Intelの「Core Ultraプロセッサ(シリーズ3)」は2025年末に一部出荷 2026年1月にはラインアップを拡充:開発コード名は「Panther Lake」
Intelが、「Panther Lake」という開発コード名で開発を進めていたCPUを新しいCore Ultraプロセッサとして発売することになった。2025年内に大量生産を開始し、同年末に一部製品の出荷を開始する見通しだ。2026年1月には、より広範な製品を集荷するという。
Intelは10月9日(米国太平洋夏時間)、「Panther Lake」というコード名で開発を進めてきたモバイル向け新型CPU「Core Ultraプロセッサ(シリーズ3)」の大量生産を2025年内に開始することを発表した。一部製品は2025年末までに出荷を開始する予定で、2026年1月にはより広範な製品を出荷する見通しだ。
Core Ultraプロセッサ(シリーズ3)の概要
Core Ultraプロセッサ(シリーズ3)は現行のCore Ultra 200Vプロセッサ(開発コード名:Lunar Lake)並みの電力効率性と、Core Ultra 200H/Uプロセッサ(開発コード名:Arrow Lake)並みのスケーラビリティーを確保したことが特徴で、CPUコアは自社の「Intel 18A」プロセスで製造される。
スケーラビリティーの面では、求められる性能や価格帯に応じて以下の3種類のパッケージ(チップ)が用意される。
- 8コア(Pコア4基+LP Eコア4基)
- 16コア(Pコア4基+Eコア8基+LP Eコア4基)
- 16コア 12Xe(16コアモデルのGPUコアを強化したもの)
いずれのパッケージもタイル(チップレット)構造は維持しており、CPUコアやNPUコアなどを統合した「Computeタイル」、GPUコアを備える「GPUタイル」と、入出力回りを担う「Platform Controllerタイル」の3つを組み合わせて作られる。ComputeタイルとGPUタイルは自社プロセスで製造されるが(※1)、Platform Controllerタイルは他社に製造を委託する。
(※1)16コア 12Xe仕様については、GPUタイルも他社に製造を委託
CPUコアは「Cougar Cove」と「Darkmont」の2種類
Core Ultraプロセッサ(シリーズ3)のCPUコアのうち、パフォーマンスコア(Pコア)は「Cougar Cove」、高効率コア(Eコア)と低消費電力コア(LP Eコア)は「Darkmont」というアーキテクチャで作られている。いずれもIntel 18Aプロセスに最適化した設計で、低消費電力時におけるパフォーマンス改善と、クロック当たりの命令数(IPC)の最適化が図られている。
8コアパッケージはPコアとLP Eコアを4基ずつ搭載し、16コア/16コア 12XeパッケージではこれにEコアを8基追加している。いずれのコアもハイパースレッディング(マルチスレッド動作)には対応しない。
同一消費電力時では、Core Ultra 200Vプロセッサ比でシングルスレッドの性能は10%超、Core Ultra 200V/Hプロセッサ比でマルチスレッド性能は50%超向上するという。
GPUコアは「Xe3アーキテクチャ」
Core Ultraプロセッサ(シリーズ3)のGPUコアは、自社開発で最新の「Xe3アーキテクチャ」を採用している。従来のXe/Xe2アーキテクチャと同様にスケーラビリティーを重視した設計で、8コア/16コアパッケージではXeコア(演算エンジン)とレイトレーシングユニットを最大4基、16コア 12XeパッケージではXeコアとレイトレーシングユニットを最大12基搭載している。
GPUコアのパフォーマンスは、Core Ultra 200V/Hプロセッサに搭載しているものの1.5倍超になったという。
NPUコアのピーク性能は50TOPSに
Core Ultraプロセッサ(シリーズ3)のNPUコア(Intel AI Engine)は、第5世代(NPU 5)となった。ピーク時の演算性能は最大50TOPS(毎秒50兆回)で、FP8(8bit浮動小数点演算)のネイティブサポートを追加している。
NPU 5はCore Ultra 200Vプロセッサ比でエリア当たりの処理パフォーマンスが40%以上向上し、Core Ultra 200Hプロセッサ比で演算性能が3.8倍向上したという。
最上位構成のチップの場合、CPUコア(10TOPS)+GPUコア(120TOPS)+NPUコア(50TOPS)で、理論上の最大性能は180TOPSとなる。
その他の特徴
内蔵カメラの処理を行う「IPU」と動画のエンコード/デコードを担う「Xe Media Engine」は、CPUコアと同じComputeタイル内にある。
IPUは第7.5世代(IPU 7.5)となり、Core Ultra 200Vプロセッサに搭載されている「IPU 7」比で消費電力が最大1.5W削減された。
Xe Media Engineでは、「AVC(H.264)」「AV1」コーデックにおいて10bitデータのエンコード/デコードに対応した他、ソニーの独自フォーマット「XAVC-H」「HAVC-HS」「XAVC-S」のエンコード/デコード機能を追加している。
Platform Controllerには、Wi-Fi 7 Release 2(IEEE 802.11be)/Bluetooth Core 6.x対応の通信機能と、Thunderbolt 4(USB4 Version 1.0)コントローラー(最大4ポート)、USBコントローラー(USB 3.2規格最大2ポート+USB 2.0規格最大8ポート)を統合している。Thunderbolt 5(USB4 Version 2.0)を搭載する場合は、コントローラーチップを別途搭載する必要がある。
PCI Expressバスのレーン数は、パッケージによって以下の通り異なる。
- 8コア:PCI Express 5.0 x4+PCI Express 4.0 x8(合計12レーン)
- 16コア:PCI Express 5.0 x12+PCI Express 4.0 x8(合計20レーン)
- 16コア 12Xe:PCI Express 5.0 x4+PCI Express 4.0 x8(合計12レーン)
メモリモジュールはLPDDR5X規格の他、16コア 12Xeパッケージを除きDDR5規格も利用可能だ。最大速度(MT値)は、パッケージによって以下の通り異なる。
- 8コア:LPDDR5X-6800/DDR5-6400
- 16コア:LPDDR5X-8533/DDR5-7200
- 16コア 12Xe:LPDDR5X-9600
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