NAND高騰の逆風をアイデアで突破するSSD最前線レポート 速度競争から「付加価値」の時代へ:COMPUTEX TAIPEI 2026(1/2 ページ)
原材料となるNANDの価格高騰を受けて、製品としてのSSDを作るメーカーはいろいろな工夫で消費者の購入意欲を高めようとしている。その一端を「COMPUTEX TAIPEI 2026」を通して見てみよう。
台湾・台北市で行われる「COMPUTEX TAIPEI」では、SSDを始めとするストレージメーカーも新製品や既存の主力製品の展示を行う。「COMPUTEX TAIPEI 2026」でも、ストレージメーカーが多く出展し、自社製品をアピールしていた。
ただ、昨今は単純な「速度競争」から一歩踏み出して、ボディー形状に工夫を凝らしたり、単体で完結できるセキュリティ機能を搭載したり、人気のIP(マンガ/アニメや映画などの知的財産)とコラボレーションしたりと、新しいユースケースや付加価値を提案する展示が目立った。
この記事では、その中でも“興味深い”SSD製品を幾つか紹介する。
ADATA:NFCを使ったセキュアなポータブルSSDが面白い
ADATA Technology(ADATA)ブースでは、NFC(近距離無線通信)を活用したセキュリティ機能を備えるSSDが目を引いた。
URBAN TAPSAFE
「URBAN TAPSAFE」はUSB 3.2 Gen 2x2接続のポータブルSSDで、容量は1TBと2TBを取りそろえている。読み書き速度は最大毎秒1900MB(USB 3.2 Gen 2x2接続時)で、ソフトウェアのリアルタイムコンパイルや4K(3840×2160ピクセル)動画の撮影/編集など、ヘビーユースも想定した製品だ。海外の一部市場では、既に販売を開始している。
本製品の特徴は、速度だけではない。「TAPSAFE」という名前にもあるようにNFCを用いた独自のセキュリティ機構を備えており、専用アプリ(Android版/iOS版)をインストールしたNFC対応スマートフォンを“鍵”とするロック機構を利用できる。普段は読み書きをロックしておき、使う時だけ手持ちのスマホをかざせばロックが解除される寸法だ。
また本製品は約36.18(幅)×68.68(奥行き)×19.18(厚さ)mmのコンパクト設計で、スマホ用ジンバルなどに取り付けるためのクリップマウントも備えている。強固なデータ保護機能でデータの安全性を確保しつつ、取り回しが良いのも魅力である。
余談だが、本製品のNFCを使ったセキュリティ機能は、RealtekのSSDコントローラー「RM1220」の機能を活用して実装されている。
Lexar:“2サイズ”対応M.2 SSDが面白い
Lexarは、親会社であるShenzhen Longsys Electronics(Longsys)の技術力やパッケージング能力を生かした“変わり種”のM.2 SSDに注目だ。
PLAY X:デバイスに合わせてサイズを変えられるM.2 SSD
「Lexar PLAY X」は、昨今ポータブルゲーミングデバイスで採用例が増えているType2230(幅22×奥行き30mm)の小型M.2 SSD……なのだが、付属の専用アダプターを使うと、一般的なType2280(幅22×奥行き80mm)サイズとしても使えるというユニークな製品だ。容量は512GB/1TB/2TBの3種類を用意しており、日本でもヤマダデンキの「TSUKUMO(ツクモ)」ブランド店舗など、一部のPCパーツショップで販売が始まっている。
スペックとしてはPCI Express 4.0(PCIe 4.0) x4対応で、シーケンシャルリードが最大毎秒7400MB、シーケンシャルライトが最大毎秒6400MBという高いパフォーマンスを持ち、ASUSTeK Computer(ASUS)の「ROG ALLY」シリーズを始めとするコンパクトゲーミングデバイスへの搭載も想定している。
PCIe 5.0対応のコンパクトM.2 SSDも展示
組み込み向けの「Longsys」ブランドでは、PCI Express 5.0(PCIe 5.0) x4対応のM.2 SSDが参考展示されていた。
これはPLAY Xと同じ発想で作られたもので、ベースはType2230サイズで設計/製造し、ヒートシンク(ケース)とベイパーチャンバーを組み合わせることで多様なデバイスへの対応と、高い冷却性能を両立している。
スペックはシーケンシャルリードが最大毎秒1万1800MB、シーケンシャルライトが最大毎秒1万MBで、容量は最大1TBとなっている。
なお、本製品はPCやワークステーションだけでなく、AIロボット/AIドローンといった組み込み向けでの利用も想定されている。
AI-Grade Storage Stick:カートリッジ式のM.2 SSDでAIを加速
さらに一歩進んだコンセプトとして、Lexar(Longsys)ではM.2 SSDを専用の金属製ジャケットに収め、昔のゲームソフトのようにスロットへ簡単に抜き差しできる「AI-Grade Storage Stick」というものを提唱している。今回のCOMPUTEXでは、ASUSのNUC(ミニPC)のフロントパネルに、Storage Stickを直接挿入するデモが行われた。
この物理的なギミックは、同じく同社が提唱するAIソリューション「AI-Grade Storage」と関連する。AIを処理するコンピュータにおける「GPUのグラフィックスメモリ(VRAM)」「システムメモリ(DRAM)」に次ぐ、「第3のメモリ層」としてSSDを活用してもらおうという発想だ。
LLM(大規模言語モデル)の推論時に、KVキャッシュを効率的にSSDへオフロードするソフトウェア技術によって、システム全体のDRAM使用量を最大40%削減しつつ、大容量のAIモデルをローカルで実行できる――そんなソリューションである。
AI-Grade Storage Stickでは、M.2 SSDを専用の金属製ジャケットに収め、カートリッジのように簡単に抜き差しできるようにしている。ある意味で「大きなSIMカードスロット」のようにも見える
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