ミニPCに外付けGPUを接続できる! 約1.2万円のOCuLink拡張ドック「DEG1」、MINISFORUM AI X1で試した(3/3 ページ)
ミニPCの弱点だったグラフィックス性能を、約1.2万円のOCuLink拡張ドック「DEG1」で解消できるか? 最新の「MINISFORUM AI X1」で試してみた。
DEG1でIntel Arc A750を接続したミニPCのパフォーマンスは?
今回はMinisforum AI X1(以下、AI X1)と「Intel Arc A750 Limited Edition」(以下、Intel Arc A750)、さらに筆者の自作マシンを用意した。
これらでAI X1の内蔵グラフィックス(iGPU)と、DEG1を使ってeGPUとして利用した場合のパフォーマンス向上、そしてIntel Arc A750をPCI Express 4.0スロットに直接挿せる自作マシンとの比較でOCuLinkによるボトルネックを計測してみた。
なお、ベンチマークテストは下記の構成で実施しているので、スコアを見るときの参考にしてほしい。
Minisforum AI X1の構成
- CPU:AMD Ryzen 7 260
- 内蔵GPU:AMD Radeon 780M
- メモリ:DDR5-5600 32GB
- ストレージ:CT1000P3PSSD8 1TB
- OCuLink用M.2スロット:PCI Express 4.0 x4動作
- 外部GPU:Intel Arc A750 Limited Edition
自作PC(ボトルネック参考用)の構成
- CPU:Intel Core i5-12400F
- CPUクーラー:SCYTHE 虎徹 MARK3
- マザーボード:ASUS TUF GAMING H770-PRO Wi-Fi
- メモリ:Corsair CMK64GX5M2B5600C40(64GB)
- グラフィックスカード:Intel Arc A750 Limited Edition
- SSD:WD 1TB Black SN750
- 電源ユニット:玄人志向 KRPW-GK650W/90+
3Dmark
まずは3Dグラフィックス性能をテストする「3DMark」の結果を確認していこう。
- Fire Strike(DirectX 11ベース/フルHD描画)
- Radeon 780M:7637ポイント
- Intel Arc A750(DEG1):2万870ポイント
- Intel Arc A750:2万1544ポイント
- Fire Strike Extreme(DirectX 11ベース/WQHD描画)
- Radeon 780M:4107ポイント
- Intel Arc A750(DEG1):9842ポイント
- Intel Arc A750:1万3ポイント
- Fire Strike Ultra(DirectX 11ベース/4K描画)
- Radeon 780M:2300ポイント
- Intel Arc A750(DEG1):5491ポイント
- Intel Arc A750:5236ポイント
- Time Spy(DirectX 12ベース/WQHD描画)
- Radeon 780M:3202ポイント
- Intel Arc A750(DEG1):1万1121ポイント
- Intel Arc A750:1万1747ポイント
- Time Spy Extreme(DirectX 12ベース/4K描画)
- Radeon 780M:1501ポイント
- Intel Arc A750(DEG1):5815ポイント
- Intel Arc A750:5599ポイント
- Steel Nomad(DirectX 12 feature level 12.0ベース/4K描画)
- Radeon 780M:495ポイント
- Intel Arc A750(DEG1):2452ポイント
- Intel Arc A750:2634ポイント
- Speed Way(DirectX 12 Ultraベース/4K描画)
- Radeon 780M:454ポイント
- Intel Arc A750(DEG1):2327ポイント
- Intel Arc A750:2336ポイント
AI X1が搭載するAMD Ryzen 7 260の内蔵GPU「AMD Radeon 780M」は、記事公開段階では内蔵GPUとして最上位に当たるモデルで、内蔵GPUとは思えない高いパフォーマンスを発揮している。
とはいえ、Intel Arc A750のようなデスクトップ向けミドルレンジGPUと比較すると、パフォーマンスの差が顕著に表れる。OCuLinkに対応したミニPCを購入すれば、後に動作が重たいPCゲームをプレイしたくなっても、DEG1とGPUを組み合わせて外部GPUを使えるというわけだ。
