ロープロファイル磁気スイッチ搭載、ELECOM GAMINGの「VK720AL」を試す 次世代ゲーミングキーボードはさらに“低く速く”を目指した(3/4 ページ)
「ELECOM GAMING V custom」から、新たなゲーミングキーボード「VK720AL」が登場した。従来モデルと比べたタイピングの感触やボディー設計の違い、カスタマイズ性など、VK720Aとの比較を交えつつ、その実力を詳しく見ていこう。
軽やかな押下と静かなキータイプ音
VK720ALのキータッチは、一言でいえば滑らかで軽い。キー押下圧は初動30gと一般的な赤軸(45g前後)よりも軽く、底打ち時の50gまでリニアに変化する。これはVK720Aと実質同じであり、前モデル譲りのソフトタッチなフィーリングを実現している。
ただし、ロープロファイルであるだけに、キーストロークは2.5mmと、VK720Aの約4.0mmから大幅に短縮されている。実際にタイピングしてみると、底まで打ち切った際のストロークが短い分だけ、指の移動量が少なく感じられた。よって素早い連打やキー移動が一層楽になった印象を受ける。
ゲームプレイにおいては、この短いストロークが操作の速さに直結する場面も多いだろう。タイピング用途としても疲労感の大幅低下が集中力の維持に大きく貢献してくれる。
キースイッチのハウジング形状がボックス状であることはVK720A同様だが、横ぐらつきの少なさは向上しているようだ。これはロープロファイルのためにステムが短くなったことが貢献しているのだろう。ゲーム中にキーを斜めからたたくような激しい操作をしても安定性が高く、入力の確実性に寄与している。
出荷時にメーカーで潤滑処理を行うファクトリールブが施されている点も従来通りだ。開封直後から押下時の摩擦感や引っ掛かりがなく、滑らかな押し込みを味わえる。
静音/振動対策として、VK720Aがシリコン吸音パッド2枚を備えていたのに対し、VK720ALではさらにスポンジ吸音シートを1枚内蔵してキータイプ時の振動や高音ノイズを効果的に吸収している。
キーを勢いよく底打ちしても不快な金属音などは皆無で、「スコンスコン」と軽快で澄んだ音だけが響く。無音ではなく、心地よくクリアなキータイプ音を目指した設計のように感じられた。
底打ちしないよう浅めに入力すればタイピング音はごく控えめに抑えられるので、後述するアクチュエーションポイント設定と合わせてチューニングすれば、オフィスでも周囲に気兼ねなく使えるだろう。
EG Toolで引き出す磁気式スイッチのポテンシャル
ソフトウェア面のカスタマイズ性も基本的にはVK720Aと同等だ。専用ユーティリティーソフト「EG Tool」を使ってカスタマイズできる項目は主に以下の通りだ。
キーマッピング変更
通常キーはもちろん、一般的なキーボードでは固定機能のことが多いFnキーや特殊キーも含め、全てのキーに対して機能の割り当てを変更できる。その他、キーコードのリマップだけでなく、マウス操作や3キーまでの同時押し、メディアコントロール、IMEオン/オフなど多彩な機能が割り当て可能だ。また、本体右上のダイヤルについても回転方向と押し込みの3つに好きな機能を設定できる。
アクチュエーションポイント調整
VK720A/VK720ALの磁気式スイッチは、キーの押下量をアナログで捉える。何mm押し込まれたらオンとし(アクチュエーションポイント)、何mm戻したらオフとするか(リセットポイント)は、ユーザー自身がキー毎に0.1mm刻みで設定できる。
両ポイントとも初期状態からの絶対的位置ではなく、その時のキーの押し込み位置からの相対的位置で指定する「追従式アクチュエーションポイント/リセットポイント(ラピッドトリガー)」になる。
ただし、リセットポイントの設定に関わらず、初期状態の位置まで戻った時にはオフとなる。例えば、アクチュエーションポイントを0.1mmに、リセットポイントを1mmに設定した場合を考えてみよう。
キーを0.1mm押し込んで指を離しても最大0.1mmしか戻らないことになるが、その場合も初期状態に戻ればオフとなる。一方、同じ設定のときに1.5mm押し込むと、そこから1mm戻した0.5mmのポジションでオフになる。
このあたりの挙動はVK720Aと同様だが、VK720ALではロープロファイルになったため、設定できる範囲はVK720Aの0.1〜3.8mmから0.1〜2.3mmに変更されている。
アクチュエーションポイント/リセットポイントは全キー共通のグローバル設定に加え、特定のキー個別に指定することもできる。例えば「移動キー(WASD)のみ作動を浅くして反応速度を優先し、誤操作したくないキー(EscやDeleteなど)は深めに設定する」といった調整が可能だ。
2ndアクション設定
2ndアクション機能は、1つのキーに押下の浅い動作(1stアクション)と深い動作(2ndアクション)を割り当てるというもの。浅く押せば歩く、深く押せば走る、というようなアクションに割り当てることを想定しているようだ。
ビジネス用途でも右矢印キーの1stアクションをカーソル右、2ndアクションをEndにする、というような使い方ができるだろう。なお、2ndアクションが発動する際には必ず、1stアクションが発動することになるので、あまり関連性のないアクションの設定には向かない。
ライティング(RGBバックライト)設定
キーごとのRGB LEDによる1677万色対応のバックライトを内蔵しており、さまざまな発光パターンを設定できる。プリセットとして波打つように虹色に光る「ウエーブ」や、キー入力に応じて光る「スプラッシュ」など、17種類のエフェクトが用意されており、好みのものを選択するだけで手軽に美しいライティングが楽しめる。
中でも実用性の高いパターンが「アクチュエーションに連動」だ。キーの押下を検知すると赤く点灯、さらに押し込んでアクチュエーションポイントに達すると緑に変化する。そして、リセットポイントまで戻ると再び赤になる。アクチュエーションポイント/リセットポイントの調整に役立ちそうだ。
これらの設定はオンボードメモリに最大3つ保存可能で、ゲーム別/用途別に設定を切り替えて使える。プロファイルの切替え操作も、キーやプログラマブルダイヤルに割当てておけば、EG Toolがインストールされていない環境でもワンアクションで実行可能だ。
自宅ではフルRGBで派手に光らせ、仕事モードではプロファイルを切り替えてシンプル配色+実用的なキー配置にする、といった使い分けも自由自在だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.




