「ロボット掃除機を身近に感じてほしい」 革命的といえるラインアップに刷新したアイロボットジャパンの挽野社長が自信を深める理由:IT産業のトレンドリーダーに聞く!(1/3 ページ)
コロナ禍以降、さまざまに移ろう世界情勢の中で、IT企業はどのようなかじ取りをしていくのだろうか。大河原克行さんによるインタビュー連載の第19回は、アイロボットジャパン 代表執行役員社長の挽野元さんだ。
アイロボットジャパンが、ロボット掃除機「Roomba(ルンバ)」シリーズのラインアップを一新してから約4カ月が経過した。アイロボットがフルラインアップを一斉に刷新したのは今回が初めてであり、機能や価格帯によって、エントリーモデル/ミッドレンジモデル/フラッグシップモデルの3つのカテゴリーで構成されている。
発表した新製品は6機種9モデルにおよび、日本のユーザーのさまざまなニーズに応えられる多彩なラインアップをそろえているのが特徴だ。
今回の連載「IT産業のトレンドリーダーに聞く!」では、アイロボットジャパンの挽野元社長に登場してもらった。インタビュー前編では、新製品の狙いや反応などについて聞いた。
革命的だった「All New Roomba」の発表
―― アイロボットジャパンは2025年4月に、ロボット掃除機「ルンバ(Roomba)」を一新しました。エントリーからハイエンドまで、フルラインアップを一斉に刷新するのは初めてとなります。手応えはどうですか。
挽野 今回の新製品は、「All New Roomba(全てが新しくなったルンバ)」というメッセージからも分かるように、ルンバのフルラインアップを刷新しました。新たなテクノロジーを採用するだけでなく、消費者が求める新機能を搭載し、ラインアップも分かりやすく再編しました。日本のお客さまにとって、ルンバをより身近に感じてもらえるようになったと自負しています。
選択肢を広げるという点では、これまでのルンバには装備してこなかったLiDARセンサーを内蔵し、部屋のマッピングを素早く作成して、障害物を避けつつ無駄のない動きで掃除を行える製品を用意しました。
また「Roomba 205 DustCompactor Combo ロボット」では内部にゴミ圧縮機能付きのダスト容器を搭載し、メカニカルアームを使ってゴミを圧縮することで、ゴミ収集ステーションがなくても最大60日分のゴミを収納できるようにしています。
分かりやすい仕組みですし、コンパクトなロボット掃除機が欲しいという日本のニーズに合致したものとなっています。実際に、発売後の出足は非常によく、強い手応えを感じています。既存のルンバからの買い替えだけでなく、「このルンバだったら買ってみたいと思った」といった新たなユーザーの声も聞かれています。
―― 5年後にこの製品発表を振り返ったときに、どんな表現ができそうですか。
挽野 今回のAll New Roombaの発表は、きっと「革命的だった」と言われると思います。1990年に創業したアイロボットは、創業者であるコリン・アングルが、エンジニアとしての優れた能力と、独創的なアイデアによって、生み出してきた製品によって成長を遂げてきました。
しかし、All New Roombaでは、開発への取り組み方を大きく変え、新たに製造パートナーとも連携し、より迅速に市場投入できるようにしました。これによって、革命的といえるラインアップへと刷新することができたといえます。新たなルンバは、これを第1弾として、さらに進化を遂げていくことになります。
―― ちなみに、挽野社長が気にいっている製品はどれですか?
挽野 どれも気に入っていますが(笑)、Roomba 205 DustCompactor Combo ロボットのメカニカルアームは、アナログともいえる構造を持ち込んだことで、ゴミ圧縮機能のメリットが分かりやすく伝わりますし、日本のユーザーにも使いやすいモデルだと思っています。
また「Roomba Max 705 Vac ロボット」は、クリーンベースが小さく、水拭き機能は要らないけれど、強力な吸引機能が欲しいというユーザーには最適な製品が出来上がったと思っています。私の家では、床を水拭きしてくれる「Braava jet」がありますから、Roomba Max 705 Vac ロボットと組み合わせて使うのもいいかなと思っています。
Roomba 205 DustCompactor Combo ロボットとRoomba Max 705 Vac ロボットの2モデルは、いずれもコンパクトなのが特徴で、日本の家屋には最適です。さらにオンライン販売限定の「Roomba Plus 405 Combo + AutoWash 充電ステーション」は、本体からのゴミ回収とモップパッドの給水、洗浄、乾燥が行えるという点でも人気です。
そして「Roomba 105 Combo ロボット」は、4万円を切る価格設定としており、単身世帯にも最適ですし、間取りがシンプルな家屋での利用にも適しています。お勧めのモデルばかりです(笑)。All New Roombaとして刷新したことで、モデルごとに、機能や目的、用途、対象となるユーザー層が明確になりましたから、それぞれのユーザーに最適なモデルを選択できるようになりましたし、私たちのメッセージも響きやすくなったのではないでしょうか。
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