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Core Ultraプロセッサ(シリーズ3)の「Xe3 GPU」の全体像を解説 完全な新世代ではないものの用途に合わせた最適化がポイント(3/3 ページ)

Intelが2025年末に一部を出荷する予定の「Core Ultraプロセッサ(シリーズ3)」(開発コード名:Panther Lake)は、「Xe3 GPU」なる新しいGPUコアを搭載する。この記事では、Xe3 GPUの概要をお伝えする。

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ピーク性能は12コア仕様で「Xbox One X」超

 ここで、Xe3 GPUの理論性能値を求めてみよう。下の資料にもあるように、Xe3 GPU(12コア仕様)の8bit整数(INT8)時のピーク性能は120TOPS(毎秒120兆回)と公開されている。

 これはXe系GPUに内蔵されている推論アクセラレーター「Xe Matrix Extensions(XMX)」の値で、XMXは「1クロック当たり4096OPS」という性能値も公開されているので、ここから最大動作クロックを以下の式で逆算できる。

 12(Xeコアの数)×4096(OPS)×F(GHz)=120TOPS

 F=120TOPS÷12÷4096=2.44GHz

 最大動作クロックが分かれば、プログラマブルシェーダー全体の理論性能も以下の通り計算可能だ。

 12(Xeコアの数)×8(XVEの数)×16(SIMD16演算)×2FLOPS(積和算)×2.44(GHz)≒7.5TFLOPS

 これまで、Intelの内蔵GPUの理論性能値は、Meteor Lakeの約4.61TFLOPSが最大だった。計算上、Panther Lakeはそれを約1.6倍上回る性能を備えることになる。

 据え置きゲーム機の内蔵GPUと比較すると、「Xbox One X」の6TFLOPSを超えている。なかなかの高性能ぶりだ。MSIがこれを使ったポータブルゲーミングPCを出してくるかもしれない(あくまで予想だが)。

仕様
Panther LakeのXe3 GPUの仕様一覧。推論アクセラレーター(XMX)の演算性能公称値は120TOPSと明記されているので、ここからGPUの動作クロックを逆算可能だ

4コア構成でも案外強い ピーク性能は「プレイステーション4」を超える

 さて、ここで後回しにしてきた4コア仕様のXe3 GPUについても見てみよう。

 4コア仕様の場合、1基のレンダースライスに2基のXeコアを備えており、これを2基搭載している。なのでXeコアは2基×2=4基構成となる。動作クロックを2.44GHzとして理論性能値を求めると、以下の通りだ。

  4(Xeコアの数)×8(XVEの数)×16(SIMD16演算)×2FLOPS(積和算)×2.44(GHz)≒2.5TFLOPS

 動作クロックが高いこともあって、想像よりもだいぶ高い性能だ。なにしろ、PlayStation 4の内蔵GPUのピーク性能(1.84TFLOPS)を上回っているのだから。

 最新の大作3Dグラフィックスゲームは無理だとしても、シンプルなビジュアルのゲームは普通にプレイできるだろう。

仕様
Xe3 GPU(4コア仕様)のブロックダイアグラム

 次回は演算器であるXVEやXMX、レイトレーシング処理を担う「レイトレーシングエンジン」をもっと深掘りしつつ、Xe3 GPUの全般的な改良ポイントをさらに深掘りしていく。

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