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壊れにくい端末から校務の自動化、メタバース不登校支援まで! 教育現場の課題に応える最新ITソリューションを見てきたEDIX 東京 2026(2/2 ページ)

Next GIGA(GIGAスクール構想の第2期)では、学習用デバイスのシェアに大きな変化が出ている。このことは、EDIX 東京 2026に出展したPCメーカーやプラットフォーマーのブースにも一定の“変化”を与えている。「端末」「AI」「ネットワーク」の3軸でGIGAスクール構想の第2期(Next GIGA)とDXハイスクールに向けた取り組みを見てみよう。

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「Windows 365」と「Cowork」でクラウドとAIを束ねる日本マイクロソフト

 日本マイクロソフトのブースは、Surfaceなどの自社製品に加えて、NECPC、レノボ、サードウェーブ、デル・テクノロジーズなどパートナー企業のWindows PCも並べていた。

 一方で、「Surface Go」を始めとする学習用デバイスを想定したWindowsノートPCの展示はなく、どちらかというと校務用の端末やソリューションの選択肢を提示する構成だった。

日本マイクロソフトブース
パートナー企業のPCも並べた日本マイクロソフトのブース。サードウェーブやデル・テクノロジーズなどのWindows PCを展示していた

 「なるほど」と思わせたのは、クラウドPC「Windows 365」の事例展示だ。

 福島県福島市では、教員の校務用端末としてChromebookを採用している。しかし、業務系システムや教材の作成にはWindowsアプリが欠かせない部分もある。そこでWindows 365を導入し、ChromebookのWebブラウザを介してリモートでWindowsも使える環境を構築したのだという。校務に関するデータはクラウドPCに寄せることで、児童/生徒に校務画面を“見せない”ように環境を分離する効果もあるという。

 担当者は「日本マイクロソフトとしては、手元の端末をWindowsにしていただける方が話は早いが、Chromebookが導入済みの現場にはWindows 365を選択肢として紹介している」という。

Windows 365
Windows 365のデモ画面。WebブラウザからクラウドPCにアクセスできるのが強みだ

 東京大学のパソコン教室でも、Windows 365が採用されている。

 同大学では学生のPCは「BYOD」、つまり自分が好きなものを買って使うことを基本としている。そのため、MacやLinux PCを使う学生もいるそうだ。

 そこで教育環境の均一性を担保する目的で、プラットフォームを問わずWebブラウザ経由で利用できるWindows 365を導入したのだそうだ。日本マイクロソフトでは新たにデバイス単位課金のライセンスを用意し、教室での利用をしやすくしたという。

パソコン教室もクラウド化
Windows 365を活用したパソコン教室のクラウド化のスライド。多様なOSから仮想Windows環境にアクセスできることが強みだ

 もう1つ目を引いた展示が、法人向けAIエージェント「Microsoft 365 Copilot」の新機能である「Copilot Cowork」だ。これはAnthropicのAIエージェント「Claude Cowork」の基盤技術を統合したもので、2026年3月からFrontier(フロンティア)プログラム経由で提供が始まった。メール送信や会議スケジュール、Office資料の作成といった作業を、Microsoft 365のアプリを横断してAIが自律的に遂行する。

エージェント機能
Microsoft 365 Copilotのエージェント機能。サイドバーにFrontierプログラムとして提供中の「Cowork」を含む複数のエージェントが並び、画面ではPowerPointエージェントが大阪修学旅行のプレゼン資料を自動作成していた

 Excelから情報を出し入れしながら資料を生成するデモなどが紹介されていた。Microsoft 365 CopilotではOpenAIのモデルに加えてAnthropic Claudeも並列で利用できる。担当者は「2つのAIを使い分けてやり取りできるのは、今のところ当社だけ」と強調した。

Coworkのメリット
Coworkが教育者にもたらす4つのメリットを示したスライド

教師の業務をAIで変える4つの提案を披露したGoogle

 Googleブースは「タッチ&トライコーナー」がメインで、Google Workspaceや教育向けAI機能のデモンストレーションを4つに分けて紹介していた。共通するのは、教師の業務をAIでどう変えるか、という視点だ。

プレゼンステージ
Googleブースのプレゼンステージでは「Gemini for Education」を実演していた

 1つ目はGmailやスライドに統合された「Gemini」だ。Geminiアプリを開かなくても、Gmailの画面から直接呼び出せる。スライドでは「植物の分類を1枚にまとめて」と指示するだけで、画像付きのスライドが数秒で生成された。

