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“スマホ”ジャーナリストの山根康宏はどんなPCを使ってきたのか? 過去30年のPC遍歴を振り返る私のPC遍歴30年(2/3 ページ)

2024年9月にPC USERは30周年を迎えました。そこで日頃から弊誌で記事を執筆しているライター陣に「私のPC遍歴30年」と題して、自身のPCにまつわる過去を振り返ってもらいます。あなたにとっても「懐かしい」と感じる話題が飛び出すかも?

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ThinkPad沼へ

 快適にモバイルできて、文字入力もしやすい、そして可能であれば丈夫なノートPCが欲しい──そう考えていた筆者の目の前に現れたのが、旧IBMの「ThinkPad 240X」だ。

 友人が使っていたものを見せてもらい、ちょうど別のThinkPadに買い替えようとしていたとのことで、それを譲り受けた。それが2004年だっただろうか、それ以来、10年以上もThinkPadにハマってしまった。

 ThinkPadの一番のメリットは、自分で分解修理ができることだ。フレームが割れてもパーツとして買えるし、日本語キーボードを英語キーボードに換えたければ、キーボードをパーツとして買ってきて交換すればいい。もちろん、ThinkPadのケアプログラムに入れば引き取り修理もできるが、香港の電脳ビルではThinkPadのパーツはいつでも売っており、自分で直した方が手っ取り早かった。

 そして何よりも昔のThinkPadは丈夫だった。筆者は歩きながら原稿を書くこともあったが、左手と腕で本体を持ち、右手で文字入力しながら歩く、なんてこともよくやっていた(もちろん混雑した人混みの中では危ないのでやらないが)。

 また、長文入力しやすいキーボード、ThinkPadならではのトラックポイントのおかげで原稿もはかどった。筆者が今でもHHKBやゲーミングキーボードなどのメカニカルキーボードが苦手で、キーストロークの浅いキーボードが好きなのも、ThinkPad時代が長かったからだと思う。

ThinkPad X61の魅力

 この中古の240Xは1年程度でより画面の大きい「ThinkPad X31」に買い替えたが、それも中古品だった。そして2007年、香港でも「ThinkPad X61」が発売されたのでついに新品購入に至った。しかも3G(HSDPA)モデム内蔵の製品だった。

 当時のデータ通信料金は今より高かったとはいえ、収縮式のアンテナを伸ばして通信する自分の姿に酔いしれたものだ。「携帯電話研究家」を名乗る自分にとっても、Wi-Fiではなく単体で通信できる3G内蔵ThinkPadは待ち望んでいた製品だった。

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セルラーモデムを内蔵した「ThinkPad X61」(写真はCDMA版)

 X61は自分にとって本当に良くできたノートPCであり、世界中に持ち運ぶと共に、現地ではプリペイドSIMカードを入れて「どこでも原稿が送れる」環境を作り上げた。

 しかし、残念なことにX61シリーズの後継機は横ワイド画面のX200シリーズとなり、なかなか買い替える気になれなかった。とはいえキーボードやボディーを何度も替えているうちにマザーボードが怪しくなり、3年目あたりから買い替えの製品を探さざるを得ない状況になった。

 ここで都合よく、2011年に「ThinkPad X220」のWiMAX搭載モデルが登場する。しかも日本のWiMAXサービスに加入すると、韓国と米国で国際ローミングが可能だった。

 当時は携帯電話回線のローミング料金は高く、海外で通信するには現地のプリペイドSIMカードを買うしか方法は無かった。ところがWiMAXのローミング料金は米国は無料、韓国も1日3000ウォン(約300円)とリーズナブルだった。

 米国と韓国に行く機会が多い筆者にとって、このノートPCは最強の製品であった。なお日本で買ったものの、当然のことながらキーボードはすぐ英語版に交換。筆者は最初に買ったThinkPad以来、英語キーボードしか使っていない。

 X220で自分のPCライフというか、仕事もプライベートも快適になる、そう思っていたものの、X61と比べると製品全体の作りに「甘さ」のようなものが感じられてしまい、またモバイルにするにはやや大きかった。

 とはいえ、買い替えるノートPCはThinkPadしか自分にはない。いつしか「Ultrabook」という製品が登場し、2012年には超薄型の「ThinkPad X1 Carbon」が発売された。しかし、当時の筆者はスマートフォンを毎月のように買っていたため、ノートPCを買い替える金銭的余裕はなかった。

 ところが、ここでまた救世主が現れる。2013年1月のCES取材時、ライターのY氏が使っていたX1 Carbonを買い替えたいという。しかもこのモデルはタッチパネル対応の上位機種だ。すかさずそれを譲り受け、最強の友として世界中を一緒に旅する存在になった。

 かなりハードに使いまくったが、そうなるとファンの不調やキートップの破損、画面表示エラーなどで修理に出したり自分で直すなどして、だましだまし使い続けることになる。最終的にこのモデルは6年間も使い続けた。それほど自分にはなじむノートPCだった。

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薄さとスペックの高さが最高だった「ThinkPad X1 Carbon」(写真は第二世代)

 さて、ここで次に買い替えるモデルは当然のことながら同じX1 Carbonシリーズとなるはずだった。2018年に買い替えを検討した第6世代のモデルは充電がUSB Type-Cに変わり、USB充電器が使えるなどモバイルしやすい製品だった。だが「何かが違う」そんな気持ちが心の中にあった。年々、製品の品質が過去のモデルより下がっていることを、新しいX1 Carbonが出るたびに感じていたように思う。

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