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TV事業合弁化の裏で「音響」を残した理由とは? エンジニア出身・ソニー田中新社長の挑戦(1/6 ページ)

4月にソニーの社長 CEOに就任した田中健二氏は、エンジニアとしての長年の経験を背景に、ソニーを「感動を創る会社」と再定義する。本記事では、新体制の全貌を解き明かす。

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 ソニーの田中健二社長 CEOは、「ソニーという会社を再定義すると、それは『感動を創る会社』ということになる。『感動』を中心におき、そこにこだわりながら、経営をしていきたい。また、ソニーが文化的なDNAとして持っているのが、(当社の)設立趣意書にも書かれた『自由闊達』(かったつ)であり、『オープン』という姿勢である。これをベースに、『成長』と『スピード』の実現につなげる」と、社長としての抱負を述べた。


ソニー 代表取締役社長 CEOの田中健二氏

エンジニア出身の田中新社長が語る「クリエイター目線」と「感動体験の創出」

 田中氏は、2026年4月1日付で社長 CEOに就任した。1989年4月にソニー(現ソニーグループ)に入社し、エンジニアとして、映像、音響などの開発に携わってきた。2000年以降は、カメラの開発にも携わってきたという。

 2020年4月に、ソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズ コンスーマー&プロフェッショナルビジネスセクターカメラ事業部長に、2021年4月にはソニー 執行役員 イメージングプロダクツ&ソリューションズ事業本部長に就任した。

 2021年12月に、同社イメージングプロダクツ&ソリューションズ事業本部長兼モバイルコミュニケーションズ事業本部長、2023年4月に事業担当(イメージング、モバイルコミュニケーションズ、ホームエンタテインメント、パーソナルエンタテインメント、ライフサイエンス、B2B 他)となり、2025年4月に事業担当(新規、イメージング統合戦略)およびインキュベーション担当となる。2026年4月にはソニーグループ ビジネス CEO エンタテインメント・テクノロジー&サービス事業担当に就任し、ソニーの社長 CEOと兼務している。

 「一言で『感動を創る』といっても、その範囲は幅広い。エンタテインメントの領域でも、ドキュメンタリーの領域にも『感動』は存在し、カテゴリーの違いを明確にするのも難しい。

 だが、共通しているのは『感動』を創出するためには、現場感が大切だという点だ。現場感を持ち、クリエイター目線で、感動体験を創出する。そこに力を注いでいきたい。これが10年後のソニーの姿にもつながるだろう。ソニーは自らが考える『感動』に対して、投資をしていくことになる。さまざまなパートナーから、ソニーと一緒だから『感動』が創出できたという実績を積み上げたい」と述べた。


田中氏がソニーを再定義した目指す姿が「感動を創る会社」だ

インドや南米、アフリカなどの新興市場へ注力

 具体的な事業戦略の1つとして挙げたのが、新興市場への取り組みだ。

 これまでは欧米や中国を主軸に事業を展開してきたが、この1年でインド、バングラデシュに加え、南米、アフリカといった新興国の成長が著しいことを指摘した。これらの市場への取り組みを加速することになるという。


急速な事業環境の変化を受けて、新興市場とAI活用の領域をチャンスと捉える

 また、ソニーではフィジカルAIの領域に注力する姿勢も示した。

 田中社長は、「ソニーは、AIの広がりをポジティブに捉えている。AIに対するスピードを高め、クリエイションの場面において、AIを積極的に活用することを提案したい。そしてソニーは、フィジカルAIの分野に適した会社であると考えている。ここには、より積極的に挑戦をしていきたい」と述べた。

 ソニーグループでは、AIはエンタテインメントの世界に新たな機会をもたらし、単なる効率化だけでなく、創造性を広げ、クリエイターを力強く支える機会に捉えている。

 だが、これまでのAIはビッグテックによるファウンデーションモデルの開発に向けた膨大な投資や、GPUに代表されるインフラへの投資が中心であり、そこにおいて、ソニーは決して強いプレーヤーではなかった。

 「フィジカルAIにより、世界では現実社会から仮想社会へ、仮想社会から現実社会へというトランスレートが始まる。この世界になると、ソニーは一気に強くなる。フィジカルAIにおいては、ソニーのテクノロジーが力を発揮しやすい環境が整う」と指摘する。

 例えば、コンテンツ制作現場でのAI活用は、ソニーにとっては、フィジカルAIと定義する領域の1つだ。ロボットが活用される領域だけが、フィジカルAIではない。

 フィジカルAIの実現に向けては、ソニーセミコンダクタソリューションズ(SSS)との連携についても言及した。「SSSとは、これまでの連携に加えて、今も未来に向けた仕込みを行っている。センサーやレンズ、カメラなどを活用し、クリエイターを対象にしたデジタルツインを提供することができる」と語る。

 これも、「フィジカルAIとソニーは相性がいい領域」だと言い切る理由の1つになっている。

 ソニーは、長年に渡り、AIに取り組んできた実績がある。田中社長も「AIの知識、 AIのナレッジ、 AIの使い勝手という点では多くの蓄積があり、これらをフィジカルAIの世界で生かせる」とする。

  クリエイターの現場におけるAI活用が、ソニーが考えるフィジカルAIというわけだ。

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