「電卓+ギター」という発想で生まれた電子楽器「KANTAN Play Core」 インスタコード・ゆーいち氏の新作 楽譜が読めなくても“音ゲー”感覚で弾けた(3/3 ページ)
何か楽器を演奏したいと思っていても「楽譜が読めない」とか「練習する時間がない」といった理由で、二の足を踏んでいる人は多いのではないだろうか。過去に楽器を買ってみたが、途中で諦めてしまった人もいるだろう。「KANTAN Play Core」は、従来の楽器が苦手な人でも気軽に演奏できることを目指して作られた新世代電子楽器である。筆者も購入してみたので、早速レビューしていきたい。
コードを数字に置き換えた「KANTANコード」で演奏できる
かんぷれやインスタコードは、楽譜が読めない人でも気軽に演奏できるようにと、ゆーいち氏が考案したKANTANコードを採用している。
KANTANコードは、CやFといったコード記号を1〜7までの数字に置き換えたもので、ネット上に多数存在するコード譜をKANTANコードに自動変換するブラウザ用拡張機能なんてものも用意されている。
よって非常に多くの楽曲をKANTANコードで演奏できる他、最初からKANTANコードで表示できるWebサイトも存在している。
さらに、かんぷれの実機が手元になくても、かんぷれの機能を簡略化して実装されたWebアプリ「KANTAN Play online」も公開されているので、KANTANコードを用いてどのように演奏できるのか、気軽に体験できる。
伴奏をかんぷれで演奏しながら弾き語りをするのも、かんぷれの楽しみ方の1つだが、初めてかんぷれで演奏する場合は、「逆カラオケ」がおすすめだ。
逆カラオケとは、カラオケの逆で、ボーカルが収録された動画に合わせて、伴奏を演奏するというものだ。YouTubeで「逆カラオケ」で検索すると「Villyの『逆カラオケ』チャンネル」が見つかるが、このチャンネルには、KANTANコード対応の逆カラオケ動画が500本以上登録されている。初級編、中級編、上級編といった再生リストも用意されているので、この中から好きな曲を演奏してみるとよいだろう。
逆カラオケで演奏する場合、曲にあったプリセットソングが用意されているなら、まずそのソングを読み込む。次に、その曲のキーを指定する。キーは、左のジョグダイヤルで指定できる。
最初は移動するカーソル位置に合わせてタイミング良くKANTANコードのボタンを押すだけでいいが、慣れてきたら、サビやBメロでスロットを変えたり、再生する楽器を変えたりすることで、より高度な演奏を楽しめる。
また、空白の場所でも、その前のコードのボタンをリズムに合わせて押すのもよい。かんぷれは誰でもすぐに演奏できるといっても、楽器であることは違いはない。練習することで上達し、アドリブを入れたり、自分なりの演奏を楽しむことができるようになる。
ソングデータとして、音色やシーケンスパターンなども登録できるので、うまくソングを作れば、ボタンを順番に押していくだけで、メロディを演奏させることもできる。例えば、プリセットソングの33番には、スーパーマリオブラザーズの無敵のテーマのデータが入っており、リズムに合わせて2つのボタンの組み合わせを変えるだけで、無敵のテーマを演奏できる。
間口が広く、奥が深い電子楽器 楽器に挫折した人にこそおすすめ
かんぷれは、誰でも音ゲー感覚で気軽に演奏できる画期的な電子楽器だ。しかし、非常に高機能な製品であり、ここで紹介した機能はそのごく一部分にすぎない。MIDIにも対応しているので、MIDI音源の制御や、逆にMIDIキーボードを使ってかんぷれを演奏することもできる他、標準のボタン以外で演奏するためのオプション機器も用意されている。
シーケンサー機能もあるため、伴奏のアルペジオパターンを自由に変更したり、自分ならではのアレンジで伴奏することもできる。既に何か楽器を演奏できる人にもおすすめだが、これまで楽器を演奏したいと思って結局挫折した経験がある人にこそおすすめしたい製品だ。
筆者も、小学校の頃エレクトーンを習っていたので多少楽譜は読めるが、今は楽器を演奏することはできない。また、数年前に頚部脊柱管狭窄(きょうさく)症になり、頸椎を手術し、リハビリは行ったものの、右手の指はかなり可動域が狭いままだ。
キーボードもまだ完全にタッチタイプできていないのだが、そんな筆者でもかんぷれはちゃんと演奏できた。もちろんまだまだぎこちない演奏だが、演奏しているとつい時間を忘れて没頭してしまう。
拡張性も高く、いろんな使い方ができる楽器なので、興味を持った人はまず、Webアプリの「KANTAN Play online」から試してみてはいかがだろうか。
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