変わらず、高い剛性を感じることができる。

 加えて、昨今のトレンドであるサステナビリティー(持続可能性)への配慮も欠かしていない。梱包(こんぽう)資材はプラスチックフリーである他、ボディーのアルミニウム合金や内部のプラスチックパーツなどにも再生素材を配合している。

 加えて、購入時(CTOモデルのみ)または購入後に「CO2オフセットサービス(CO2削減活動代行サービス)」を付与することも可能で、購入すると本製品によるCO2削減の実績を証明書として得られる

オフセット
CTOモデルの場合、購入時にCO2オフセットサービスをセットできる(後から単品購入することも可能)

TrackPointがなくなっただけではないキーボード 感触タッチパッドは使いやすい

 本製品のキーボードだが、日本におけるCTOモデルでは日本語配列か米国英語(US)配列を選択できる。今回レビューしているのは日本語配列の構成だ。

 このキーボード、TrackPointがないことに目が行きがちだが、カーソルキーの形状や配置も従来のThinkPadと異なる。具体的には、「左」「右」のキーサイズが通常の文字キーと同じサイズになっており、「上」「下」のキーサイズは高さが半分で、Page Up/Page DownキーはFnキーとのコンビネーションとなっている。しかも、いわゆる「半段下げ」も行われておらず、最下段の他のキーと“横並び”となっている。

 このようなレイアウトは、確かに他メーカーでも見受けられる。しかしカーソルキーの利用頻度の高い人には使いづらい

 よく見るとキーキャップの形状も最近のThinkPadとは異なる。具体的には文字キーのキャップには手前側に傾斜が新設された一方で、スペースキーの“盛り上がり”は省かれている。もっとじっくり観察すると、従来は4キーごとに設けられていたファンクションキーの空間(仕切り)もない

 キーボードにこだわってThinkPadを選んでいる人からすると、恐らくTrackPointがないこと以上にカーソルキー/スペースキー/ファンクションキーの変化が厳しいと思われる。キーボードにこだわっているThinkPadにとしては“衝撃的”だが、先述の通り本製品のターゲットは「既存のThinkPadユーザー“以外”」であり、確かに他のノートPCでは“普通”ではあるので、いろいろ複雑な気持ちになる。

 ただし、キーの感触は「さすがThinkPad」といえる高いクオリティーだ。調整が絶妙で、反発は強すぎず、押し下げた後に指に吸い付くように戻ってくる。薄型/軽量化が進む中で、とても健闘しているキーボードだ。

キーボード
キーボードはTrackPointがないこと以上に、一部の形状/レイアウト変更の方が気になってしまう。ただし、タイプ感はThinkPadらしい良好なものだ。なお、電源キー兼指紋センサーはDeleteキーの右側にある
LEDバックライト
キーボードにはLEDバックライトも備える

 TrackPointとのトレードオフで実装された大型タッチパッドは、物理的なボタン機構がなく、押し込むとクリックした感触が発生する「触覚タッチパッド」となっている。

 触覚タッチパッドは新しいThinkPad Zシリーズで初登場したもので、現行の「ThinkPad X1 Carbon」「ThinkPad X1 2-in-1」でもCTOオプションとして用意されている。

 このタッチパッドだが、ボタンのスイッチ位置に左右されず安定したクリック感が得られるため、とても使いやすい。物理ボタンがないタッチパッドが苦手な人でも、ほとんど違和感なく利用できるだろう。ガラス製の表面はスムースな滑りで、ジェスチャー操作もしやすい。

タッチパッド
触覚タッチパッドはガラス製で指の滑りが良く、触覚フィードバックも適切なので違和感なく操作できる

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