また、今回はIntel Arc A750をPCI Express 4.0スロットに直接挿したPCで測定したスコアも参考値として用意したが、DEG1に挿した場合と比較してスコア差は誤差レベルに収まっていることが分かった。
搭載するGPUがミドルレンジモデルで、PCI Express 4.0 x4による動作でもパフォーマンス上限に達していない場合、DEG1を経由してもボトルネックはほぼ発生しなさそうだ。
Cyberpunk 2077
続いてAAAタイトルかつレイトレーシングを使ったベンチマークテストも走らせられる「Cyberpunk 2077」を実行し、AAAタイトルがどれぐらい快適にプレイできるのかを確認してみた。プリセットごとの結果は以下の通りだ。なお、どちらの環境も4Kでベンチマークテストを実行している。
- 中
- AMD Radeon 780M:18.28FPS
- Intel Arc A750(DEG1):61.53FPS
- ウルトラ
- AMD Radeon 780M:7.25FPS
- Intel Arc A750(DEG1):15.37FPS
- レイトレーシング:低
- AMD Radeon 780M:5.29FPS
- Intel Arc A750(DEG1):15.27FPS
- レイトレーシング:ウルトラ
- AMD Radeon 780M:4.24FPS
- Intel Arc A750(DEG1):8.83FPS
- レイトレーシング:オーバードライブ
- AMD Radeon 780M:1.60FPS
- Intel Arc A750(DEG1):3.33FPS
今回のベンチマークテストではゲーム解像度を4Kに設定し、それぞれベンチマークテストを実施した。AMD Radeon 780Mも思いの外、奮闘しており、4K描画のプリセット中の結果が18.28FPSだったため、解像度を下げれば、ある程度の画質でもゲームプレイできそうだ。
Intel Arc A750をDEG1に接続した結果として、4K描画のプリセット中の結果が61.53FPSだったことを考えると、ミニPCでありながらミドルレンジGPUを搭載したデスクトップPCとほぼ同じパフォーマンスを発揮できるという点はやはり大きい。
モンスターハンターワイルズ
続いて2月に発売された、シリーズ最新作「モンスターハンターワイルズ」のベンチマークテストを実施した。Cyberpunk 2077より要求スペックが高いタイトルなので、AMD Radeon 780Mでは動作困難であることが予測される。
そんな状況でDEG1を介してIntel Arc A750を外部GPUとして利用した場合、モンスターハンターワイルズをプレイできるのか、ベンチマークテストを通して確認してみた。結果は以下の通りだ。なお、今回のテストでは解像度はフルHD、グラフィックプリセットは低、フレーム生成オンで設定している。
- AMD Radeon 780M:7688ポイント(評価:設定変更を推奨します)
- Intel A750(DEG1):1万1850ポイント(評価:問題なくプレイできます)
Cyberpunk 2077のベンチマークテストと同じく、AMD Radeon 780Mでも解像度をフルHD以下か、もしくはグラフィックプリセットを最低に設定すればモンスターハンターワイルズを問題なくプレイできそうな点は正直驚きだ。
GPU以外でも利用できる
DEG1は商品名に「外付けGPUドック」と記載があるが、GPU以外のPCI Expressを使う拡張カードであれば基本的にいずれも利用可能だ。
今回は試しにIntel Gigabit CT Desktop AdapterをDEG1に挿してみたところ、デバイスマネージャーで正常に認識されたことを確認できた。
PCI Express 4.0 x4で動作するため、Intel X520-DA1のような10GbE NICもフルスペックで利用できる。コストパフォーマンスは悪いが、10Gbps環境も構築できそうだ。
まとめ
あらかじめ外部GPUを利用する場合は、最初からデスクトップPCを購入するのが一番だが、初期の予算を抑えたい場合やPCの設置スペースが限られている方にとっては、OCuLinkで外部GPUを利用できる点は結構大きいメリットだろう。
もし、ミニPCの購入を検討しているのであれば、Minisforum AI X1のようにOCuLinkを搭載しているPCを購入し、後々外部GPUが必要になった際にDEG1を購入してみるのもいいだろう。なお、AI X1本体のレビューも今後お届け予定だ。
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