Gemini
Gmail、ドキュメント、スライドなどWorkspaceの主要アプリにGeminiが統合されている

 2つ目は教育機関専用の「Gemini for Education」だ。教育機関向けにデータセキュリティを強化した環境で提供されている。すぐに答えを出さず考えさせるプロセスを重視するのが特徴で、プリメイドのGem「Learning Coach(学習コーチ)」が家庭教師のように学習をサポートする。テーマを伝えるだけでクイズを生成する機能や、レポート作成を支援するディープリサーチも組み込まれている。

Gemini for Education
Gemini for Educationのクイズ機能。明治維新のクイズを生成し、即座に正誤判定していた

 3つ目は「Google Workspace Studio」だ。プログラミング不要でAI連携の自動化フローを構築できる。「会議予定が入ったらドライブから関連資料を探してGoogle Chatに送る」など、教師の校務時間を圧縮する用途を紹介していた。

自動化フロー
Google Workspace Studioで構築した自動化フロー。スケジュール実行、Geminiでの分析、Chatでの通知を組み合わせる

 4つ目は「NotebookLM」だ。一般的なAIがネット全体から情報を引いてくるのに対し、NotebookLMではユーザーが投入したソースからのみ回答する

 手書きの数式や外国語の資料を投入しても、日本語で説明できた。Studioパネルでは、要点を整理したスライドやクイズを自動生成する機能も備える。

NotebookLMのクイズ
NotebookLMのクイズ機能。投入した熱力学のPDF資料から、自動でクイズが生成された

DXハイスクール向けに「出前授業」を全国展開するアドビ

 アドビのブースでは、「Adobe Creative Cloud」や「Adobe Express」に加えて、DXハイスクール向けの「出前授業パッケージ」を展示の中心に据えていた。

アドビブース
大きな「A」のモニュメントが目を引くアドビブース

 DXハイスクールは、情報科と数学科を重視するカリキュラムや、ICTを活用した「文理横断的な学び」を支援するための文部科学省の補助金事業だ。先述の通り2024年度に本格的スタートした取り組みで、3年目となる2026年度は現場において「次に何をするか?」を考えることが課題となっている。

 デジタル人材共創連盟(デジ連)からの相談を受けたアドビが作ったのが、今回ブースで紹介されていた出前授業パッケージだ。生徒がフライヤーや動画、3Dプリンターでキーホルダーを作るといった「ものづくり授業」を通して、形に残る成果物を作ることを目標とする。

 このパッケージは教員向けの講義もセットとなっており、最終的に学校に“自走”するためのノウハウを残す工夫も施している。

 講師はアドビから認定を受けた現役教員が担当する。担当者によると、出前授業の事業実績は10校前後で「まだこれから」とのこと。DXハイスクール採択校の継続率は2025年度時点で99.7%と高く、認知が広がれば導入は加速する余地があるようだ。

DXハイスクール
DXハイスクール採択校向けに、出前授業、教員研修、情報II教材の3つのパッケージを提供している

 Adobe ExpressとFireflyも訴求していた。Adobe Expressは小学校〜高等学校では無償提供しており、Fireflyは「Adobe Stock」など著作権が担保された素材から学習している点で他社との差別化を図っている。担当者は「生徒が作った動画をうっかりSNSに載せて訴えられる事態を防ぐことができる」とメリットを解説する。

アドビ
Adobe Expressのテンプレート編集画面。学級便りなど、教員が校務で使うドキュメントを手軽に作成できる

Next GIGAとDXハイスクールに向けて動きはまだまだ活発!

 Next GIGAは、GIGAスクール構想の第1期で整備した「1人1台端末」を更新するだけの局面ではない。会場では「壊れにくい端末」「校務を支えるクラウド」「教師の作業を変える生成AI」「不登校支援のメタバース」「校務DXに向けたネットワーク統合」と、さまざまな観点でのソリューションが展示されていた。

 学校現場が必要としているのは、特定のOSや端末を選ぶことだけではなく、授業/校務/支援の仕組みをどう組み直すかにある。

 EDIX東京2026は、教育ICT市場の競争軸がハード単体から、端末・AI・ネットワークが響き合う提案へ移っていることを示していた。

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