新品は絶滅、中古は高騰──「令和にMDを聴きたい」と願った筆者が、理想の再生環境を整えるまでの一部始終(3/3 ページ)
1枚の古いMDに刻まれた20年前の記憶──。サブスク全盛の今、あえて「MD環境」の復元に挑んだ筆者の記録をコラム形式で紹介したい。
ブランクメディアとポータブルMDプレーヤー探しへ
ブランクメディアのMDは生産終了が報じられた後、一部のECサイトや家電量販店では瞬く間に販売終了し、プレミア価格がついて販売されていることもあったのだが、今は価格は落ち着き、家電量販店で在庫限り、1枚あたり400円前後で購入できる。
これは筆者だけでなく友人にも協力してもらい、MDが現役だった時代と同じくらいの枚数のMDを手元に確保することに成功した。
そしてポータブルMDプレーヤーだが、こちらはMDコンポ以上に入手が大変だった。
憧れだった「MZ-E909」をメルカリで購入
当然だが、現在ポータブルMDプレーヤーの新品を家電量販店などで購入することはできない。オークションやフリマサイトで購入することもできるが、MDコンポ同様、新品となればプレミア価格がつき、状態のいいものはそれなりの値段がする。
“平成レトロ”としてカセットテープが流行し、海外製の安価なカセットテーププレーヤーが出たように、MDも同じようなものがないかと探したが、MD自体が海外でそこまで認知されておらず、製品は見つけられなかった。結局は中古を選ぶしかないのだが、そこでどのモデルを選ぶかというのは非常に悩んだポイントだ。
単純にMDを再生できればいいだけなら動作確認済みをうたう中古品で、メーカーやモデルにこだわりを持たなければ、1万円以下で掘り出し物を見つけることもできる。
しかし筆者としては「ここまできたら、20年以上前の音楽視聴スタイルを貫きたい」という希望、いや野望があり、そうなると「外観はそこそこきれいな状態がいい」「リモコンや充電スタンドなど、付属品もそろっている方がいい」とこだわりが出てくる。
そして最終的に狙ったのは中学生だった当時、お小遣いやお年玉を工面して「買おう!」と目標を立てながらも未入手に終わったソニーの「MZ-E909」だ。
発売は2001年9月10日と約25年前の製品で、当時としては業界最軽量かつ再生時間の長さを売りにしていたモデルだ。
リモコンは片仮名に加えて漢字表示にも対応するという、当時としては「新型リモコン」が付属し、MDLPの再生にも対応するなど、録音機能以外は全部入りともいえるモデルだ。
価格は中古市場で状態のいいもので2万円弱、傷が多かったり付属品の欠品があるもので1万円前後で、それより下回るとジャンク品扱いで動作未確認や、MD再生不可といった条件がついてくる。
オークションやフリマサイトで「外観がそこそこきれいなもの」「付属品として、最低でもリモコンが付属するもの」を見つけてはウォッチリストに追加し、自分としては納得できるものを1万円ほどで購入できた。
「ガム型の充電池」は既に純正品が手に入らないので、Amazonで互換をうたうものを購入したり、付属品の充電スタンドやACアダプターも別で中古品などを買うなどし、一通りそろえた時点で1.5万円弱と、市場相場からすれば気持ち安く使える状態のものをそろえられた。
手元に届いてからMDの再生を試みたところ、すこぶる調子は良好だ。MDの挿入/取り出しの際にカシャッとボディーが開閉するギミックは令和の時代でも小気味よく、小さなボディーで一生懸命にディスクを読み取り、再生をしようとモーターやピックアップが動作する音もなんだかいとおしい。
試しにお気に入りのCDからMDに録音したものを聞いてみると、ハイレゾ音源に慣れた耳にはチープに聞こえる音質も、どこかレトロに感じられ、これはこれでいいなと思った次第だ。
手に入れたMD環境を、これから大事に使っていく
最初にMDの再生環境を整えようと考えたのが確か2022年の始めだったと記憶しているので、若干意地になった部分まで含め、満足いくところまでそろえるのには4年の時間がかかった。
新品の在庫品が市場に流通していない、それも生産完了から10年以上の歳月が経過していると、自分が納得できるものをそろえるのには思った以上に時間がかかってしまう。
ただのコレクションならまだしも、ちゃんと動作するもの、または自分で直せる範囲のものに限ると本当に難しい。
やっとそろったMDの環境だが、コンポは10年以上、ポータブルMDプレーヤーは25年前とどちらもいつ壊れてもおかしくない。ポータブルMDプレーヤーを外に持ち出して使いたい気持ちもあるのだが、何かの拍子に壊れてしまいそうな気もして、本末転倒な気もするが、ちょっと使うのをもったいぶっている。
ただ、次にこれらが壊れてしまった場合、代わるものを見つけるのにはもっと苦労するだろう。聞きたいものを聞きつつ、別の媒体へ移しながら、ふとしたときに「お気に入りの音源を集めたMDを作る」といった、MD時代にいそしんだことにチャレンジするといった使い方をして、後生大事に使っていこうと現在は考えている。
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