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Ryzen 7 260&Radeon 780M搭載、OcuLinkなど拡張性も充実したミニPC「Minisforum AI X1」を試す(1/3 ページ)

今回はRadeon 780Mの性能や、内蔵されたNPUをどう活用できるのか、実機を用いて詳しくチェックしてみた。

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 ミニPCなどを手掛けるMINISFORUM(ミニズフォーラム)から、NPUを備えるAMD Ryzen 7 260を搭載したミニPC「Minisforum AI X1」が登場した。内蔵グラフィックスとしてハイエンドクラスのRadeon 780Mが利用できる上に、OcuLinkポートを使って外部グラフィックスカードも接続できるモンスターマシンだ。

 今回はRadeon 780Mの性能や、内蔵されたNPUをどう活用できるのか、実機を用いて詳しくチェックしてみた。

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「Minisforum AI X1」の中身をチェックする

小型でスタイリッシュな外観

 Minisforum AI X1(以下、AI X1)は、本体サイズが約128(幅)×126(奥行き)×52(高さ)mmとなっている。M4チップを搭載したMac Mini(※)とほぼ同じサイズで、非常にコンパクトだ。

(※)Mac Miniの本体サイズ:約127(幅)×127(奥行き)×50(高さ)mm

 ボディーカラーは全体がシルバーながら底面はブラックになっており、シンプルだがハイパフォーマンスを感じさせるスタイリッシュさがある。

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AMD RadeonとAMD Ryzen 7のエンブレムがよく似合うボディー

 本体前面には、10Gbpsに対応したUSB 3.2 Gen 2 Standard-A端子が2基、15WのUSB PD(Power Delivery)出力に対応したUSB4端子が1基、さらに3.5mmコンボジャック、デジタルマイク×2を搭載している。

 2つのデジタルマイクはノイズキャンセルにも対応している。AI X1を卓上に設置して使うのであれば、オンライン会議などを行う際に別途マイクを用意しなくてもいいのは便利だ。

 本体背面には、2.5GBASE-T(2.5Gbps)に対応した有線LAN端子が1基、DisplayPort 2.0(リフレッシュレート最大120Hz対応)端子が1基、PCIe 4.0 x4で動作するOCuLinkが1基、USB PD入力100W/出力15Wに対応したUSB4端子が1基、HDMI 2.0出力端子(リフレッシュレート最大120Hz対応)が1基、USB 2.0 Standard-A端子が1基が備わっている。ミニPCとして考えれば豪華な構成だ。

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2.5GBASE-T(2.5Gbps)に対応した有線LANも備えている

 さらにワイヤレス機能としてWi-Fi 7とBluetooth 5.4に対応した無線LANカード「MediaTek M7925」を搭載しているため、有線接続だけではなく無線でも高速ネットワークが利用できる。

 少しマニアックな話になるが、Wi-Fi 7に対応している無線LANカードは、Intel BE200が主流だが、AMD環境で利用するには不安定な状態になるケースが多かった。メーカー側で問題を認識しているのか、AI X1ではMediaTek M7925を採用しているので、新しいもの好きには意外と刺さる特徴かもしれない。

 MINISFORUM製品ではおなじみのPCI Expressを外付けできるOCuLinkも搭載されているので、別で「Minisforum DEG1」のような外付けGPUボックスを利用すれば、デスクトップ向けのGPUを使って、パフォーマンスのさらなる底上げも可能だ。別の記事で検証しているので参照してほしい。

→・ミニPCに外付けGPUを接続できる! 約1.2万円のOCuLink拡張ドック「DEG1」、MINISFORUM AI X1で試した

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OcuLinkポートを使えば、外付けGPUボックスを使ったグラフィック性能の底上げも可能だ

 AI X1に付属してくるACアダプターは120W出力に対応しているが、背面のUSB4に100W出力に対応したUSB PDアダプターを接続しても起動できる。例えば、USB PDの100W出力に対応したディスプレイを持っていれば、電源供給と画面出力を1本のUSB Type-Cケーブルにまとめられるため、非常にスマートな環境を構築できる。

 しかし、USB PDの100Wで動作させると少しだけパフォーマンスに影響があるようで、CINEBENCHのスコアがACアダプターで稼働している状態に比べてシングルコア、マルチコアスコアともに約10%程度のパフォーマンス低下が認められた。

 ベンチマークスコア上でのパフォーマンス差なので、実用においては大きな影響はないと考えられるが、USB Type-C端子経由で電源供給を行う場合は念のため注意しておこう。

NPUを搭載したRyzen 7 260を採用、目玉はCPU内蔵グラフィックスのRadeon 780M

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Ryzen 7 260には内蔵AMD Radeon 780Mと最大16TOPSのNPUが組み込まれている

 今回試しているモデルは、Ryzen 7000シリーズと同じZen 4アーキテクチャを採用したRyzen 7 260(8コア16スレッド)で、ベースクロックが3.8GHz、最大ブーストクロックが5.1GHzのRyzen 7 260を搭載した中位モデルだ。

 メモリは32GB、ストレージは1TB SSDを搭載しており、価格は直販で8万9590円となっている。ちなみにOSなしのベアボーンキットや、メモリ64GB/ストレージ1TBのモデルも選択できる。

 なお、最上位モデルでは、Ryzen AI 300シリーズのRyzen AI 9 365が搭載されており、NPUの性能を測るTOPSの値は最大50TOPS(1TOPS:毎秒1兆回の演算性能)と、こちらはCopilot+ PCのNPU要件である40TOPSをクリアしている。

 その反面、Ryzen 7 260のNPUは最大16TOPSなので、Copilot+ PCで提供されるAI機能全てを利用できるか定かではない。今後、NPUをフル活用したい場合は、この違いについては注意しておく必要がある。

 そして、内蔵グラフィックスのRadeon 780Mは「GeForce GTX 1650」の約9割の性能を発揮できると話題になっており、フルHD環境であれば内蔵GPUだけでPCゲームをおおむねプレイできるほどのパフォーマンスを発揮できる。後ほどベンチマークテストでも触れるが、Radeon 780Mのパフォーマンスの高さは良い意味で“異常”と捉えて良い。

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